つるぎ山のテング
同時に、目の前にあおい火がはしる。
そのあおい火は《囲い》をつくっている白く細長い綱を燃やしていた。それなのに、綱が燃えて切れる様子はない。それに魅せられるように、おもわずヒコイチは《囲い》に寄った。
「ぎゃあっ!」
突然、浮いていた刀がはじかれたようにヒコイチにむかってまっすぐにとんできた。
どうにかよければ、刀が後ろの壁に当たって落ちる音がした。
「い、いったい、」
「センネン!!」
刀を拾い上げながらジョウカイが怒鳴り、本堂の扉を片端からあけはなつ。
庵のほうから走り出た小坊主は、真っ黒な道着に身をつつみ、師匠をみあげる顔はこわばっていた。
「 馬鹿な《刀》が、おまえと間違えてヒコイチどのにむかったぞ。 いそげ」
手にした刀を放りなげる男の声も急いていた。
投げられた刀をつかんだセンネンは、師匠に『いそげ』といわれたのになぜかその場に立ったままで、上をみあげ空いたほうの手をあげた。
つられたヒコイチも空をみあげると、あおい空の中、真上からこちらへ黒いなにかが落ちてくる。
「 ・・・なんだ?」
ヒコイチがつぶやく間にせまったそれは、黒い着物を着た《人》だとわかった。
「 ・・・なんで、人が・・・上から・・・」
顔をこちらにむけて落ちてくるのは男のようだった。
くちをあけてみあげていると、迫ってくる男の背にいきなり大きく黒い、鳥のハネがひろげられた。
「 はっ!?」
とたんに水鳥のような羽ばたきの音がして、落ちるのをやめた黒男は、いちど上にあがってまわったあとねらいをつけるように低くとんでくると、あげていたセンネンの手をつかんでとびさった。
「ああ!!センネンさん!!ジョウカイさま!ひ、ひと、鳥の、さらって、」
ハネをはやした人に目の前で子どもがさらわれたのに、悠々と空をながめるジョウカイに、ヒコイチは回らない口で訴えかける。
「 ―― まあ、《つるぎ山のテング》ってのは、こういうときにつかわねえとな」
髭をかく坊主がにっとわらい片腕をあげると、すぐにおおきな羽音がして、いつのまにきていたのか、次の《テング》にジョウカイもつれさらわれた。
「ああっ! ああっ!?」
声をあげたヒコイチの脇にうしろから太い腕がささったとおもうと、騒ぎ声をあげたままのヒコイチのからだも浮かんでさらわれた。
おつきあいくださっているかた、ありがとうございます。
ですが、
!!次から血や、残虐な表現がでてまいります!!
※ いろいろいやな話しですので、ご注意ください。。。。。




