04 まだまだ鳴るよ
忘れてもらっては困る。
フライヤーの存在を。
みんな大好き甘いパン。玉子ドーナツ、チュロス、あんドーナツ。
そしてカレーパン。
麺台の横に設置されたフライヤー。
タイミングを見計らい、麺台作業と並行して揚げていく
まずは175度で玉子ドーナツ。3分タイマーオン!
その隙にあんドーナツとカレーパンをフライヤー下部のホイロに入れて、30分タイマーオン!
玉子ドーナツが三分経ったら裏返して、1分半タイマーオン!
フライヤーで、ホイロで、ピピピ、ピピピ⋯⋯。
窯で、ピーピーピー⋯⋯。
うん、うっさい。
「はいはいはい」と言いながら、どれが鳴っているのか探す。
麺台、フライヤー、窯。
その仕事ばかりしてはいられない。
焼いたものは袋詰めして売り場に並べなければならない。
以前は裸で籠に盛っていたが、感染予防のため袋詰めが当然になった。
もっとも、私のいた店舗はそれより前から袋詰めしていたが。
⋯⋯少しでも売れるように。
あらゆる隙を狙って冷めたパンを袋詰めしては、売り場に並べる。
「いらっしゃいませ。こんにちは~」笑顔で言いながら。
袋詰めしたものには商品名と材料、価格などが印刷されたラベルを貼る。
ラベル機の前で商品名と価格を声に出して、画面操作。
一つ一つ貼る。
相方に見せて間違いがないかチェック。
商品によって金額も変わるのでラベルミスは厳禁。
何よりアレルギー表記が問題になる。
間違えば死に繋がる場合もある。
そこ大事。
売り場に出る時に両手が籠で塞がっている場合が多い。
厨房側からスイングドアを蹴って出ていく。
足癖が悪くなった。
でも、めっちゃ笑顔。
マスクしてるし、帽子被ってるから目しか見えてないけど。
そして厨房に戻ると、どこかでタイマーが鳴っていたりする。
相方の手が空いていないと延々と鳴り続ける。
慌てつつも走らない。
油と粉で床が滑ったりするから。
とにかく、いつだってタイマーはうるさい。




