091 王都からの返信
クロエです!
仲の良かった友達と離れてしまうのは寂しいですよね!
でも、文通っていう、新しい楽しみが増えるのは嬉しいかも!
モデルテ市魔法院女子寮に、キラキラ会女子メンバーが集まっていた。
寮母のアガタさんから、クロエの手紙を受け取ったからだ。
宛先はクララとなっている。
談話室でクララが手紙を開封した。
「じゃあまず、私が読ませてもらうわね」 とクララ。
手紙をしばらく読み進めると、急にクララの様子が変化した。
アンヌ 「どうした、クララ?」
クララは突然机に突っ伏した。行儀の良い彼女としては珍しい行動だ。
その様子にみんなが騒然となる。
「なに?悪い知らせなの?」「クロエに何かあったのか?」「容態の急変?」
クララは突っ伏したまま、首を左右に振るばかりだ。
じれたアンヌが手紙を奪い取る。
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みんなお手紙ありがとう (◍•ᴗ•◍)❤
みんなのお手紙、とっても嬉しかったよ (๑>◡<๑)
でもね、みんな、友達にお手紙書くときは、もっと感情豊かに、そして楽しめるような文章を書かなきゃ!だよ 乁( ᴗ _ᴗ )ㄏ
そんなみんなに、私がこのお返事で見本を書いてみせるから、ぜひ参考にしてね d(>_・ ) グッ!
わたしは、
元気です!
じゃあね (*ˊᗜˋ*)/♡
クロエ
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「なんじゃ、こりゃー!」 アンヌが叫ぶ!
「こっちではみんなが心配してるのに許せない」 エリス
「これは指導が必要ね」 マリィ
「決めた!私すぐ王都に行くわ」 クララ
「ちょっと!うちの父ちゃんに言わなきゃダメだろ」 アンヌ
「私も一緒に行く。風のみち商会の定期便に乗せてもらおう」 エリス
「フロートで馬車を安定させられるから、私も行こうか?」 マリィ
「ありがとう、そこはルーカスに頼むから大丈夫」 エリス
もともとクララは魔法院の課程を修了しており、既に王都留学の許可は得ていた。
そのため、魔法院ではパオロ副校長、担任のミレーヌ先生に手続を依頼しており、保護者であるヴィクトールの了解も得ている。とりあえず、王都側のアリシア先生とソフィさんに、早馬で受入をお願いしておき、準備が整い次第出発しようということになった。
エリスもクララほどではないが、十分に課程を先取りしており、魔法院を休んでも授業への影響はない状態だ。担任がミレーヌ先生であることも、休みが取りやすい理由である。ルーカスの風コースは、バルディーニ先生もアリシア先生も去ってしまったため、ほぼ自習となってしまっている。
マリィ 「だから、私も一緒に行くって言ってるのに」
クララ
「マリィには、もし可能だったら、クロエちゃんの代わりをやってもらえないかなって思うの」
クララは考えていた。
自分が、そして二年生全体が、さらに言えばモデルテ市全体がクロエのマナに頼ってしまったことを。
クロエへの手紙にも書いたことだが、クロエの魔臓障害が起きて初めて、そのことに気がついたことを後悔していた。
「マリィは、トランスファーが発語できるんじゃないのかな?」
「え?
……いや、今まで考えたこともなかったけれど、確かにここまでマナ値が上がって、属性魔法が身についていれば可能のような気がする。
それにクロエの魔法は数え切れないほど体験したし」
「たぶんだけど、キラキラ会のみんなはトランスファーを発語できるんじゃないかと思うの」
その場で試したところ、確かにマリィは発語が可能だった。
「ね?
だから、ルーカスも確実だと思うし、アーサーだって可能かもしれないでしょ?」
トランスファーは風属性の魔法であり、考えてみればクロエの専売特許というわけではなかった。
「それにね、トランスファーと土魔法のファーティライズって、魔法の特徴が似ているでしょ?
私はクロードもかなり確実に成功するのではと思うの」
「それでね、クロエちゃんがやっていたみたいに、みんなで分担して、一年生にトランスファーをかけてあげたらいいんじゃないかなって思うのよ」
エリス 「それができれば、個人に頼らず、マナや属性魔法の能力が高い魔法師を量産できる可能性が高い」
マリィ 「なるほど。確かにやる価値はあるわね。ミレーヌ先生に相談してみるわ」
クララ 「クロエちゃん、クロエちゃんがいなくても、こっちは大丈夫よ。
待っててね!」
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一方、王都の私はというと。
私とアリシア先生は、ルチアさんに連れられて、魔素学の研究室を訪問した。
そこには、ピエトロさんという研究者がいた。
「属性魔法と違って、人気がないんですよ」
魔素学研究室に所属する研究者は、ピエトロさんだけであり、学生も一人もいなかった。
ルチアさんは、例によって聖女の許可証をピエトロさんに提示し、研究費が必要な場合は自分に申請するように言って退室した。
ピエトロ先生 「お二人はどのような分野に興味があるのですか?」
「はい。
まず、環境における魔素量はどのようにして測ることができるのか?
