第24話:レベル100『小鬼神(ゴブリン・ゴッド)』の降臨と、焼きドーナツの光輪!
――ドクンッ! ドクンッ! バリバリバリバリッ!!
一万トンの神の秘宝が眠る『黒鉄の浮遊要塞(巨大貨物船)』の船底で、山のような『極上ロイヤル・ミルクチョコレート』の海に頭までどっぷりと浸かりながら、俺の緑色の胸のど真ん中が真っ赤に焼けた鉄のように熱く脈打っていた。
そこは元の世界エルドリアの沼地で、三日間何も食えず腹ペコだった俺が魔王軍の下働きになるのを誇り高く断った時、黒い鎧を着た『魔王軍の幹部魔族』から黒鉄の短杖で撃ち込まれた古傷の場所だった。
俺の胸の皮膚の表面に、黒と黄金が絡み合う『古代魔族の紋章』がギラリと浮かび上がっている。
だが――目の前に一万トンもの神の秘宝の山が広がっているというのに、俺がそんな胸のムズムズごときで食事の手を止めるはずがなかった!
(胸の傷がなんだってんだ! 俺様の目の前には、まだ何千トンもの最高級ミルクチョコレートが残ってやがるんだぞ!!)
俺は緑色の顎が外れんばかりに大口を開け、金色の皮に包まれた琥珀色の秘宝の塔や、香ばしい木の実入りチョコの山脈、そして温かい生チョコレートの川を、底なしの竜巻のように胃袋(魔力炉)へと流し込みまくった!
《神話級供物【極上ロイヤル・ミルクチョコレート(URランク)】を天文学的質量で摂取しました!!》
《蓄積された莫大な討伐経験値・人類救済ボーナス・契約ボーナス(4倍)が臨界点を突破!!》
《レベルアップ! Lv.94 ➔ Lv.96 ➔ Lv.98 ➔ Lv.99 ➔ ――》
その瞬間、俺とハルトの頭の中に、天上の大聖堂の鐘が一万個同時に鳴り響いたかのような荘厳なシステム音が轟いた!
《世界告知!! 個体名『ゴブ』がシステムの絶対到達点【レベル100(世界の極致)】に到達しました!!》
《すべての隠された条件を達成! これより皇帝の領域を超越した最終神話形態への【神格進化】を開始します!!》
「グガアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
――ドゴォォォォォォォォォォォンッ!!
開け放たれた巨大貨物船の船底から、直径百メートルを超える黄金と真紅の巨大な光の柱が夕暮れの空へと噴き上がり、横浜港の上の雲を水平線の彼方まで一瞬で吹き飛ばした!
桟橋の上では、白い衣の老学者たちが眩しさに目を覆ってひれ伏し、ハルトは聖なる暴風に髪をなびかせながら、黄金の光の柱を胸を高鳴らせて見上げていた。
「こ、この港全体が揺れるほどの神々しい光は……!」
ハルトは目のガラス(メガネ)の奥の瞳を潤ませて叫んだ。
「世界中を救ったゴブが、ついに最後の究極進化を遂げるんだ! レベル100の神格進化……今度こそきっと、全長十メートルの黄金の聖竜か、翼を持った巨大な戦神の姿に生まれ変わるに違いないよ!!」
黄金の光の奔流の中で、俺は自分の骨と筋肉、そして魂のすべてが甘い神の秘宝のマグマの中で一度溶け、この世のどんな法則にも傷つけられない『神の肉体』へと再構築されていくのを感じていた。
ステータス画面の数字が猛烈な勢いで回転し、500、700、800の大台を次々と突き抜け、ついにシステムの表示限界である『999+』へと到達する!
さらに俺の背丈が再びググッと力強く伸び、背中のマントが星の光を織り込んだように輝き、頭の黄金の王冠のさらに上に、絶対的な神の証である『浮遊する黄金の光輪』が顕現した!
そして――まばゆい黄金の光の柱が、スッと空へ溶けるように消え去った。
《神格進化が完了しました!!》
《最終神話種族:【ゴブリン・ゴッド(小鬼神)】――レベル100(MAX)》
《現在のステータス ―― 筋力:999+(測定不能)/敏捷:999+(測定不能)/耐久:999+(測定不能)》
《最高神権能:【暴食神の絶対全能】および【全物理・全魔法完全超越】を獲得しました!》
《神格契約の恩恵により、契約主『ハルト』がレベル18から『レベル25』に上昇しました!》
俺は船底から音もなく跳び上がると、桟橋の端――ハルトと老学者たちのすぐ目の前に、両足を広げて威風堂々と着地した。
俺は両手を腰に当て、パンパンに膨らんだ緑色の胸を極限まで反らし、宇宙で最も偉大な神のドヤ顔で顎をしゃくり上げた!
(ふ……ふはははははははははっ!! 控えろ人間ども、そして天地の神々よ!! かつて元の世界エルドリアで泥水をすすりながら苦い甲虫を齧っていたレベル7の俺様が、ついに神の秘宝を食い尽くして、天地開闢以来ただ一人の【ゴブリン・ゴッド(小鬼神)】様へと登り詰めてやったぜええええっ!!)
俺の目の前に立っていたハルトは、全長十メートルの巨大な聖竜を見上げるつもりで、目からゆっくりと腕を下ろした。
ハルトはまず、高い空を見上げた。誰もいない。
次に、目の前の空間を見た。そこにも誰もいない。
そして最後に、ハルトは視線を足元の石床の方へと下げ……俺の姿を、五秒間じっと無言で見つめた。
(………………えっ?)
ハルトは心の中で、音が鳴るほど盛大にひっくり返った。
(あ、あれだけ空の雲が吹き飛ぶほどド派手な黄金の光が噴き上がったのに……ま、また『5センチ』しか伸びてないーーーーっ!?)
ハルトはメガネを何度もゴシゴシと拭いて、目の前の俺を凝視した。
(130センチから『135センチ』にちょびっと背が伸びて、背中の赤い前掛けマントが10センチ長くなって金のキラキラがついて、頭の小さな王冠の上に『砂糖をまぶした焼きドーナツみたいな可愛い金の輪っか(光輪)』がプカプカ浮いてるだけで、見た目は最初から最後までちっちゃな緑のゴブリンのままじゃないか!! ……で、でも本人は頭の上のドーナツみたいな輪っかを親指でビシッと指差して、「どうだ、これが神の姿だぞ!」って宇宙一のドヤ顔をしてるから、絶対にツッコめないよ!!)
ハルトは必死で笑いをこらえてしゃがみ込み、涙ぐましいほどの笑顔で盛大な拍手を送った。
「す、すごいよゴブ!! その伸びた5センチと、頭の上の美味しそうな……じゃなくて神々しい黄金の輪っかから、本物の『神様』のオーラがビシビシ伝わってくるよ! 究極の神格進化、本当におめでとう!!」
「ゴブッ! グガ、ゴブゴブ!!(フハハハ、よくぞ言った俺様の筆頭大魔導師よ! 今日からてめえは皇帝の臣下ではなく、偉大なる【ゴブリン・ゴッド】様の初代教皇だ、誇りに思うがいい!!)」




