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~さようならロン、またあう日まで~ (中学校編)  作者: 湖灯


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   ~始業式と、入学式の演奏1~

 二週間の春休みの間も、土日以外はすべて学校に行き練習をした。

 卒業式が終わった日の放課後から、今年の吹奏楽コンクールの課題曲を吹奏楽のための「エール・マーチ」に決めて練習を始めた。

 自由曲の選定は、一年生の技量をみてから決める。


 今年の方針は、できるだけ全員参加できるようにと決めた。

 去年私たち一年生の大部分が外されることになったのは、三年生をどうしても県大会に行かせたかったため。

 これは今の狩野部長が当時の春日部長を説得してまで決めたこと。

 このまま三年生を一度も県大会に出せないまま終わらせれば、自分たちも同じ道をたどり、そして一年生もまた同じ道をたどる。


 一年生には悪いがここで悔しさを味わってもらえば、彼らは必ず今後を背負って立ってくれるはず。

 先輩たちは私たちをみて、そう判断してくれた。


 たしかに私たちは大編成なら、ほぼ全員大会に出られるはずなのに、実際はその逆の状態になってしまったことに戸惑ったときもあった。

 けれどもみんな気持ちを切り替えてがんばってくれたからこそ、いまがあるのだと思う。


 もしも大会に出られない夏を無駄に過ごしていたとしたらいまの実力はなく、そうなると新一年生のお世話は結局三年生がしなければならなくなり全体の技量が落ちてしまう。

 結局は去年と同じように一年生抜きで行わなければ支部大会を突破できるかどうかも怪しくなってしまう。


 しかし私たちは腐らずにがんばった。

 だから今年は全員で県大会進出を目指す!


「おはよー!」

「おっす!」

 今朝は伊藤くんだけで美緒は来ていなかった。

 まあ今日は始業式の日で、二年生のクラス発表もあるから朝練に出るような気分になれないのはよくわかる。

 しかし伊藤くんはがんばるよね。

 結局私たち二年生で朝練に顔を出したのは私たちの他には江角くんだけだった。


 朝練を終えて二階の渡り廊下に貼られたクラス表のほうに向かうと、里沙に声をかけられて今年も同じクラスになったことを教えてもらった。

 私のクラスに吹奏楽部の部員は誰がいるのかと表の前に行くと、後ろから「じゃまだ!」と声をかけられて慌てて後ろに下がった。

 声をかけたのは江角くん。

 こんな人と一緒じゃなければいいのになって思っていると、なんと同じクラスだった。


 “が~~ん”

 一番楽しいはずの、私の二年生はこの日に終わったと思った。


 教室に入り、出席番号順に席に着くと私は相原さんと青木さんの次の三番目だった。

 席に着いて隣を見ると、そこには江角くんがいた。

 どうして、ア行の子が三人もいるのよ!

 ア行が並ぶと私が女子の出席番号の一番を取ることは難しい。

 一番さえ取れれば、江角くんのとなりになることもなかったのに……。

 ホームルームに持田先生が来たので、私は音楽室に何か忘れてきたのかと心配になってそわそわしていたら、隣の江角くんから「普通に担任だろう」と冷たく言われた。


 私の学校では、同じ日に新一年生の入学式も行われるので、今日はとても忙しい。

 ホームルームが終わるとすぐに体育館に移動して、始業式と新しい先生の着任式が行われ、教室に戻ると全員で職員室の玄関まで行き自分たちのクラスが書かれている教科書の入った段ボールを持ち教室に戻った。


「いっぱいあるねぇ~」

「これ全部頭の中に入れなくちゃならないと思ったら、お先真っ暗ね」

 並んで歩いていた里沙がそう言って笑っているところに、伊藤くんがやってきて里沙にクラスを代わってくれと交渉して断られていた。


 私のところには美緒がきて「私も江角くんと同じクラスがよかったのに!」と言っていたが、私は代われるものなら代わってあげたいと思った。


 なんでみんな江角くんがいいって言うのか私にはわからなかった。

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