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~さようならロン、またあう日まで~ (中学校編)  作者: 湖灯


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   ~二度目の大会4~

 いよいよ県大会当日!

 会場は去年と同じカルッツ川崎!

 機材をトラックとバスに積み込み、いざ出発!


 カルッツ川崎は、JR川崎駅東口の前にある市役所通りを二キロ進んだところにある。

 川崎駅近くには、もうひとつミューザ川崎というホールもあり、こっちは川崎駅西口を出て約二百メートルの距離にあり、どちらも収容人数二千人規模の大ホールだ。


 私たちの住む神奈川県には千人規模の大ホールと呼ばれる施設が、公共のものだけでも三十施設以上あるらしい。

 これに支部予選でお世話になった、相模女子大学グリーンホールなどの大学や企業が経営する大ホールを合わせるとその数はもっと増えるし、横浜のみなとみらいにあるKホールは収容人員が桁違いの二万人!

 もちろんこれは野球場とかサッカー場や体育館を使用したコンサートではなく、音響設備が整った専用ホールとしては日本最大で世界屈指の規模。

 全国の「楽器演奏率」調査でも有名な音大をはじめとにかく大学が多い東京都は断トツの数字を誇るけれど、それに続くのが私たちの住む神奈川県なのだ。(三位は京都府)


 すこし渋滞があったものの、定刻通りに会場についた。

 今年は二日目の午後の参加。

 到着したときはまだ午前の部で参加した学校も多く残っていて、その人数の多さに驚いた。

 去年の私たちは大会メンバーから外れていて機材の搬入作業にいっしょうけんめいだったので気にならなかったけれど、今年は大会メンバーとなり周囲にいるほかの学校の人たちが気になっていた。


 私たち二年生は去年の実績があるので比較的落ち着いていたが、やはり一年生の中には明らかに緊張している様子が見て取れた。

 雰囲気にのまれている状態。


 けれども、それをどうしてあげればいいのか私にはわからなかった。

 ロンが相手ならそばに寄り添ってあげて、やさしい言葉をかけながらなでてあげれば落ち着くのだけれど、みんなはロンではないし人数も多すぎる。

 さらに指定された機材置き場に楽器を安全に運ばなくてはならないから、正直個人個人の緊張にかまってあげる時間的余裕もない。

 まんがいち楽器に何かあったら、演奏をする前に終わりになってしまうから。


 どうすることもできないまま機材の搬入が終わると、前の学校がチューニング室に移動を始めた。


 次は私たちの番。

 部員全員に更なる緊張が走る。


「わたしトイレに行って来る!」

「わたしも!」

 美緒と桃子が緊張してトイレに走ると、ほかのみんなも先を急ぐようにトイレへと駆けこむ。

 伊藤くんもトイレに走っていった。


 一年生のほとんどが浮足立っていて、二年生でも平常心のままなのは江角くんと甲本くんくらいだった。

 早苗も一見落ち着いているように見えたけど、表情は硬かった。


 どうしようもないまま、私たちはチューニング室に呼ばれた。

 出番はすぐ。

 どうする!?

 私が周りを見ると、伊藤くんともう一人、二岡先輩が周りを見ていて目が合った。

 すぐに二岡さんのところに行き私はある相談をしてみると、二岡先輩はそれを木管の大原リーダーに伝え、大原リーダーがフルートの角崎先輩を誘った。

 私も伊藤くんに声をかけて協力を求めて、持田先生と狩野部長からお願いしますと言われ、それを二岡先輩に伝えた。


「よし、やるよ!」と二岡先輩が号令をかけると、角崎先輩たちフルートの二、三年生が去年の運動会のマーチングの曲を奏でると二岡先輩、大原リーダー、そして伊藤くんと私でポンポン隊の踊りを披露した。


 二岡先輩が「それではいくよぉ~!」と声をかける。

 大原リーダーが、これから言う言葉に全員で「おー!」と返してほしいと言い、私たちはその言葉を踊りのフィニッシュとして叫ぶと、みんなが一斉に「おー!」と返してくれた。


 たったこれだけのことで、みんなの緊張はほぐれた。

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