↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大滝の石と黒猫のはなし  作者: ぽすしち
二十三

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/67

魂どうし





 二十三、




  「またきやがった!」


 カンジュウロウはとびのくようにヒコイチの後ろにかくれる。



「 あれ? あんたは・・・」

 身構えたヒコイチは肩の力をぬいた。



 その男の顔は忘れなどしないし、見間違えようもない。



「はい。トメヤのキョウタでございます」


 ほほえんでかるく頭をさげるのに、うしろにひっついた年寄りが、うう、と震えるような声をだす。



 ヒコイチはまったく寒気を感じていない。

「おい、乾物屋、おめえ猫になってから、キョウタさんには何度も会ってるだろうよ」

 トメヤで世話になっているのだから。



「あ、会ってるっていうかよ、その、」



「みつけたから、トメヤにいったのです」


 にこりと口にしたキョウタがこわいものでもあるかのように、カンジュウロウは身をすくませる。



「『みつけた』って? ・・・じゃあ、あんた、乾物屋をさがして?」

 だから、《こんなところ》に出てきたのか。



「いいえ。正しくいえば、さがしてみつけたのは『母親』ですが」



   ミャアウ


 返事のような鳴き声がしてキョウタの足元から白い猫が顔をだす。




「あれ、そいつは・・」


 長屋に出入りする白猫か、それとも  ―― あの、黒猫の母猫か。




 白猫を抱き上げたキョウタが、ずい、と一歩出る。ヒコイチの着物をつかむ乾物屋が、ずず、とさがる。



「さあ、マツキチ。 はやくあのこを返しなさい」


 やさしいが有無をいわせないキョウタの言葉に、年寄りは「いや、そのなあ、おれもまさかと思ったのよ」などと、いいわけのようなことを口にしはじめる。

「 ―― ほらよ、おれは死んでも地獄にいくしかねえから、どうするかと思ったらな、これがびっくり、地獄は地獄でも、あの、―― カギフジ屋が燃えてる場所にしか、いけねえんだよ。 ずっと、ずうーっと。家が燃えて、みんな逃げている中で、若いおれがなにしてるかを、何度も何度もみることになった。親父と番頭が、どんなふうに死んでいったかを、何度もなあ・・・。 で、ある日な、そこで、『クロ』に会ったのよ。おどろいた。なにしろクロはあんときにはもう、死んでいなかったはずだ。なのに、燃えてる家の中でばったり会ってなあ・・。『おう、ひさしぶりじゃあねえか』なんて、むこうが先に声かけてきたもんで、おれも『よう、どうしてた?』なんてこたえたら、・・・」



「 《魂》どうしがついて一つになって、 現世にもどったのですね?」


 キョウタがおおきな息をつき、白猫を足元におろし、腕をくんだ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。