最終話(第32話):無限の痛撃『ビッグバン・カカオ』と、永久カロリーの相棒!
壇上では、魔王ヴァルガロスが俺から噴き上がる『無限(∞)』の黄金の覇気に恐れおののき、血走った目でハルトを睨みつけた。
『お、おのれえええっ!! カラクリは分かったぞ、その金の泡立て器を持った人間が我が魔力を菓子に変えて小鬼に食わせているのだな! ならば魔法ではなく、この大剣と無数の黒雷槍で、まずはその人間から八つ裂きにしてくれる――【黒雷千本槍】!!』
――ザシュッ! ザシュッ! ザシュッ! ドォォォン!!
魔王ヴァルガロスは天井から何百本もの黒い雷の槍をハルトへ向けて降らせながら、自らも黒雷の大剣を振りかざしてハルトの首を刎ねようと超高速で突っ込んできた!
「ゴブァァァッ!!(させるかボケェッ! 俺様のショコラティエに指一本触れるんじゃねえ!!)」
「行け、ゴブ! 空中の補給は全部僕に任せるんだ!!」
俺は緑と真紅の閃光となってハルトの前に飛び出し、【全物理・全魔法完全超越】を宿した百三十五センチの胸板で、魔王が振り下ろす渾身の大剣の連撃を「キンッ! カンッ! チャリンッ!」と小枝のように無傷で弾き返した!
そして俺のすぐ背後では、ハルトが『黄金の泡立て器』と『白金のヘラ』を目にも留まらぬ神業で振るっていた!
――パフッ! パフッ! パンッ!!
天井から降り注ぐ何百本もの魔王の黒雷の槍が、ハルトの泡立て器に触れた瞬間に次々と空中で『香ばしい木の実が詰まった特大トリュフチョコと温かい生チョコの塊』へと変換され、ハルトがそれを白金のヘラでポンポンッと正確に打ち返して、前線で戦う俺の大口の中へとダイレクトに送り込んできたのだ!
――バリボリッ! モグモグ、ゴクンッ!!
魔王が必死に攻撃すればするほど、俺の口の中にはハルトが作った極上の温かい秘宝が次々と飛び込み、一口噛むごとに俺の『無限(∞)』の怪力がさらに倍々ゲームで膨れ上がっていく!
「ゴブッ! グガ、ゴブゴブ!!(最高だぜ、俺様のショコラティエ! この間抜けな魔王が怒れば怒るほど、秘宝のコクと甘みが増してやがるぞ!!)」
俺は黄金のオーラを纏った右手の『鉤爪付きの鉄の棍棒』を、魔王ヴァルガロスが振り下ろしてきた自慢の黒雷の大剣へ向かって、下から真上に軽く振り抜いた!
――バキィィィィィィィンッ!!!!
乾いた破壊音とともに、レベル80の魔王の象徴であった黒雷の大剣が、乾いた焼き菓子のように根元から粉々に砕け散った!
『な、なんだとォ!? 我が黒雷の大剣が、ただの鉄棒に砕かれただと!?』
驚愕に目を見開いて後ずさり、骸骨の玉座に背中をぶつけた魔王ヴァルガロスの懐へ、俺は瞬き一つで飛び込むと、身長三メートルの魔王の分厚い胸板のど真ん中に両足でドォン!と着地し、その喉元に鉄の棍棒の曲がった鉤爪を突きつけた!
『ひ、ひぃぃぃっ……ま、待て! 早まるな、小鬼の神よ!!』
エルドリアの絶対支配者であった魔王ヴァルガロスが、顔を真っ青にしてガタガタと震えながら命乞いを始めた。
『すべては誤解だ! さっき沼地で貴様を撃ったのは、あのゾルゴンが勝手にやったことなのだ! この魔王城も玉座もすべて貴様に譲り渡す! 今日からは我が貴様の下働きとなって毎日その足を舐めて働くから、どうか命だけは――!!』
俺は頭の上の黄金の光輪をギラリと輝かせ、これまでで最も凶悪で、最も歓喜に満ちたゴブリンの笑みを浮かべた。
「ゴブ……グガアアアアアアアアアアアアアッ!!」
(今さら命乞いしてももう遅えんだよ、ケチな魔王の野郎め!! 三日間何も食えず沼地で腹ペコだった俺様の胸に『強制徴兵の試練』なんぞを撃ち込ませやがった罪! 俺様が地球から持ってきた70トンの神の秘宝を灰にしやがった罪! そして何より――俺様の『一番お気に入りのドジな鞄持ち』に向かって、二度も剣を振り下ろしやがった万死の罪!! 相棒の作った出来立ての秘宝で腹いっぱいになった今の俺様は、宇宙で一番無敵なんだよ! お前の魔力は最後のひとしずくまで甘く味わったぜ、このまま塵ひとつ残さず消え失せろおおおおおっ!!)
俺は魔王の頭上へと高く跳び上がると、愛用の相棒『鉤爪付きの鉄の棍棒』を両手で振りかぶり、体内で燃え盛る『無限(∞)』のチョコレートの神力をその先端の一点に凝縮して、魔王ヴァルガロスの脳天へと真っ直ぐに振り下ろした!
――【暴食神の痛撃・極】!!!!
――ズドドドドドドドドドォォォォォォォォォンッ!!!!
甘いカカオの香りを纏った黄金と真紅の極大の光の柱が魔王と玉座を丸ごと呑み込み、魔王城の天井を突き破って、エルドリアの暗い夜空を覆っていた黒雲を二つの紫の月まで一気に吹き飛ばした!
