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来々軒繁盛記 ~ 寒くなったねぇ。ここで、熱いラーメンを一杯、食べていきなヨ  作者: 白河夜舟
第13章 鳴人の実家、彼女の手際、家族とラーメン

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71/97

71 中堅スーパー『GOMI+』

 新章開幕。

 

 鳴人君の、これまでの人生と背景。

 今回は、そういうお話です。

 ま、それだけだとツマランので、色々とやりますけどね。


 俺の人生を、ツマランとは何事だよ!

 だって、ツマランでしょ?書いてて楽しくないもん。

 こ、こ、この作者めぇ!


 トンネルを抜けると、そこは雪国だった。

 なんて、あんまり野暮な事言いたくないんだけど。

 事実、その通りなんだからしょうがない。

 地元のエライ代議士さんが無理やり通してくれた、日本縦断トンネルのオモテとウラは、見事に俺たちを季節旅行に導いてくれる。


 ただ、俺の実家は、駅からバスで線路沿いに戻っていくような、開け切っていない街にある。

 どういう利権争いが絡んだのかは知らないが、明らかに人口の多い街にではなく、田んぼと畑のど真ん中に駅だのバスターミナルだの造っておいて、周辺の土地の値上がりでも待っているつもりらしいから、エライ代議士のやることなんて信用できたものではない。

 ただ、足元でも見透かしたように、郊外型の大きなチェーンスーパーが、広々とした駐車場を隣接して、周辺の客を呼び集めているのだから、その内にこの地区も発展していくだろう。

 そんな、未来の一杯詰まった駅前を後にして、俺とれんげちゃん、それに年末の買い出しに出てきたらしい結構な人数のお客を乗せて、バスは除雪の利いた雪道を走る。


「綺麗な所ですねえ」

 譲って上げた窓越しの席から、外を楽しそうに眺めているれんげちゃん。

 傍目から見たら、どんな風に映るだろう、俺たち。

 観光に来るような街じゃなくて、しかも顔見知りの地元民でもないのだ。

 もう、嫁さん連れて実家に里帰りとしか思われないだろうな。

 れんげちゃん、そこの所、判ってるのかなぁ。

 …そんなわけ、無いよな。


          ~ ・ ~


 中堅スーパー『GOMI+』は、相変わらずの、地元密着型のスーパーだった。

 300坪ほどのワンフロアの店内に、日常に必要なものは大方揃えている。

 地元では、文句なしのナンバーワンの大きさ。

 だが、人口2万程のこの街で、そんな大きさを誇っても仕方がないだろうとは思う。

 それでも、俺の親父がこのスーパーを建ち上げた当時は、地元の商店街とはかなりモメタらしい。

 俺はまだ、小学校に入ったばかりの頃で、そんな利権だのなんだのは知らなかった。

 学校の上級生の幾人かに、やたら目の敵にされた記憶だけは、おぼろげながらに残っているのだ。

 ただ、4つ上のアニキが睨みを利かせてくれたので、そんなに酷くいびられた、という事はなかった。

 結局、スーパーが営業を始める頃には、廃業する店は廃業し、酒類やタバコやらの免許を持っている店はテナントとして入り込んだりして、なんとか収まってしまい、それに伴って俺に対する風当たりも和らいだのだが。

 子供心に抱いていた、成り行きに任せるしかないという俺の考え方が、やがて、そんな強引さを身の上とする親父への反発感に繋がっていった。

 一部には、俺のヒネ曲がった根性にも理由はあるとは思うのだが。

 いやしかし、子供が店を手伝うのは当たり前、という教育方針の元に、俺もそれなりに仕事したつもりではいたのだ。

 だが、俺は、兄貴姉貴に比べると、出来が悪かったらしく。

 家族会議の時には、いつも俺がダシにされていた。

 経理担当の俺の母と、精肉担当の、中卒ですでに店に入っていた上の兄貴に、よく庇って貰ったものだが。

 まあ、二人とも、俺がいなくても担当部署をしっかり切り盛りしていた事もあるし。

 俺自身、末っ子という事もあり、手伝いに身が入らなかったという事もあるのだろう。

 言い訳にしかならないが、こんな地元のスーパーに骨を埋めて働きたいとはどうしても思えなかったし。

 そういう俺の気構えをすっかり見抜いていた親父や大兄や姉貴からは、馬鹿にされるか怒鳴られるか軽蔑されるかでしかなかった訳だし。

 そういう浮ついた自分をなんとかしながら、やりたくもない店の手伝いをゴマカス方法として、俺は東京の有名大学を受験したいと言い出した。

 一応の理解を得て、いざ受験して…

 結果は、滑り止めの商業大学一校に受かっただけだった。

 将来、役に立つだろうというせめてもの親心なのか。

 それとも、やっかい払いができたということなのだろうか。

 細々とでも、仕送りを送ってくれる母には頭が上がらないのだが。

 それでも、人生に挫折した俺は、来々軒のラーメンに、れんげちゃんのラーメンに出会うまでは、自堕落な生活を送っていたのである…

 作者が小学生の時、同じ学校の同学年に、地元スーパーの御曹司が在学していました。

 そのスーパーには、よく買い物に行きました。テナントも結構入っていました。

 当然、実家もお屋敷でした。

 数十年後、そのスーパーは潰れていました。

 作者の思い出が、また一つ、消え去ったのです。


 しかし、こうして小説で、再び蘇らせることが出来るのです。(脚色してますけど)

 創作って、楽しいですね。

 

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