それが信頼できることが前提なんですけど、その上で過去の観測記録と比べて変化があるかということを知りたいです」
「うん。
そこは私も非常に気にかけているところです」
「結論から言うと、環境の魔素量を測定する器具は発明されておりません」
「……そうですか」
そうじゃないかとは思っていたけれど……
「私が今までやってきたことと言えば、おもに王国の人口がどのように変化してきたかということと、境界門付近での状況の観察ということになりますね」
人口は、王都および各市の戸籍課で、戸籍証の記録を閲覧させてもらえば判明する。
それによると、人口はやや減少気味ということだった。
「王都の人口に長期的な変動は見られません。流行病の発生状況次第で増減はありますが……
しかし、周辺都市、特に境界門の近くの都市では減少傾向が見られます。私は、流行病の発生後、人口の回復が見られないからだと考えています」
私 「流行病の被害を抑えきれないことの根本原因は、やはりマナが不足していることが大きいですよね?」
「そうですね。
ですから、流行病の発生によって人口回復ができていないと言うことは、長期的には王国における魔素量が減少していることの間接的な証明になっているのではないかと思っています」
「もう一つは、マナ異常種の目撃例の増加です。
マナ異常種は、まれに境界門から侵入する場合がありますが、その目撃例が増えているのです」
「モデルテ市でも衛士隊が境界門等の巡回で常駐しています」
「ああ、お二人はモデルテ市から来られたのですね。
モデルテ市は衛士隊がしっかりしているため、マナ異常種の発生について市内で話題になることがないと聞いております」
アリシア先生 「私は衛士隊所属ですが、一時的に休職し、こちらで研究することになりました」
「おお、そうだったのですね、さすがヴィクトールさんです」
「隊長をご存じなのですか?」
「はい。
マナ異常種を実際に観察する機会を得たいと思い、境界門周辺市を訪問させてもらっているのです」
マナ異常種が王国内で問題となっていない理由は、境界門内にマナ異常種が侵入しても、すぐに死んでしまうからだそうだ。
だから、マナ異常種を一般市民が目にすることもないし、王国として脅威とみなされていないのだという。
「しかし、マナ異常種の侵入例が増加していることもまた、私としては、環境魔素量の減少を示しているのではないかと考えております」
「この魔素量の減少が、一定値を下回った場合、マナ異常種の行動に変化が現れないか、危惧しています」
「モデルテの衛士隊では、マナ異常種の死体を境界門の近くに埋めて処理していますけど、それについて危険性はないのでしょうか?」 アリシア先生の質問だ。
「わかりません。
マナ異常種についても研究が必要だとは思うのですが、死体とは言え、それを取り扱うことに危険がないのかもわかりません。
危険なものであれば、境界門の外に捨てるべきではないかとも思います。
しかし、その作業のために境界門の外に人が出ること自体が危険ですから」
私 「境界門の外に出た人は、誰一人戻ってこれなかったというのは本当でしょうか?」
「はい、私の知る限りではその通りです。
それが、境界門の外の環境が人の生存に適さないのか、あるいは、環境自体は生存することができても、マナ異常種等の危険に対処できないためなのかもわからないのです」
「私も境界門の近くまで行くことは可能でしょうか?」
「クロエさんの保護者が許可するならかまいません。
モデルテ市ではないですが、近々、境界門の観察に出向く予定ですから」
アリシア先生 「許可は難しいんじゃないかな……」
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ルチアさん、
「無理じゃな。
当面、魔法の少量発動と魔臓障害の有無を確認しなきゃならんからな」
やっぱりか~
ちなみにバルはいない。ルチアさんに言われて「里」とかいう場所に行ってるからだ。
バルがいない間がチャンスだと思ったんだけどな~
「まあ、お主は、しばらく大人しくしとれ」
実は今、例の様々な器具を取り付けられて、魔法発動の影響を調べられている状況だ。
例の指チョントランスファーをルチアさんに向けて発動し、その後に血液検査や尿検査、エコー魔法等で魔臓の状態を調べているのだ。
「うむ。この程度は問題なさそうじゃな」
私もリナちゃんに聞いてみる。
(ぜんぜん大丈夫だよ~ それより、おねえちゃんのすっごい強い魔法でも、もう大丈夫だと思うんだ~)
うーん、私もそんな気がする。
魔臓へのトランスファーは無謀な試みだったかもしれないけど、結果としてはリナちゃんの魔臓と私のマナの親和性を向上させたんじゃないだろうか?