断末魔の悲鳴すら上げる暇はなかった。
満腹の【ゴブリン・ゴッド】が放った無限の一撃の前に、レベル80の魔王ヴァルガロスは骸骨の玉座ごと文字通り『一粒の塵すら残さず黄金の光の粒子となって完全に消滅』し、砕けた石床の上には、奴の頭から落ちた二本の折れた黒角だけがコロンと転がっていた。
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《エルドリア魔王『ヴァルガロス(Lv.80)』を完全消滅・討伐しました!!》
《強制徴兵の試練は完全に破棄され、魔王城およびエルドリア全土の支配権が『ゴブ』と『ハルト』へ移行しました!!》
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天井が吹き飛んで二つの紫の月の光が差し込む玉座の間で、俺は三十五センチの真紅のミニマントをひらりと翻し、ハルトの目の前へと華麗に着地した。
ハルトは黄金の泡立て器と白金のヘラを握ったまま、メガネの奥の瞳を涙でいっぱいに潤ませて俺へ駆け寄ってきた。
「やった……やったよ、ゴブ!! ついに魔王を倒したね! 君が地球を救ってくれたように、僕たちの力で君の世界も平和にすることができたよ!!」
俺は、目の前で子どものように笑って泣いているこの人間の若者を下からじっと見上げた。
今日まで、俺にとってこいつは「ただの鞄持ち」であり「生きた地図」だった。
だが、丸腰で俺様の盾になり、さらには自分の両手から直接『無限の温かい神の秘宝』を生み出せるようになったこいつを、いつまでも鞄持ちと呼ぶわけにはいかない。
俺は誇らしげに胸を張って一歩前へ踏み出すと、まずは自分のパンパンに膨らんだ緑色の腹をポン!と叩き、それから小さな緑色の右拳を突き出して、ハルトの右拳にコツン!と力強くぶつけてやった!
「ゴブッ! グガ、ゴブゴブ、ゴブゥゥゥーーッ!!」
(よく聞け、ハルト! お前は丸腰で俺様の背中を守り、宇宙で一番美味い出来立ての秘宝で俺様の魔力炉を満タンにしてくれた! だから今日この瞬間から、お前を『鞄持ち』から最高位の役職へ昇格させてやる! お前は今日から――俺様の胃袋と一生を共にする【永久カロリーの相棒(生きた秘宝の蛇口)】だ!! この世界が続く限り、お前は毎日俺様のために温かいチョコレートを作り続けろ! その代わり、お前に指一本でも触れようとする奴がいれば、神だろうが竜だろうがこの俺様が鉄の棍棒で全員ミンチにして守ってやるぜ!!)
もちろん俺の喉からは「ゴブ、グガ」という獣の鳴き声しか出ていなかった。
だが、さっき200%で共鳴したばかりの【魂の契約】の回線を通って、ハルトの心の中には、俺が授けた新しい称号の「一番大切な部分」だけが、温かい光となってハッキリと届いた!
――『お前は今日から、俺の【永遠の相棒】だ』、と。
「ゴ……ゴブ……っ!!」
ハルトのメガネの奥から大粒の涙が溢れ出し、ハルトはその場に膝をついて、百三十五センチの俺の体を力いっぱい抱きしめた!
「君も……僕のことを『永遠の相棒』だって思ってくれていたんだね……!! ありがとう、ゴブ! 僕の方こそ、これからもずっと、何があっても君の一番の相棒だよおおおおっ!!」
俺は「フン、暑苦しい奴だぜ」と鼻を鳴らしながらも、小さな緑の手でハルトの頭をポンポンと二度叩いてやり……その隙に、ハルトが左手に持っていた『白金のヘラ』に残っていた最後のひとすじの温かい生チョコレートを、ちゃっかり舌でペロリと舐め取ったのだった。
◇
――それから一週間後。
かつてエルドリア中の人々や魔物から恐れられていた暗黒の居城『魔王城』は、もうどこにも存在しなかった。
その代わりに山の頂上にそびえ立っていたのは、甘い香りの湯気を空高く噴き上げる黄金の巨城――『ゴブ&ハルトの帝国大チョコレート城』だった!
巨大な製菓工場へと生まれ変わったかつての玉座の間では、生き残った魔王軍の上級魔族や恐ろしい火竜たちが、全員真っ白なエプロンと背の高いコック帽を被らされて必死に働いていた。
俺が握る『鉤爪付きの鉄の棍棒』の睨みにビクビクと震えながら、巨大な火竜たちが銀の大釜の下で「35度」ぴったりになるよう慎重に弱い炎を吐いて湯煎し、六本腕のゴーレムたちが伝説の【神格ショコラティエ・ハルト】の指揮のもとで、新鮮な白い乳と甘い蜜を巨大な泡立て器で休むことなく混ぜ合わせている!
そして、かつて骸骨の玉座があった一番高い壇上では――。
黄金で造られた巨大な『出来立てホットチョコレートの噴水プール』のど真ん中で、身長百三十五センチの無敵の【ゴブリン・ゴッド】であるこの俺様が、頭の上のドーナツ型の黄金の光輪をキラキラと輝かせながら幸せそうに仰向けでプカプカと浮かび、俺様のかけがえのない『永久カロリーの相棒』が毎日作ってくれる極上の神の秘宝を、これから先も千年ずっと味わい尽くすのだった――!
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【全編完結! ご愛読ありがとうございました!】
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本編最終話(第32話)までお読みいただき、ありがとうございます!!
ゴブ様とハルトの魔王討伐の旅はこれにて本編完結となりますが……なんと次回、最終第33話として【劇場版・特別番外編】をお届けいたします!
魔王が倒されたとも知らずに遅れてやってきた『光の勇者パーティー』と、さらなる進化(?)を遂げて夢の身長149センチに到達するゴブ様の爆笑クライマックスを、ぜひ続けてお楽しみください!




