ステラ機体設定資料① ※第一章エピローグまでのネタバレ少し含む
ノアの外骨格フレーム
名称〈ステラ〉
古代語で「星」。
アキラの名字〈星〉と同義。
型式名(帝国へ提出するためのウァレリアによる後付け)
S.T.E.L.L.A./Synchronized Twin-Entry Layered Linkage Armature
和訳・同調複座積層連結外骨格
外見
白地に金の装飾。
全長十二メートル
兵器より儀式の道具に見えるほど精密で過剰な装飾。
腰から下に流動する多重装甲が幾重にも垂れ、ドレスの裾のように広がる。
背後に四枚の長大な刃が浮遊。頭部後方から白い糸状部が流れる。
目が薄紫に発光。
一般的シグヌムとのスペック比較
全長
ジグヌム:十二メートル
ステラ:十二メートル。ケーレス展開時は見かけ四十メートル級
動力源
シグヌム:動力縮退炉
ステラ:炉を持たず、位相差から直接抽出
連続稼働時間
シグヌム:約三十時間(使用兵器により大きく変動)
ステラ:機構上は無制限
操作方法
シグヌム:インプラント経由の神経接続
ステラ:〈シンパテイア〉による相互人格共鳴接続
操縦者
シグヌム:複数
ステラ:アキラのみ
装甲の異常性
板は分割されているが、ボルト、リベット、溶接、噛み合わせの爪がない。
装甲同士は触れてすらいないのに、均一な隙間を保って定位置に浮く。
素材そのものが変形し、押せばへこみ、離せば水面のように元の輪郭へ戻る。
可動部の隙間という概念がない。
兵装名称および機能
位相境界場シールド<テメノス>
自機の位相を外界からずらし外界からの干渉を弾くシールド。最大出力ては触れたものを位相差で崩壊させる防御・攻撃・動力を兼ねた最強シールドになる。
テメノス、位相差の運用には複雑な演算が必要になり、ノアが担当している。
テメノスの運用制約
位相深度の偏向と〈貫通軸〉
テメノスはステラ全体を覆うが、位相差の深さを全方向へ均一に最大化することはできない。
突破攻撃では、進行方向の一本へ位相差と演算資源を集中する。この空間上の直線を〈貫通軸〉と呼ぶ。
貫通軸の正面では、敵の砲撃、防御場、装甲をまとめて位相差で崩壊させられる。
正面へ集中している間も側面と背面にはテメノスが残るが、正面より位相差が浅くなり、防御能力は低下する。
最大出力時の運動制約
貫通軸を固定した状態では、急旋回・急停止・大幅な進路変更ができない。
軸の変更には、正面への集中を一度弱め、姿勢変更、敵位置の再計算、再設定を行う必要がある。
この再設定中は、テメノスが消えるわけではないが、突破時より防御と攻撃の双方が低下する。
高機動の敵は、軸設定後に横へ外れる、再設定中を狙う、複数方向から攻撃することで対抗できる。
外界認識の制約
位相差が深くなるほど、外界から届く光、電波、重力情報などに遅延と誤差が生じる。
完全に視界を失うわけではないため、動きの遅い大型目標には影響が小さいが、高速で軌道を変える敵との近接戦では、わずかな情報遅延が致命的になる。
外界への接触
テメノスの境界そのものをぶつける突撃は、防御と攻撃を同時に成立させられる。
しかし、物体を掴む、救助対象へ触れる場合は、該当部位だけを外界と接続可能な位相へ戻す必要があるため、一瞬の脆弱性が生じる。
テメノスに対する基本攻略法
貫通軸の設定後に横方向へ回避し、突撃を空振りさせる。正面へ出力を集中させた状態で、側面・後方から同時攻撃する。一度目の突撃を囮で受け、次の貫通軸を再設定する間を狙う。
散開・高速機動・不規則な軌道変更により、事前計算された直線突破を成立させない。
テメノスを正面火力で破壊するのではなく、強い方向を外し、無敵に近い状態を維持できない戦況へ追い込む。などなど。
〈ハルパー〉/位相断層大剣
機体全高級、全長およそ十一メートルの大剣。
白銀の刀身に金色の回路状意匠を持つ。
通常時は物理剣として存在するが、起動時には刀身の左右へ微細に異なる位相を形成し、その境界を通った物質を「硬さに勝って切る」のではなく、同じ場所へ存在できない状態にして分断する。
〈テメノス〉が接触した対象全体を崩壊させるのに対し、ハルパーは狙った線だけを切ることができるようになる。
アキラの技量とシンパテイア同調率が深まるほど「切るもの/切らないもの」の選択精度が上がる。
〈ケーレス〉/四基独立位相刃
背部に浮遊する四枚一組の長大な刃。
各一枚はおよそ八〜十メートル級。白い装甲板状の本体と金色の刃縁を持つ。
ステラ本体から切り離された位相境界の遠隔端末であり、使いこなせれば分離後も独立飛行する。
通常時は背部で迎撃、防御、推進補助、姿勢制御を担当する。
分離時の主用途は四つ。①高速斬撃、②四方向からの包囲・退路制限、③複数枚を並べた臨時防壁、④貫通軸の前方へ先行展開して突破経路を作る先導刃。
