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スーパーのベーカリーはタイマーがいつもうるさい  作者: 麻生あきら


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3/7

03 4時半には起床

 スーパーのベーカリーの朝は早い。

 いや、スーパーでなくてもベーカリーの朝は早い。

 しかもベーカリーでなくてもスーパーの朝は早い。

 

 何故なら開店時にある程度商品が並んでいないといけないから。

 昼食にしようと買っていく人は多い。

 故に7時前には始業だ。

 冬には月と明けの明星が輝いている。寒いし暗い。

 

 

 

 出勤したら制服に着替えて、厨房へ。

 しばらくすれば慣れるが、厨房の中はイースト菌の匂い。

 

 窯、フライヤー、ホイロの電源を入れる。

 どれも電気だ。一体電気代はいくらかかるのだろう。

 

 窯は大体230度、フライヤーは175度になるまで放置。

 温度が上がるまでの間に、照り出しの溶き卵を用意。

 次いで、前日用意した生地を冷蔵庫や冷凍庫から取り出す。

 

 そう、スーパーのベーカリーは一次発酵の済んだ冷凍生地を使っている。

 粉から作るスクラッチベーカリーではない。

 前日にアルミトレーや、焼成に使う天板に乗せて冷蔵庫で解凍する。

 

 

 

 窯とフライヤーが温まるまで陳列棚の清掃と、売れ残りの回収。

 賞味期限がまだ残っているものは見切り(値下げ)のシールを貼る。

 売れ残りは廃棄する前に数えて端末に入力。

 

 このあたりで一発目の焼成に突入。

 解凍してあった二次発酵の必要がないスコーンやパイ生地のものを、三段ある窯に入れていく。

 焼き時間と上火下火を設定してタイマーオン!

 

 

 

 ここから戦場となる。

 

 パンはイースト菌を発酵させなければならない。

 解凍された一次発酵の済んだ生地をホイロで二次発酵させる。

 ホイロとは、湿度と温度の管理が出来る前面がガラスのケース。

 時間設定で解凍から二次発酵までさせることが出来る。

 

 だが、一旦麺台で成形してから二次発酵させるものもある。

 麺台とはポリエチレンの白い家庭用まな板が60✕100✕3センチ程に大きくなったもの。

 その上に強力粉を振って、貼り付かないようにして作業する。

 

 例えば生地でチーズを包んだり、切り込みを入れて8の字に成形したり。

 生地三枚を重ねたものを俵型にして、山型パンの型に並べたり。

 

 そしてここでタイトルのタイマーが登場する。

 レシピ通りに発酵時間をセットしてタイマーオン! ホイロにゴー!

 二次発酵はその時々の室温や湿度に案外左右されるので、経験と勘で時間は調整。

 

 ホイロ脇には常に3〜4個のタイマーが用意されている。

 一種類に一つずつ。二種類に一つの場合もある。

 ケースの中の棚に合わせて、ホイロの外側に磁石の付いたタイマーを置く。

 

 

 

 麺台での成形がないものは、一発目の焼成が終わった後に窯に入れられる。

 レシピに二次発酵が終わった後の大きさの目安が載っているので、メジャーで測る。

 程よい大きさになったらホイロから取り出し、窯担当があれこれトッピングをする。

 

 生地に照りの卵を塗り、その上にソーセージ。

 そこにマヨネーズとケチャップを交差させて乗せる。

 

 塩パン生地に霧吹きで水をかけ、塩を振る。

 

 丸い生地の天辺にクープ(カミソリ)で一本浅く切り込みを入れる。

 上から茶こしで小麦粉を振りかける。

 

 そして空いた窯に投入されていく。

 もちろん、それぞれが焼き時間と上火下火を設定し直され、タイマーオン!

 

 

 

 もうこれだけで6〜7ヶ所にタイマーがセットされている。

 そしてそれぞれが、鳴る。

 うるさい。

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