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俺解釈三国志  作者: じる
十四話 洛陽の四日間(光喜元年八月/189)
189/211

1 乱兵(光喜元年八月庚午/189年9月24日)

 洛陽南宮、永樂宮。長きに渡り霊帝の母である孝仁董皇后の住いであり、彼女を排除してからは何太后の、そして今上帝の住いとなっていた場所。だがそこは惨憺たる様相を呈していた。


 二日前、虎賁中郎将袁術の攻撃により九龍門は焼け落ち、宦官のことごとくが虐殺された。ここにあるのは宦官の死体。そして巻き添えを食い、或は兵に乱暴された女官の死体。どさくさに紛れて略奪され破壊された調度品の残骸。


 張讓らが何太后と帝、そして陳留王を連れ北宮へ脱出したことで戦さ場はここから去った。この惨状をなんとかしよう、と衛尉府と将作大匠府がやっと動いたのである。


 洛陽内で緊急徴集された雑役夫達が門の残骸を脇へ寄せ集める。宦官の死体を引きずり、露車に積んで行く。生き残った女官達が──今まで宦官に任せていたため不慣れな手つきで──前庭を掃き清める。


 前庭の清掃が終わり、ようやく掃除の手は奥の宮に及び、ここからも宦官の死体が引きずられて行く。


 雑役夫の一人が、老婆の死骸を片付けようとして、着ている服があまりにも立派な事に気付いた。


「なぁ、これって……」


 雑役夫の知識でも、それが誰なのか推測できたので声が震えた。その死体は黄赤の綬を提げていた。皇帝の色である。これを提げることが許される女性は皇后、皇太后……そして太皇太后に限られている。


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