第108話 アランのお茶会と襲撃 リナの保護
団長が来てるなら、合流しないと……そう思って、リナが騎士団の方に向かおうとしたら、いきなり、身体が浮いて誰かに担がれてしまった。
(へ? また私、担がれている?)
「大丈夫ですか。アラン王子殿下」
セドリックがリナを担ぎながら、アランに確認している。公共の場なので、言葉遣いが丁寧だ。
「ああ。問題ない」
「セドリック様。私荷物じゃないです」
と言う、リナの言葉は完全に無視される。
「少し、現場離れても良いですか」
「そのために、サイラス連れて来たんだろう。早くリナを連れて行け」
「え? ちょっと、待って」
「リナ」
アランがリナに呼びかける。
「後は任せて。手紙もちゃんと届けるから」
笑顔でリナを見送る。
アランは、リナが安全なところに保護される事にホッとしていた。
もう、こんな危ないところに戻って来てはいけないよ……と。
そんな、アランの思いなど知らない……知っていても変わらないだろうけど……リナは、セドリックの肩の上で大暴れしていた。
「降ろして下さい。セドリック様。降ろせ~~」
ふと、リナが遠くを見ると、騎士と近衛が入り交じって乱入した兵士らしき人たちを捕縛していた。
サイラスは戦いながら手振ってるし。余裕か。
「大丈夫だから、降ろして下さい。戻って現場見ないと」
「見なくて良い」
セドリックはリナを担いで、ズンズン歩いて行く。
(なんで、人一人担いでこんなに早く歩けるのかなぁ~じゃなくて)
「取り調べ」
「もともと、司令官の仕事じゃない」
セドリックの後を、近衛騎士団の何人かが付いてきていた。
リナが命令できないように、騎士団と近衛第三部隊を外して連れて行っている。
王宮の外れの馬を繋ぐところまで来て、セドリックが言った。
「ちょっと、暴れるなよ」
そのまま、リナを馬の背中に乗せる。
すぐにセドリックも馬の背に乗ってきた。そのまま、駆け出す。
リナは馬を走らせている間、セドリックの腕の中に収まっている感じになっていた。
言われるまでも無く、暴れたら落ちるのでセドリックにしがみついている。
馬から降りたら、クランベリー公爵家のリナの部屋として用意されている部屋に、連れて行かれた。
「セドリック様。現場に戻して下さい」
「危ないからダメだ」
「危なくても自業自得だって言ったのは、セドリック様でしょ? 戻ります」
リナはセドリックの横をすり抜けようとした。
「ここから出たら、護衛の近衛騎士。現場処刑するからな」
セドリックは静かに言う。
リナは、思わず動きを止めてしまった。
(何……ですって? 今、なんていった?)
信じられないっていう目で、セドリックを見る。
「正気なの?」
「現場処刑はリナちゃんの権力の、範囲外だったよな」
(こんなこと聞かされて、付いてきた騎士達は平気なの? 皆、無表情で立ってるけど……)
セドリックは、リナに目線を合わせて言う。
「頼むから、聞き分けてくれ。本当に危ないんだ。お前、アランと一緒に斬り殺されそうになってただろ?」
今のセドリックは、心配を通り越して泣きそうな顔になっていた。
リナは、セドリックを抱きしめる。
リナも司令官の礼服を着ているから、絵面は考えたくないけれど。
「分かりました」
「ごめん。リナちゃん」
セドリックは現場に戻っていった。
護衛は、ドアのところとバルコニーの外に数名ずつ付いている。
そのうち侍女が数人入ってきて、部屋着のワンピースに着替えさせてくれた。
お茶を飲んで、人心地つく。司令官の礼服を持って行かれなくて良かった。
アレには色々入ってる。
リナは例のごとく、部屋の鍵を開けて護衛の人に声をかけた。
「なんで、鍵開いてるんですか」
護衛の人の驚きは無視して。
「ちょっと、お願いがあるんですが」
「外には出せませんよ。本当に危ないんですからね」
「約束は守りますよ。そうではなくてウォーレン・ライラ伯を呼び出すことはできますか?」
「近衛第4部隊のですか? 今、現場に居ると思いますが……。分かりました」
「お願いします」
とりあえず、情報収集して動けるようにしないと。
リナは色々と段取りを考えていた。




