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~さようならロン、またあう日まで~ (中学校編)  作者: 湖灯


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   ~ロンと雪遊び4~ 

 私がこたつに入ってから、しばらくするとロンもこたつから出てきて私の膝の上に頭を乗せて目をつむった。


「初めての雪遊びで疲れちゃったね」と話しかけながら、ロンの頭を優しく撫で続けていた。


 食堂では里沙が兄の友達に囲まれてモテモテだった。

 私もさっきまで、その輪の中にいた。

 でもロンのことが気になって、何を話しかけられても気もそぞろ。

 そのうちロンを探そうとウロウロして、このこたつにたどり着いた。


 兄の友達の中で最も体格のいい角刈りの茂山さんが、特に里沙を気に入ったみたいでずっと隣から離れようとしないでいた。


 気に入っているのが、まるわかりの態度に思わず笑顔になる。

 だって女子だったらあんなに分かりやすい態度はとらないもの。

 結構男の人って子供……。

 なぁ~んて思っちゃう。


 食堂の奥にある厨房から美樹さんが出てくるのが見えた。


「あれ?兄と一緒に散歩じゃなかったのですか?」

「駿くんは今お風呂だよ。私たちがお風呂に行っている間中、ロンの世話していてお風呂に入っていなかったんですって」


 へぇ~さすが兄!


「美樹さんは何していたんですか?」

 私が聞くと美樹さんは「じゃ~ん!」と言ってノートを広げて見せた。

 鶏肉とかニンジンとかの文字が見えた。


「ひょっとして、ロンの夕食のレシピ!?」

「ご名答!千春ちゃん今度一緒に作ろうね!」

「うん!」


 兄がお風呂から上がって来てから四人で雪の夜道を散歩した。


 ちなみに四人とは兄、美樹さん、ロン、それに私。

 ロンは昼間みたいに走り回らずおとなしく私たちと歩調を合わせて歩いていた。


 まるで積もった雪が周囲の音を吸い込んでいるように、しんと静まりかえった雪の夜を私たちの歩く音だけが響いていた。


 寒空を見上げると星がたくさん出ていて、そのなかでも天頂にあるオリオン座がまぶしいくらいきれいだった。



 次の日、朝起きてみると体が棒のように硬くて痛い。


 筋肉痛だ。


 ほかの人はみんな平気みたいで、日ごろどれだけ運動不足なんだろう。(でも毎日ロンの散歩で走っているんだけどな……)


 一応、スキーウェアには着替えたけど今日はロンと二人で見学することにした。

 目の前を兄と美樹さんが仲良く滑って行く。


 初心者の私が言うのも変だけど、二人ともスリムで背が高いからフォームがきれいに見える。

 里沙が茂山さんにエスコートされて通り過ぎて行く。私たちに大げさなジェスチャーで手を振る里沙の隣にいる茂山さんは大きくてごつい体格なので、まるでお父さんと娘に見えて笑える。


 みんなが私たちの前を通り過ぎるとき手を振って通り過ぎるので私も手を振り返す。


 私の隣にいるロンは、みんなが手を振ってくれることにはまるで関心がないみたいで、今日も黙々と雪とたわむれている。


 時折子どもを連れた家族が「かわいい」とか褒めてくれるときは、きちんとお座りして賢そうにしたり、また気まぐれで私の膝の上に乗ってきたりしてかわいい。

 それにしてもロンもみんなも、なんでそんなに元気なの?


 じっとしていることにも飽きて(というより寒くなってきた)少し体を動かさなくてはと思って誰も通らない端っこの木の近くに「かまくら」を作ろうと思った。たしかニュースか何かで見たときの記憶では、圧雪された雪を四角く切り出して、それをレンガのように重ねて作るのだったと思う。


 だけどスコップもないし圧接された雪もないので「縦穴式住居風かまくら」を作ることにした。

 幸い私のパートナーは穴を掘る天才だ。


 ロンは気まぐれだから「掘って!」とお願いしてもきっと知らんぷりしてしまう。

 だけど私が掘り始めると興味を惹かれて掘り出すに違いないと思いながら雪を掘っていると、案の定私の掘っている穴に鼻先を割り込ませて、前足で恐る恐る引っかきはじめ最後には超速雪かき機と化した!


 すぐに人が入れるくらいの大きな穴が出来上がり、今度はかき出した雪で建物の外壁を作って行く。

 これはロンに興味を持たれると壊されちゃうので、遊んであげながらゆっくりと進める。


 途中で里沙と茂山さんが手伝いに来てくれて、特に茂山さんは意外に器用で屋根を閉じるのは無理だろうと諦めていたのに、きれいに作ってくれた。


 ロンと里沙と私くらいまでなら十分入れる大きさだけど大きな茂山さんだと一人でギリギリだったし似合わな過ぎて里沙と二人で笑った。


 茂山さんの場合は「かまくら」ではなく、嵐の中でビバークする探検家のようだった。


 茂山さんは壁を倒さないようにゆっくり出てきて、日本人と犬のつながりは、この縦穴式住居に住むようになった一万年ほど前からだと教えてくれた。

 犬たちは住居という空間に住むようになった人たちが安心して寝られるように番犬として大切にされていたらしい。


 そこで里沙と私が基地(かまくらもどきの縦穴式住居もどき)に入って茂山さんに、追い出したロンを外に出してもらうと、ロンは「中に入れろ!」と言わんばかりに吠えた。


「ぜんぜん番犬にならないじゃん!」

 里沙も私もロンにそう言って笑った。


 しばらくして里沙と茂山さんは、またスキーをしに行って、私とロンは基地の中でお留守番。


「二人きりの我が家って、なんだか落ち着くね!」


 ロンにそう言うと、ロンもそう思ったのか私の顔をペロッと舐めて、もたれかかるように寝転んできた。

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