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来々軒繁盛記 ~ 寒くなったねぇ。ここで、熱いラーメンを一杯、食べていきなヨ  作者: 白河夜舟
第13章 鳴人の実家、彼女の手際、家族とラーメン

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74 ところで、アンタ一体何者なんだ?

 中華料理の技法をフル活用して、おせち料理の素材を片っ端から具材にしてしまう、れんげちゃん。

 いや、モノには限度というものがあるだろう。

 こんなの、無理に決まってるだろう。

 れんげちゃん、あんた、一体何者なんだよ…


 火を通せば、大概のものは美味しく食べられますよ。

 調味液を先に作っておくのが、ポイントですね。

 麺にも素材を染み込ませて、メインスープと麺茹でを同時に行ってしまいましょう。

 時間との勝負ですので、鳴人さん、フォローをお願いしますね。


 わ、わかりました。無理なんて言って、スイマセンでした…

 売れ残った具がなくなったために、閉店のはこびとなった。

 麺もスープも、れんげちゃんが合間を見て作っていったが。

 クソ親父が、「おかげで全部売れたよ」といいにきて、ようやく、れんげちゃんの手が止まったのだった。

 客の方も、1杯目は大体行き渡り、お替りを求めての行列、ということで、なんとか納得して貰った。

「美味い、旨かったよ!」

「明日はやらないのかい?」

「来年も来ておくれよ」

「ほんとに、今日だけ限定なの?」

「どこに行けば、同じラーメンが食えるんだ?」

 ハハハ、こんなゴマカシラーメンなのに、なんか大好評のようだ。

 応対に追われながら、道具やテントを片づけると、もう辺りはすっかり暗くなっている。

 スーパーの方も、どうやら無事に今年の営業を終えて、店じまいも済んだようだ。

「いやあ、おかげで助かったよ。…ところで、アンタ一体何者なんだ?」

 クソ親父、俺の方なんか見向きもしない。

「親父、んな判りきった事聞くなよ。鳴人のコレに決まってんだろうが。な?」

 ウチの次男坊の吹人兄貴が、小指を立てながら俺を見て、ニヤリと笑う。

 精肉部門のチーフであり、年も微妙に近くて遠くて。

 まあ、何とは無しに味方、なのだ。

「まーさか。コイツにそんな甲斐性あるわけないだろが」

 うっせーよ。長男で跡継ぎだからってイバリやがって。

 親父が全面的に信頼を置いている長男の玄人が、軽蔑的な視線を俺とれんげちゃんの二人に送った。

「なに言ってるんだい。オマエが仕入れを間違えるから、お節用の食材、全部売れ残る所だったんじゃないか!」

 俺の母ちゃんが、景気よく大兄ちゃんを叱り飛ばした。

 事務職、デスクワークの達人であり、ほとんど一人でスーパーの簿記会計を取り仕切っている。

 俺もよく手伝わされて、色々仕込まれたものだ。

「でも、まあ、助かったわよ。ホントよく来てくれたネエ」

 コロッと変わる、猫なで声。

「は、はあ…」

 れんげちゃん、目をパチクリして俺の母ちゃんを見つめている。

「鳴人の嫁には勿体ないけど。縁は天からの授かり物だからねえ…」

 ハハハ、母ちゃん、電話でキチンと説明したんだけどなあ。

 俺の話なんて、最後まで聞いた試し、ないからな。

 れんげちゃんも、戸惑いまくっているし。

「お母さん、チガウ、チガウわよ。兄貴のいう通り、こんな働き者の娘、鳴人の相手には勿体ないじゃない」

 クソォ、そこまでいうか姉貴!

 婦人服部門の部長兼バイヤーったって、一人でテナントスペース借りて、調子のいい言葉で地元の田舎婦人をダマクラかしているだけのくせに!

 アネキなんか、れんげちゃんの働きの10分の1にもならないわい!

 でも、世渡りだけは、なんか上手いんだよね。その辺も、まさにれんげちゃんとは正反対だよな。

「とにかくっ!」

 耳目がれんげちゃんに移っているのが面白くないらしい。

 クソ親父、ひときわ声を張り上げる。

「詳しい話は、家に帰ってからだ!」

 鳴人君のご家族を紹介。

 揃いも揃って、一癖も二癖もありそうな面々。

 小さい頃からこんな兄弟たちに、揉みくしゃに揉まれてりゃ。

 まあ、性格もひん曲がるわな。


 そうだろう?

 そうだよな。俺は何も悪くないよな?

 コラ鳴人!この出来損ないが!

 そんな考えだから、オマエはいつまで経っても…

 コイツに何言っても無駄無駄。だって甘ったれで要領が悪いんだもん。

 まあまあ、コイツはコイツで、それなりに頑張ってるんだから。

 鳴人、ちょっと来な。こっちの伝票を…

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