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来々軒繁盛記 ~ 寒くなったねぇ。ここで、熱いラーメンを一杯、食べていきなヨ  作者: 白河夜舟
第9章 手伝う彼女、教える鳴人、来々軒の帳簿

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43 いや、そんな涙ぐまなくてもいいんだって

 パソコンの置き場所。

 当時は、ノートパソコンなんてものはありませんでした。

 パソコンはデスクトップが当たり前で、とにかく、かさばってましたね。

 OSは自分で組み込むのも、当たり前。

 WINDOWS、最初からは入ってないんですよ。

 しかも、フロッピーがまだバリバリの現役な時代。


 あの、それ、なんですか?

 そうか、フロッピーを知らないのか…

 テーブルの上を片づけて、パソコンを設置する。

 その準備をしている間に、れんげちゃんには伝票の整理を頼んだ。

「親父さん、年度ごとに分けてくれているから、あとは同じ伝票を揃えておいてくれればいいよ」

「ハイッ!」

 嬉しそうに頷くと、早速作業に取りかかってくれた。

 いいなあ、れんげちゃん、素直で可愛くて。

 …なんて妄想に取りつかれている場合ではない。

 さすがに中古品のパソコンなので、OSが組み込まれていないのだ。

 付属の袋の中に、確かあったはず…

 おっとこれこれ。

 なにぃ、CD-ROMだとっ!このパソコン、そんなものついてないぞ!

 あの中古屋、バカじゃないのか。使えもしないもの添付して…

 おっと、フロッピーあるじゃないか。こっちを使えってか。

 …時間、かかるよなあ。

 電源をいれて、マシンを立ち上げている間。

 ちょっと視線を上げると、れんげちゃん、なにか悩んでいる様子。

「どしたの?」

「あの、これ、どうやって分けるんですか…?」

 手にしていた領収書を見ると、店の名前と金額しか載っていない。

「ああ、こういうのは“不明”って事で、別の山にしといて。後で俺、調べるから」

「は、はい」

 手が空いたので、れんげちゃんの仕訳した伝票にも、ざっと目を通す。

 パラパラっとめくると、案の定、違う項目の伝票がボロボロ出てきた。

 そうだよな、きちんと教えてないもんな。

「れんげちゃん、コレとコレ、違うよ。ほら、品名が違うし、伝票の形も、微妙に違うでしょ」

「あっ、ホントですね。スイマセン」

 いや、そんなに恐縮しなくたって。

 …あれ?

 こういう事、どこかであったような。

 そういえば、俺が来々軒でれんげちゃんに仕事を教わっていた時に、同じように言われてたっけ。

 そっか、あの時、れんげちゃん、俺の事をこういう風に思っていたのか。

「いや、いいんだ。これは、俺の仕事なんだし。手伝ってくれるその気持ちだけで充分だよ」

「鳴人さん…ありがとうございます…」

 いや、そんな涙ぐまなくてもいいんだって。

 別に怒っているわけじゃないんだ。

 思わず俺も、笑顔で彼女の肩を叩いてしまった。

 伝票の仕分け方。

 これは、教えるというより、任せた鳴人が悪い。シロウトには、無理デス。


 ただの鳴人の部屋の中での出来事なのに、随分と内容が濃い。

 まとめて掲載しようと思ったんですけど、短めにカットして、少しでも読みやすくしますね。

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