きっと 守って
十五、
けっきょく、それからすぐにおトヨが起きてきて、うまい飯にありつくことができた。
はずかしそうにヒコイチに頭をさげたおトヨのむこうでマツキチが、にやにやとわらい、センネンに頭をこづかれる。また子どもが小競り合いを始めたところで、ヒコイチが、猫さがしにしばらくかかりそうなので、下働きしながらここで世話になりたいと申しでると、ヨシスケに、お客を働かせるなんてとんでもない、と断られた。それでも、金を払えないのだから働くのは当然とヒコイチがねばって言い張り、どうにかうなずかせる。
「 ―― よし、決まりだ。すまねえが、明日はいちどセンネンさんと寺にもどって、それからまた来るからよ」
もどったら巻き割りでもなんでもするさ、と飯のあと酒をかわすヨシスケにいうと、相手はなにかを思いついたように膝をうち、「そうだ。ジョウカイ様に、渡していただきたいものがあるのですが」と立ち上がる。 戻って、紙に包んだものをヒコイチへさしだすと、小声で「マツキチの親からの《手紙》です」と真剣な顔をした。
マツキチとセンネンがおトヨの手伝いで台所にいるのをたしかめてから、身をのりだした。
「 むこうからのこの手紙の最後に、療養して元気になったマツキチを呼び戻すのは親として当然のことなのだから、おれたちにそれをとめることはできねえ、って書いてあったんですよ。ここでマツキチを返さなけりゃ、お役人にもでばってもらうってね。そう言われたら、こっちがおとなしく従うと思ったんだろうが、引き下がりたくねえ。 ―― ジョウカイさまに、どうにかマツキチを返さねえですむように、お知恵を拝借してえと伝えてほしいんだ。おれが直に頼みにいけるのは明後日になっちまうんで、先にこの手紙を読んでいただけるよう、ヒコイチさん、たのんでくれるかい」
「おう。わかったぜ」
懐に大事にしまったとき、思いついたことがあった。
「 ―― ヨシスケさん、手エ、だしてみな」
出されたそこに、自分の財布から取り出した水晶の粒を置く。
「こりゃまた・・・美しい。 上物の水晶ですかい?」
「みたいだ。どうも、ジョウカイ様、・・・みたいな、かなりな法力の坊さんからもらったんだが、きっと、お守りになるんじゃねえかと思うんだ」
「へえ!そいつはすごい!」
「 あんたたちを、 守って くれると思う」
センネンの言葉を思い出しながら、願うように口にした。
ヨシスケはそれを重く受け止めたようにゆっくりうなずくと、「ありがたく。頂戴いたします」と、握りしめた手をかかげて、頭をさげる。
すると、台所からセンネンとマツキチが言い争う声が響いてきた。




