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第12話:カチカチのチョコ装甲と、契約主の『食べ放題』許可!

――カリカリ……ペチャ、ペチャ……グォォォォォッ!!


赤い灯りに照らされた蒸し暑い地下階層で、俺たちを取り囲んだ四十体の『秘宝過食アンデッド(レベル18)』は、歩くのではなく――巨大な黒い蜘蛛(クモ)のように石の壁や天井の太い鉄管を猛スピードで這い回っていた!


先頭の三体が天井の管から剥がれ落ち、同時に俺たちの頭上へと飛びかかってくる。

俺は牙を剥き出しにした。

左太ももは上の魔王軍幹部が放った黒弾にえぐられ、俺の生命力(HP)は『28%』まで落ち込んでいたが、俺は愛用の『鉤爪付きの鉄の棍棒』を両手で強く握りしめ、迫りくる一体目の頭蓋骨へ向かって渾身の力で振り抜いた!


――ガキィィィィンッ!!


鈍く硬い衝撃音が地下通路に響き渡り、俺の両腕の骨がビリビリと痺れた。

レベル18のアンデッドは三歩後ろへと吹き飛んだが――そいつの頭蓋骨は砕けなかった!

奴の全身を隙間なく覆っている黒光りする分厚い殻――『固まった神の秘宝と焦がし蜜の鎧』の表面に白いヒビが入っただけで、俺の鉄の棍棒の威力の半分以上を吸収して弾き返しやがったのだ!


(か、硬え……!!)


俺は粘つく石の床の上で傷ついた左足を滑らせながら、黄色い目を見開いた。


(腹の中に秘宝が一欠片もねえせいで、俺様の魔力炉が冷え切って力が出きらない! しかもこいつらが身に纏ってやがる茶色い殻、竜亀(ドラゴントータス)の甲羅みてえにカチカチに固まってやがるぞ!)


俺のすぐ後ろでは、鞄持ちのハルトがすかさず二本の『黒鉄の短杖』を構え、俺を援護するために呪文(引き金)を放った。


――ズガァン! ズガァン! ズガァンッ!!


放たれた三発の黒弾が、突っ込んでくる二体目の怪物の胸板に立て続けに命中した。

だが――カン! カン! と乾いた音を立てて、黒弾は怪物の胸を覆う分厚い秘宝の鎧に弾き返され、表面に白い傷をつけただけで床に転がり落ちたのだ!


「う、嘘だろ!?」


ハルトが真っ青になって叫んだ。


「こいつらの体を覆っている固まったチョコレートと砂糖の層、ピストルの弾まで弾き返すほど硬いぞ! しかもゴブ、もう銃の弾があと六発しか残っていないんだ!」


俺が左足の痛みで跳び上がれないことを見抜き、三体のレベル18の怪物が同時に俺へと殺到し、その重い体で俺を後ろの巨大な鉄桶の壁へと押し潰すように組み伏せた!


「ゴ、ゴブウッ!!」


俺は鉄の棍棒を横向きに構えて三体の黒い爪を必死に受け止めたが、飢えと出血で両腕がワナワナと震える。

真ん中の怪物が腐った大口を俺の鼻先すぐ近くまで近づけ、俺の顔面に噛みつこうとした、その瞬間だった。


赤い灯りに照らされた俺の黄色い目のすぐ前に、そいつの『右肩の分厚い黒い鎧』があった。

それは天井の割れた管から垂れ落ちて怪物の肩の上で分厚く固まった、純度100%の『極上の黒い神の秘宝と甘い神の脂』の塊だった。

ほろ苦くも濃厚な神の豆の香りと、焦がした甘い蜜の匂いが、俺の鼻の奥をダイレクトに殴りつけた。


その瞬間、飢えに苦しんでいた俺のゴブリンの脳内で、すべての雑念が吹き飛んだ。


(……おい。なんで俺様は、こんな美味そうな塊をわざわざ鉄の棍棒で叩き割ろうとしてたんだ?)


俺の口の端から、滝のようにヨダレが溢れ出した。


(これは鎧じゃねえ……『メシ(秘宝)』だ!! アンデッドの体にくっついていようが関係あるか! 俺様は生まれつき固有スキル【腐肉食 Lv.MAX】を持ったゴブリン・スカベンジャー様だぞ! どんな腐った毒もアンデッドの呪いも、俺様の胃袋に入れば全部ただの旨味スパイスなんだよ!!)


俺は押し寄せる怪物を突き放すどころか、逆に自分の緑色の顎が外れるほど大口を開け――目の前にあったレベル18の怪物の『右肩の分厚い秘宝の鎧』に、思いっきり牙を突き立てて噛みついた!


――バキィッ! ボリボリッ、ゴクンッ!!


俺の強靭な牙が硬い秘宝の殻を砕いて子どもの頭ほどの塊を食いちぎり、俺はそれを噛まずに丸呑みにした!


肩の鎧をいきなり食われたレベル18の怪物が、「えっ?」とでも言いたげに赤い目をパチクリさせて動きを止めた。

そして俺の後ろにいたハルトも、目のガラス(メガネ)の奥の瞳を極限まで見開いて叫んだ。


「ゴ、ゴブ!? 今、傷を治すためにゾンビの肩のチョコレートに噛みついたのかい!?」


ハルトは俺の太ももから流れる緑色の血と、周囲を取り囲む四十体の怪物たちを交互に見ると、ハッとしたように契約の紋章が刻まれた右腕を高く掲げて、地下通路全体に響き渡る大声で叫んだ。


「分かったよ、ゴブ! 契約主(マスター)である僕が公式に許可する! 『この地下にあるチョコレートも、あの怪物たちにくっついているチョコレートも、全部君にプレゼントする!』 一欠片残らず全部食べて、傷を治すんだあああああっ!!」


俺の優秀な鞄持ちがその『契約の言葉』を叫んだ瞬間、俺の頭の中に祝福の鐘の音が鳴り響いた!


《契約主ハルトが、地下階層すべての秘宝を【契約の供物】として捧げました!》

《高純度の供物を摂取! 枯渇していた魔力炉が再点火されます!》

《超速治癒が発動! 現在のHP:28% ➔ 100%(完全回復)!!》

《契約ボーナス(獲得経験値4倍)が常時発動します!》


――プシュウウウウウウッ!! カン、カランッ!


俺の小さな緑色の全身から、白い高温の湯気が猛烈な勢いで噴き出した!

傷ついていた左太ももと肩の筋肉がギュッと収縮し、肉の中に食い込んでいた四発の『潰れた黒弾』を自ら外へと吐き出して石床に転がすと、傷口が一瞬にして塞がって跡形もなく消え去った!


飢えも痛みも完全に消えた。

代わりに、レベル27の血管の隅々まで、甘くて熱い無尽蔵の生命力がマグマのように駆け巡る!


俺は口の周りについた茶色い粉を舌でペロリと舐め取り、目の前で固まっている四十体のレベル18の怪物たちを、獲物を見る捕食者の目でゆっくりと見上げた。


「ゴブ……グガ、ゴブゴブ!!(ああ、生き返ったぜ! 金の箱の秘宝より少し苦いが、この硬さと濃厚な香りはクセになるじゃねえか! おい、そこに並んでいる四十匹の『歩く高級秘宝』ども、今から俺様が一匹ずつ綺麗に殻を剥いで食ってやるから覚悟しろよ!!)」


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