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~さようならロン、またあう日まで~ (中学校編)  作者: 湖灯


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   ~修学旅行5(二日目の自由行動)~

 次の日は朝食を食べてから、男女別のフロアに集まって先生による朝礼が行われて、今日の自由行動での注意事項を聞いてから、クラスごとに順番に一階のロビーに降りてタクシーに乗って出発した。


 自由行動といっても、あらかじめ提出して認可された行程表に従って行動をする。

 行程表は自分たちと、先生、それにこれからお世話になるタクシーの運転手さんに同じものが配られる。


 私たちの班は八人なのでタクシー二台で行動をする。

 一号車は男子、二号車が女子に分かれた。

 ちなみに一号車の助手席には班長の江角くん、そして二号車の助手席には副班長の里沙が座り私たちは第一の目的地である金閣寺へと向かった。


 本当は宇治に行ってアニメの聖地巡りもしたかったのだけど、これは個人的な意見で宇治まで行ってしまうと平等院や伏見稲荷大社や東寺は行けるが、観光名所が密集する京都駅北側に戻るまでに時間がかかってしまい対して回れなくなる。

 特に私がしたかったのは宇治での観光名所よりも、お目当てはアニメの舞台となった場所への聖地巡礼なので、修学旅行の団体行動にはそぐわない。


 金閣寺では他の班の美緒、桃子、早苗と会い、いっしょに写真を撮った。

 次の目的は銀閣寺と、まあ、鉄板のコース。

 そして銀閣寺を周ったあと、参道を出て信号のある交差点を左に百メートルほど行ったところにある老舗のうどん店に入って少し早めに昼食を摂った。


 私たちは「おめん」と言われる、このお店の名物のおうどんを注文して食べた。

 冷やしうどんは麺もツルツルのモチモチで、さらに薬味が何種類もついていて、とても美味しかった。


 昼食をすませた私たちはまたタクシーに乗って、南禅寺、平安神宮、二条城を観て、京都駅より南に移動して東寺を経て伏見稲荷大社に向かった。


 映画やドラマやコマーシャルでしか見たことのなかった伏見稲荷大社にある、真っ赤な鳥居の連なる石段を堪能していると、ラブラドール犬を連れた老夫婦が歩いていた。


「介護犬ですか?」

 もし介護犬だったら、話しかけてはいけないのだけど、どう見ても老夫婦はまだ介護を受けるようには見えなかったので思いきって聞いてみた。


「いや、うちの子ですよ。ここ伏見稲荷は京都でも珍しく大型犬同伴でも参拝できる観光地ですから」

 老夫婦の言う通り、犬を連れて入れる観光地は少ない。

 特に小型犬以上の犬は、まず公共の交通機関からも締め出されてしまう。

 スイス、イタリア、スウェーデンをはじめヨーロッパの国々では、結構大型犬でも電車やバスにも乗れて、入ることができる観光地も多いらしいので、日本も早くそうなればいいなって思いながらラブラドール犬と遊ばせてもらった。


『ロンに浮気がバレたら、どんな反応をするのかしら?』


 いつも若い女性にデレデレして浮気ばかりしているロン。

 私だってたまには他のワンちゃんとデレデレしたって構わないでしょ?


 伏見稲荷で犬と遊んだあとは、またJR線をまたいで、三十三間堂に行った。


 しんとした建物の中には千手観音立像という観音さまの仏像が千体もあり、必ず会いたい人に似た仏像があるといわれている。

 私は秋子お姉ちゃんに似た仏像を一生懸命探していたので、みんなから遅れてしまい江角くんから「遅い!」と怒られて慌ててみんなに追いつくように速足で進んだので秋子お姉ちゃん似の観音さまを探しだすことはできなかった。


 いったん八坂神社を観てから、そのあとで最後の目的地である清水寺に上がった。

 参道を上がって行くと、仁王門とその隣にある三重塔が出迎えてくれた。

 朱色に塗られた柱がとても美しい。


 経堂を過ぎて、チケットを買うと、ここから先は朱色に塗られていない轟門、朝倉堂、本堂へと続く。


 本堂は清水寺最高の観光スポットで京都の町が一望でき、それに風が気持ちよかった。

 はるか遠くに広がる京都の街並みを見ていると、私の思いは空を越えて相模原の家で私の帰りを待っていてくれるロンのところに行ってしまった。

 遠くのお寺でゴーンと鳴る鐘の音まで、ロンが私を呼ぶ声に聞こえて急に寂しくなった。


 里沙ちゃんと柵に肘をついて、少しだけ赤くなった空の下に広がる街を眺めていたら「一緒に来たかったね」と言われ、私は正直に「うん」と答えた。


 今ごろロンはどうしているのだろうか。

 時計を見るとちょうど夕食前の散歩の時間。


 おりこうさんのロンのことだからちゃんとお母さんの言うことを聞いておとなしくしているに違いない。


 ロンも散歩しながらこの同じ夕焼けに目を留めているだろうか?


 私のこと、少しでも思ってくれているだろうか?


 会いたいと待ちきれない思いをじっと耐えていてくれているだろうか?


 私は目から零れそうになる涙を誰にも気づかれないように、ずっと夕日を見ていた。

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