人間には存在しない「追加の四肢」に相当するため、アキラにとって最も習得が難しい武装。低習熟時は一枚ずつしか意識的に扱えず、複数同時運用では身体感覚が混線する。
〈シンパテイア〉が深まると、アキラの意図をノアが補助的に分配し、四枚を別々の目的で同時運用できるようになる。
ケーレスは二人の相互理解が最も露骨に性能へ反映される兵装。
分離中はテメノスの演算・位相資源も各刃へ分配されるため、本体防御と全刃の最大出力を同時に維持することはできない。
〈ディクテュオン〉DIKTYON/位相猟網
〈ディクテュオン〉は独立兵装ではなく、四枚の〈ケーレス〉と〈テメノス〉を組み合わせた広域対群戦用の複合運用。
名称はギリシャ語の「網」に由来する。
四枚のケーレスをステラ本体から数km〜数百km規模まで分離展開し、それぞれを空間上の位相基準点として固定し、
ステラ本体と四基のアンカーの間へ、通常より〈テメノス〉の位相境界を多数の線・膜として張り巡らせ、巨大な三次元猟網を形成する。
通常の〈テメノス〉による突破攻撃が「深く狭く」位相差を集中して突破力・防御力を得るのに対し、ディクテュオンは位相差を薄く広く分配する。
そのため単一点の破壊力は低下するが、広大な空間を同時に危険領域へ変えられる。
網目は物理的な糸ではなく、互いに異なる位相状態の境界線。敵性個体が境界へ高速で接触すると、接触部がずれ・裂け・切断される。
小型テリオンには致命的で、中型には四肢・推進器・外装の切断や行動阻害を与える。大型テリオンには決定打になりにくい。
ケーレス四基は固定された杭ではなく独立飛行可能なため、網全体を回転・移動・収縮させられる。
敵群を追い込む、逃走方向だけを塞ぐ、ステラへ殺到する群れの通路を限定するなど、撃つ武器というより戦場の形を作り変える兵装として運用する。
制約・弱点
位相資源を広域へ分散するため、展開中はステラ本体の〈テメノス〉防御が大幅に浅くなる。四枚すべてのケーレスも本体防御・迎撃から離れるため、ステラ自身が最も無防備になりやすい対群戦形態でもある。ケーレスの一基でも大きく位置をずらされる、捕縛される、損傷するなどすると網の幾何構造が崩れ、その方向に大きな穴が開く。
網目には有限の間隔が存在する。
敵味方を一体ずつ識別して位相境界を瞬時に開閉するほどの精密制御は不可能。
味方艦・救命艇・友軍SIGNUMを網の内部へ入れたまま使用できないため、原則として友軍を展開範囲外へ退避させる必要がある。
〈ペプロス〉/流動多層装甲
腰から下へ女神の衣のように広がる、無数の薄い可変装甲片の集合体。
攻撃方向へ装甲密度を偏らせ、テメノスが薄くなった方向を物理的に補強する。各装甲片が微細な位相差を発生させ、宇宙空間での加速、減速、回転、横滑りなどの姿勢制御を補助する。最大の役割は慣性分散。
ステラそのものではなく生身のアキラが加速限界になるため、ペプロスが慣性負荷を機体全体へ逃がして搭乗者を守る。
損傷するとステラの機体性能より先に、アキラの生存可能な速度域が低下する。
アキラとの接続方法
正式呼称SYMPATHEIA/相互人格共鳴接続機構通称〈シンパテイア〉
語源は古典ギリシャ語sympatheia。「共に感じること」「共感・共鳴・相互感応」
敵性技術由来のステラ内部機構であるためギリシャ語系名称となっている。
〈シンパテイア〉は、単純にアキラの神経信号を読み取る操縦方式ではない。アキラとノアが、互いを自分の一部として扱うことを許可し、身体・感覚・判断を相手へ預けることで成立する相互接続である。
一方的な愛情だけでは最大接続に届かず、接続深度は二人のうち相手への信頼が浅い側に制限される。アキラがノアを知り、信じ、選び返すほど、制御精度、感覚共有、テメノスの位相深度が上昇する。
軽い口論、嫉妬、不機嫌では接続は失われないが、相手を道具と見なす、命を任せられない、重大な裏切りを疑うなど、根本的な信頼が崩れた場合にのみ不調が生じる。
『愛の力』
〈シンパテイア〉によって相互理解・信頼・自己境界の共有が深まるほど、予測誤差が減少し、アキラの基準外信号をより深く安全に利用できる。
愛情そのものがエネルギーを発生させるわけではないが、愛情と信頼が接続精度を上げ、結果としてテメノスの出力と制御能力を引き上げる。
ノアは人類記録を照合し、「説明できないのに確実に存在し、特定の相手へ自分を預けさせる力」を愛と分類する。
ノア曰く「相互理解、信頼、自己境界の共有によって出力が理論値を超えています。人類の語彙では、愛に該当します」。科学的な説明としては大胆に省略しているが、
――――本質的には正しい。