だから、リナちゃんとお話しできるようになったのかもしれないし……
(そうだよ! もう、おかあさんに私のこと話してよ~)
うん、そうしようかな……
でも、夜、おかあさんしかいないときにしようね。
(はーい)
その日の夜、あとは寝るばかりになった際に、おかあさんに話してみた。
「おかあさん、
今から話すことは、私の想像だけかもしれないから、必要以上に期待しないで聞いてね?」
「あら、なにかしら」
「二重人格って心の症状があるの」
「二重人格?」
「うん」
私は二重人格の説明をした。
「それでね、私の心の中に、私とは別に、りなちゃんがいるようなの」
「まあ、クロエちゃんがリナのことを大切に思ってくれるのは嬉しいわ」
あ~ これは信じてないね。
(そうだね)
「それでね、そう………
リナちゃんはお誕生日の時に、クネルのお料理を作ってもらってたんだってね」
「そうね」
「でも、せっかくおかあさんが心を込めて作ったのに、リナちゃんは「おいしくない」って言ってたんでしょ?」
「あら、そこまでお話ししたかしら?」
「でも、クネルに、おかあさんがソースでお魚のおめめを書くようにしてから、「おさかなさん、かわいいね」って言って大好物になったって」
「え………」
おかあさんの顔が青ざめる。
「朝ご飯のあとは共同井戸に二人でお洗濯に行ってたんでしょ?
そのとき、広場の階段に座って、クララからお話をしてもらってたって」
おかあさんが私の腕をぎゅっと握る。
(あたしは、クララおねえちゃんのお話が大好きだった)
「リナちゃんは、クララのお話が大好きだったみたいね」
『クララおねえちゃん、おはなし、おねがい~
あたしは、隣のクララおねえちゃんに話しかける。
アンヌお姉ちゃんも大好きだけど、一緒に体を動かす遊びは疲れちゃうんだ。
クララおねえちゃんは、「今日は何のお話がいいかな~?」と聞いてくるけど、あたしの聞きたいお話は決まってるんだ!
「んー、デメさま!」
「デーメーテール様ね。リナは土の魔法が欲しいの?」
「うん、食べ物いっぱいもらえる」
「おかあさんとごはんいっぱい食べるの!」
「デメさまは、優しいんだよ。きっとおかあさんみたいだよ!」
「ふふ。リナはお母さんのこと大好きだもんね。」
「うん!」
「じゃあ、始めるよ~
デーメーテール様にはコレーという娘がおりました。
デーメーテール様はコレーのことを大変愛しておりましたが、
ある日コレーの行方が判らなくなってしまいます」
あたしは思わず叫んじゃう 「コレーちゃんだめ!」
「そうね、でもコレーが悪いわけではなかったの。コレーはさらわれてしまったのよ……」
(さらわれちゃうなんて、怖い!)
……
こうして、デーメーテール様とコレーは再び会うことができたのです。
めでたしめでたし。」
あたしは、思い切り拍手をするんだ!
「コレーちゃん良かったね。」
「そうだね」
おかあさんが優しいと、嬉しくなっちゃうんだ!
「リナちゃんのお母さんもね。」
「うん!」
やがておかあさんがあたしを呼ぶ声がする
「リナー、帰るわよ~」』
おかあさんは、私の腕を掴んだまま、涙を流していた。
「り、りな、なの?」
(そうだよ、おかあさん!)
「わからないの、おかあさん、
本当にリナちゃんの意識が残っているのか、私の精神がおかしくなっているのか……」
おかあさんは、泣きながらかぶりを振った。
そして私を強く抱きしめるのだった。
おかあさん!
(おかあさん!)
アンヌ「(◍•ᴗ•◍)❤ →これって顔か?」
マリィ「たぶんね。笑ってるんじゃないの?」
エリス「(๑>◡<๑) →これは目をぎゅって瞑っているつもり」
アンヌ「じゃあ、乁( ᴗ _ᴗ )ㄏ →これは?」
マリィ「肩をすくめてあきれているんじゃないの?」
アンヌ「ムカつくーーー!」




