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来々軒繁盛記 ~ 寒くなったねぇ。ここで、熱いラーメンを一杯、食べていきなヨ  作者: 白河夜舟
第8章 恋のライバル、吟味する彼女、親父の過去

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39 そっか、親父とれんげちゃん、親子なのか

 鳴人、絶好調!

 すっかり、来々軒に馴染んだようです。


 そうか、俺、親父さんに気に入られたから、ここでバイトしてるんだもんな。

 れんげちゃんと、一緒に働いてるんだよな。

 そして、れんげちゃんは親父の娘。

 うふ、うふふふ…

 今日一日を、俺は気持ちよく働いた。

 手つきが自然でスムーズに動く。

 親父の茹で上げる麺にタイミングを合わせてスープを注いでいく手つきに、無駄はない。

 れんげちゃんから注文が入った時に、少し待つ余裕さえ出てきた。

 親父が麺を茹で上げる、その少し前からメインスープを注ぎ始める。

 このコツとタイミングである。

 スープも、調味用とメインのスープが上手く混ざって、我ながらイイ感じである。

 そこに親父の茹でた麺がチャッチャッと注がれる。

 入れ始めると同時に俺の手も動き、次のドンブリ、その次とドンドン注いでいく。

 スープを入れる俺の手の方が、当然麺を茹でる親父の手より速いため、だいたい麺が半分入った所で俺の手が空く。

 空いた所で、具を盛りつけていく。

 れんげちゃん直伝の、両手を使っての盛りつけも様になってきた。

 二回の動作で、アツアツのラーメンの上に具の美しい盛りつけの花を咲かせる。

 モチモチのナルトと、味の染みた歯ごたえのあるメンマ。

 中央にシャキシャキなヒゲネギ、横に旨味たっぷりのチャーシュー。

 我ながら、本当に美味そうなラーメンである。

 その動作を、流れるように次のドンブリへと繋げていく。

 そこに颯爽とれんげちゃんが現れて、大きなお盆の上にドンブリを乗せていく。

 親父が麺を乗せ終えて。

 俺が具材を乗せ終えて。

 れんげちゃんがドンブリをお盆に乗せ終えて。

 客席にお届けして、一丁上がりである。

「お待たせしましたっ!醤油三丁味噌二丁ですっ。ごゆっくりどうぞっ!」

 れんげちゃんの声が店内に可愛らしく響き、それがまた来々軒を加熱していく。

「御会計、二千五百円になります。はい、ちょうどお預かり致します」

「ありがとうございましたっ!」

「アリガトヤシタッ!」

「ありがとっシタッ!」

 れんげちゃんの声に引かれて、親父と同時に俺も声が出る。

 綺麗なハーモニーを奏でる。

 今日は、調子がいい。

 なんか、すごぶる調子がいい。

 手も動くし、声も出ている。

 なにより、やる気がスゴイ。

 我ながら、驚くほどだ。

 そっか、親父とれんげちゃん、親子なのか。

 そして、俺は親父に気に入られているんだ。

 うふ、うふふふ…

「鳴人君、今日はご機嫌だね」

 親父が、なんか嬉しそうに俺を見ている。

 俺の手際が良くなってきたので、調理場にも余裕が生まれてきたようだ。

「い、いや、そんな事ないですけど…」

 と言いつつ俺は、にやけた顔を崩せないでいる。

「そっか、明日は定休日だからな。いいネエ、若い人は。遊ぶ楽しみがあって」

「いい、いいえ、俺、別に仕事つまらないわけじゃないですし…」

「まあまあ、無理しなくったっていいんだヨ。若いうちは大いに遊ぶのも結構じゃないか。そうだ、今晩は飲むか?」

「ええ、いっすよ」

 定休日前に親父と飲むのは、なんか恒例になってきた。

 ううむ、これはまた、良い傾向だよな。

 …おっと、れんげちゃんのオーダーだ。

「マスター、醤油二丁塩一丁ッ!」

「アイヨッ、醤油二丁塩一丁ッ!」

「オッケー、醤油二丁塩一丁ッ!」

 俺も、二人に合わせて元気な掛け声を上げた。


 店員さん同士の雰囲気は、客にも敏感に伝わります。

 いくらラーメンが旨くても、店員同士がギスギスしてると折角のラーメンに集中出来ませんよね。

 ラーメンは、楽しく美味しく頂きたいものです。

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