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来々軒繁盛記 ~ 寒くなったねぇ。ここで、熱いラーメンを一杯、食べていきなヨ  作者: 白河夜舟
第9章 手伝う彼女、教える鳴人、来々軒の帳簿

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45/98

45 うわぁ、さすがに速いですね

 仕分けと仕訳。

 この辺も、簿記を習っている人とシロウトでは、全然違います。

 ラーメン作りに特化したれんげちゃんと、シロウトの鳴人君位に、違うんです。

 という事を、表現したかったんです。

 パソコンの横の空いたスペースに、一昨年の伝票を仕訳していく。

 枚数が少ないので、簡単に終わる。

 ただ、れんげちゃんの“仕分け”に結構ミスがあったので、自分でやり直したけど。(簿記として“仕訳”する場合は、項目ごとに分けるのが常識なんだよね)

「うわぁ、さすがに速いですね」

 れんげちゃん、目を丸くして俺に見とれている。

 いや、コツというか、きちんと習っていれば、そう難しいもんじゃない。

 まして、たいした売り上げや取引があったわけじゃないし。

 れんげちゃんの来々軒での仕事ぶりに比べたら、こんな事なんでもないよ。

「…わたしの仕分け、間違いありました?」

「ハハ、大丈夫だよ」

 “仕分け”と“仕訳”の区別がつかないわりには、頑張った方だよ。

 軽く笑って流すと、俺は入力作業を始めた。

 会計ソフトのいい所は、仕訳入力さえしてしまえば、面倒な決算書や元帳を一発で出力してくれる所だ。

 俺の実家では誰もパソコンを扱えないでいたし、そもそも機械を使おうなんて発想すら無かったから、全部手書きで記帳していたけど。

 俺の右手がテンキーとカーソルを流れるように動き、左手が伝票の束をドンドンめくっていくのを、彼女、惚れ惚れと眺めている。

 まあ、悪い、気は、しない。

 うん、悪くは、無いけど。

 でも、ちょっと、気恥ずかしい、かな。

「…れんげちゃん、そろそろ、お腹、空かない?」

「あっ、そうですね。わたし、なにか作りますねっ!」

 パタパタと台所に行くと、しばらくして包丁のリズミカルな音が聞こえてきた。

 キーボードを叩く音と。

 包丁が具材を刻む音と。

 ああ、なんか、いいなあ…

 うーん、残業を家に持ち込んだ夫と、それを労って美味しい料理をこさえる妻。

 まるで、新婚家庭みたいだよなぁ…

 なんて、調子に乗ってくると、俺の場合、仕事がはかどるらしい。

 一昨年、去年の分と、簡単に捌いてしまった。

 問題は今年。それも、繁盛し始めた下半期の分だよな。

「あのぉ、お昼ご飯、出来ましたけど…?」

「うん、ちゃぶ台だすよ」

 俺は、入力を切り上げると、小さなちゃぶ台を取りに立ち上がった。

 包丁がまな板を叩く音と。

 伝票をめくりながらキーボードを叩く音が重なる。

 なんか、いいなぁ…


 さすがに、調子に乗りすぎだろ。

 いいじゃないかよ、妄想する位さぁ。

 だって本人が俺の部屋にいて、メシ作ってくれてるんだぜ?

 これこそ、来々軒繁盛記ってものだろ?

 …いや、さすがにチガウゾ。

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