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狼辺境伯と魔女令嬢の白い結婚 不器用同士の恋が成就するまで  作者: 庭師K炎


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ドレスと鎧の構造の違い

 そっとリオノーラをベッドの上に下ろす。

 自室の寝台に彼女を連れ込むのも三日連続となれば、慣れたもので、慣れ……、慣れるわけがない!!


 三日やそこらで、やっと行方の分かった想い焦がれた相手との逢瀬に慣れられるわけがないだろう!!


 それも、一日目、二日目と、明らかに焦りと疲労と混乱に支配された思考で一方的な行為に及んで、今、三日目は、リオノーラは酩酊状態。


 とろんとした眼差しで、俺を見上げてくる。


 うう、このまま押し倒したい。


「リオノーラ、飲んで」


 ビオラがサイドテーブルに置いてくれていた酔い覚ましの冷えた水を注いで、リオノーラに差し出す。


「ん……」


 素直にそれを受け取り、少し飲み込む音がした。


 ふらふらと不確かな手元。

 ぽとぽとと水滴が滴って、リオノーラのドレスの胸元を濡らす。


「こぼしてる。冷えるぞ?」


 コップを支え持ってやり、もう一口リオノーラに水を飲ませてから、優しく奪い取ってサイドテーブルに戻した。


 もともとそういう気がないわけでもなく部屋に連れ込んだのだから、リオノーラのドレスを脱がすとかそういうことももちろん俺がしようと思ったわけで。


 大きなベッドにちょこんと座っているリオノーラのドレスに手をかける。

 背中の紐を解いて、早々に濡れた胸元が肌に触れ続けないようにゆったりと緩めた。


 リオノーラはそんな俺の手の動きを感じて、くすぐったそうに、恥ずかしそうに身を捩る。


「ステラは、ドレスのことに詳しいね……」


 シュルリと衣擦れの音がする。


「ん? 別に詳しくはないが?」

 

 はだけていくドレスの布地の向こうに、リオノーラの艶めかしい肌。思わずゴクリと喉を鳴らしてしまう。


「でも、脱がせるのも、着せるのも上手でしょう?」


 リオノーラの細い腰を締めていたコルセットの紐も解いていく。


「別にそんなつもりはないが? ……ドレスなんて鎧に比べたら一目瞭然で、どこをどう解けば脱げるか、どこをどう括れば着られるか見えているじゃないか」


 ストッキングを吊っていたレースのガーターベルトにも指をかける。


「鎧、と?」


 ほんの微かに肌に触れたことで、ぴくぴくとリオノーラが身を震わせた。


「鎧は繋ぎ目なんかが表立って見えていたら欠陥品だからな。慣れてないと脱ぐのも着るのも一苦労だ。だからって、着るのが邪魔くさいから身一つで戦場に飛び出す命知らずはいない。女性のドレスの着脱なんて、親切なもんだろ?」


 最後に、リオノーラの秘奥を隠している頼りなく小さな布の紐を解いた。


 まだたくさんの衣服の布はリオノーラの身体を隠しているが、その肢体を締め付けているものはなにもなくなった。あとは足に残るストッキングくらいだ。


「それがどうかしたのか?」

「……んーん、なんでもない……」


 少し疑問は残ったが、リオノーラは小さく頭を振って、ゆっくりと俺の首に腕を回して頭を寄せてきた。


 そんなことをされてしまったら、些細な疑問なんて頭からぶっ飛んでいってしまう。


「リオ……、優しく、するから、…今日こそは……」


 リオの身体を優しくベッドに押し倒しながら、唇の先で触れながら呟く。


「……? ステラはいつも優しいよ?」


 ぽやんとした眼差しに疑問を映して、リオは俺を見上げる。 


「いや、その、なかなかにリオに無理を強いていると自覚はあるんだが……」

「無理……? ステラの肌は熱くて、手は大きくて優しくて、……全部、気持ちいいよ…?」


 そっと優しく、俺の腕に触れたリオの小さな手の感触が熱い。


「うぐ…っ、その…っ、そういうことは…っ、色々我慢がきかなくなるから…っ!!」

「ステラ…?」


 不思議そうに見上げてくるリオノーラの、熱っぽい眼差しに唾を飲み込む。


 そもそも、そんなに何度も愛しげに、ずっと呼んで欲しかった呼び方で名前を呼ばれていたら、耐えているものなんて簡単に決壊してしまう。


 ゆっくりとリオに唇を寄せると、応じるように唇を重ねてくれた。


 それは俺がどうしても無体を働いてしまったこの二日間の夜とは違った、確かなリオからの求めで。


 また違う意味で理性がぶっ飛びそう。


 交わした口づけは、とろけるほど甘かった。





アステライト(ステラ)

リオノーラ(リオ)

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