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~さようならロン、またあう日まで~ (中学校編)  作者: 湖灯


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   ~卒部会と卒業式とサプライズ1~

 冬休みが終わると例年通り卒業式に演奏する曲の練習や、来年度の全国吹奏楽コンクールの課題曲の選定や自由曲の候補のピックアップなどに取りかかる。


 先々代の春日部長と森久保副部長や先代の狩野部長と水沢副部長が練習中に抜けて、かなり長い時間戻ってこないときがあったのはこういうことだったのかと、改めて役員の苦労を知った。

 正直、練習時間を削られるのはつらいけど、部員の今の実力を見極めてそれをどう伸ばすかということに参加できるという経験も得がたい。


 一応五曲の候補の中から、私たちの目指す音楽性と異なる一曲と、私たちの技量でしっかりまとめることが難しいと判断した二曲は除けたかたちで部員のみんなに聞いてもらい課題曲はマーチ「ブルー・スプリング」に決まった。


 今年は自由曲もこの場で決めた。

 自由曲は歌劇「サムソンとデリラ」より『バッカナール』

 今年は全員参加ではなく選抜制をとることにした。



 そして卒部会の準備。

 何も知らないまま中学に入って、慣れるのにたいへんで周りのことが見えない私たちを指導してくれた三年生。

 こうして二年生という学年を一年間過ごしてきてはじめてわかったことは、一年生と同じように二年生ははじめて下級生に部活動のイロハを教えるのだということ。

 正直、どう教えてあげたらいいのかわからなかったし、三年生がいるのに自分たちがどこまで踏み込めばいいのかもわからなかった。


 いまの一年生は、おとなしかったし、去年の私たちに比べて個人レッスンとか学外の教室に通っている子も多かったから特に問題らしい問題はなかった。

 チューニングにもそれほど手を焼かなかったし。


 けれども私たちは違った。

 チューニングはいつまで経ってもそろわなかったし、江角くんのような入部したときから一番上手な子もいたし、私のようなそれまで吹奏楽部になかった楽器の担当者になる者もした。

 しかもその私は、練習がしたいばかりに、朝練より更に早い早朝練や昼練といったものを一年生の分際で直接先生に掛け合ってしまうという、部における上下関係を無視した行動に出てしまい、そのせいで一時期二年生の木管グループとはギクシャクしてしまった。


 一年生のときの三年生の先輩たちとは約半年と短かったけど、いまの三年生とは色々あったけれどそのぶん運動会のあとも色々と長く面倒をみてもらった。

 私たちはその恩を忘れないためにも、新入部員の勧誘のためにみんなで作った楽器のマスコットを先輩たちのイニシャル付きで作った。


 今年は男子もすごい!

 去年は調理後の洗い物を手伝ってくれたのだけど、今年は伊藤くんと甲本くんがそれぞれ家庭用の全自動餅つき機を持ち込み、紅白のお餅を作ってくれた。

 二台とも全自動タイプだったので、朝セットしてお昼休みにはちょうどお餅がつきあがっていて、それになんと大判焼きの名店に頼んで餡子あんこを分けてもらったというから伊藤くんたちの行動力はすごいと思った。

 しかも箱も男子お手製で、その箱の中にクッキングシートを折って、お餅がくっつかないように工夫されていた。


 私たち女子だって負けてはいない!

 男子がお餅を作ると言ったとき、私たち女子は公民館の調理場を借りてクッキーやマドレーヌ、それにチーズケーキを作っていたのだ。



 そして卒部会が盛大に行われた。

 先輩たちもサンドイッチとお店で買ったお菓子だけではない、手作りのお菓子やお団子(お餅の余りで作ったお団子)に喜んでくれた。

 演奏はお互いにエールを送る目的で、交互に少人数でおこなった。

 そして私たち女子からは、ひとりひとりの先輩のイニシャルが入った楽器の柔らかキーホルダーを、男子からは紅白饅頭ならぬ紅白の餡餅をプレゼントして、最後はかなりさみしかったけれど『YELL』を演奏してお別れした。



 卒部会は大いに盛り上がり、幕を閉じた。

 帰り道、いつものように美緒と伊藤くんと甲本くんの四人で帰っていたけど、みんな無口だった。

 それはまるで、楽しみに待っていたお祭りが終わったあとのような寂しい気持ちがした。

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