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霧雨館の第五楽章  作者: うよし
第四章 鍵盤が覚えている

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幕間 人物整理

【人物整理】


 ここまでの調査で、霧雨館の人物関係は大きく変わった。


 最初は、雨宮宗一郎の遺産と第五楽章をめぐる相続争いに見えていた。


 けれど、今は違う。


 第五楽章は、単なる遺産ではなかった。


 七年前に奪われた名前であり、書き換えられた時刻であり、隠された血の問題でもあった。


 ここで、現時点の人物ごとの状況を整理する。



◆ 真柴悠


 出版社の新人編集者。


 事件の記録者。


 夜中に、女性らしい人影、低いラ、金属音、短い悲鳴を聞いた。


 ただし、真柴が聞いた悲鳴は、七年前の録音だった可能性が高い。


 そのため、真柴の証言は「零時頃に蓮司さんが殺された証拠」にはならない。


 真柴自身は事件の外側にいるつもりだったが、犯人または仕掛けを動かした人物に、発見者として利用された可能性がある。



◆ 白瀬透子


 元ピアノ調律師。


 音の違和感から、低いラ、金属音、録音された悲鳴の矛盾に気づいた。


 グランドピアノ内部の凶器候補、自動演奏ピアノの録音機、時計塔の低いラ装置、音響管の存在を見抜いた。


 事件解明の中心にいる人物。


 ただし、元調律師であるため、凶器候補の調律道具を扱える人物でもある。


 現時点で犯人らしい行動はないが、完全に事件の外側にいる人物とも言い切れない。



◆ 雨宮玲司


 宗一郎の後継者として育てられた人物。


 蓮司の弟のような立場にいたが、雨宮家の血を引いていないことが判明した。


 宗一郎は、蓮司が出て行った後、蓮司に似た玲司を後継者として置いた可能性がある。


 蓮司は玲司を恨んでおらず、むしろ「雨宮の名に縛られず、自分の名前で生きていい」と伝えようとしていた。


 玲司には、相続人としての立場を守る動機が発生しうる。


 しかし、現時点では、蓮司を殺した証拠はない。



◆ 雨宮蓮司


 七年前に失踪したはずの人物。


 今夜、霧雨館に戻り、音楽室で遺体となって発見された。


 七年前、第五楽章を盗んで逃げたとされていたが、実際には第五楽章を奪われないように守ろうとしていた可能性が高い。


 蓮司は、第五楽章を自分と篠原千鶴の名前に戻すために帰ってきた。


 また、玲司に出生の真実を伝えるつもりだった。


 蓮司は、今夜、名前・時刻・血の嘘をすべて戻そうとしていた。



◆ 篠原千鶴


 宗一郎の元秘書。


 第五楽章の共作者である可能性が高い。


 時計塔で見つかった本物の第五楽章では、篠原の名前が消されていた。


 しかし、崖下から回収された譜面の断片には、雨宮蓮司と篠原千鶴の名前が消されずに残っていた。


 篠原は、自分の名前が第五楽章に戻ることを恐れていた。


 十一時半頃、音楽室で蓮司と正体不明の人物を見ている。


 凶器候補の調律道具についても知っていた可能性がある。


 一方で、篠原自身も何者かに襲われており、単純に殺害犯とは断定できない。



◆ 鷺沼


 雨宮家の使用人。


 七年前の十一時十七分の出来事を知っていた。


 崖下に譜面の断片が残っていることも、七年前から知っていた。


 今夜、蓮司を裏口から館へ入れていた。


 時計塔、鍵、音楽室、宗一郎の録音機、懐中時計について詳しい。


 多くの情報を隠していたため、事件を歪めた人物の一人であることは間違いない。


 ただし、隠していた理由は宗一郎への忠誠と、雨宮家の秘密を守るためだった可能性が高い。


 殺害犯かどうかは、まだ不明。



◆ 紗英


 玲司を守ろうとして、蓮司から玲司宛てに届いた手紙を隠していた。


 手紙には、七年前の真相、第五楽章の本当の名前、玲司の出生に関わる秘密が書かれていた。


 紗英の沈黙によって、蓮司が今夜何をしようとしていたのかが見えにくくなった。


 殺意というより、玲司を守るための沈黙が事件を歪めた人物。


 現時点では、蓮司殺害の直接的な証拠はない。



◆ 久世将臣


 美術商。


 第五楽章の価値に強い関心を持っている。


 午後九時半頃に音楽室へ入り、自動演奏ピアノに紙ロールが入っているのを見たと証言した。


 時計塔にも入り、黒い布を拾った。


 その黒い布を捨てようとしたため、証拠隠滅に近い行動をしている。


 本人は、篠原を庇おうとしたと説明している。


 第五楽章を商品価値として見ていた人物だが、蓮司を殺したかどうかはまだ不明。



◆ 雨宮奏太


 宗一郎を尊敬していた音大生。


 十一時頃、音楽室へ入り、グランドピアノの低いラを押した。


 その後、金属音を聞いている。


 低いラが複数回鳴っていたことを証言した重要人物。


 宗一郎を偉大な作曲家として信じていたが、第五楽章が蓮司と篠原の共作だった可能性が出たことで、その信仰は崩れつつある。


 宗一郎への信仰が崩れつつある今、彼が何を守ろうとしているのかはまだ見えていない。



◆ 雨宮静乃


 宗一郎の妻。


 七年前の十一時十七分を覚えていた人物。


 宗一郎が、名前、時刻、血を書き換えたことを知っている。


 宗一郎の罪を以前から疑っていたが、長く沈黙していた。


 玲司が雨宮家の血を引いていないことも知っていた。


 核心に近い人物だが、沈黙してきた理由まではまだ明らかになっていない。



【現時点で重要なこと】


・七年前の真相と、今夜の殺人はつながっている。

・しかし、七年前の真相を隠した人物と、今夜蓮司を殺した人物は同じとは限らない。

・音を仕掛けた人物、証拠を隠した人物、蓮司を館に入れた人物、蓮司を殺した人物は分けて考える必要がある。

・ここからは、それぞれの沈黙を一つずつ外していく必要がある。

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