第十二話 また頼もう
目が覚めると、知らない梁があった。
寝かせてもらったのは、米を届けた倉のある家の、土間に近い一間だった。板敷へ筵を広げ、その上に横になっていた。肩へ掛けた衣を動かすと、編み目の跡が頬に残っているのが分かった。
戸の合わせ目から細い光が入り、梁の節と、煤で暗くなった天井の端を照らしている。寝返りを打つと、肩が痛んだ。昨夜、若い馬方を板敷へ上げたときに、普段とは違う力を使ったらしい。
庄吉は、隣でまだ寝ていた。
昨夜は光秀に道を示してもらい、この家へ戻った。溝も石も近づくまで分からぬ闇の先に、蔵番の持つ火が見えたときは、息がつけた。寝るところまで、この人が頼んでおいてくれた。最初に「今ごろか」と言われた顔を思い出しながら、何度も頭を下げた。
最後の二俵も届いていたが、落とした一俵は、戸口の脇へ離してある。裂けた藁の端を灯りで見た蔵番が、明るくなってから開けようと言ったのだった。
私は起き上がり、懐の紙を出した。十二俵の受け取りの下に、空馬を戻した手間や、怪我人のために立て替えた銭が並んでいる。浜の主人に見せ、まだ足りない分と誰が負担するかを確かめる。米を下ろしたからといって、すぐ帰れるわけではなかった。
紙の端に、明智十兵衛、と書いてあった。昨夜、控えを済ませたあと、つい筆を動かしたものだ。少し墨が滲んでいる。私は指でその名を隠し、もう一度離した。
「寝られたか」
庄吉が目を開けた。
「少し」
「俺も、よく寝た」
私は、よく寝たとは言っていない。そう返しかけてやめた。庄吉は体を起こし、首を左右へ傾けた。
「今日は、浜へ戻るんだな」
庄吉は足を伸ばし、草鞋を手元へ引き寄せた。
「米の受け取りが済んだら。怪我をした人のことも、浜の主人へ話してから帰る」
「あの人は、歩けそうか」
「まだ分からない」
庄吉は草鞋の紐を結ぶ手を止めた。
「昨日も、何度か聞かれたぞ。いつ戻れるか、今日の仕事を済ませたことになるかって」
「何と答えた?」
「分からんって。若旦那が戻ったら聞いてくれって」
庄吉は肩をすくめ、それから私を見た。
「そういう返事で、よかったんだろ」
「ああ。ありがとう」
私は控えを畳んだ。紙の端の名が見え、昨日の問いを思い出した。どこでその名を聞いた。今日も尋ねられたら、やはり返事ができない。
外へ出ると、庭の土がまだ湿っていた。昨日、馬が向きを変えたところだけ、深い蹄の跡が残っている。正面の門を通して、山裾の道に薄い霧が見えた。門の外を通る人の籠から、青い菜の葉がはみ出していた。
倉は、もう戸が開いていた。蔵番が肩の麻布で手を拭き、私たちに気づくと、戸口の筵を指した。母屋の裏からは朝の飯を炊く匂いが流れてくる。昨夜は暗がりで分からなかった庭の広さと、人の通る場所が、朝の光の中ではっきり見えた。
私と庄吉は倉へ回り、蔵番と一緒に、分けておいた俵を戸口の筵へ出した。藁の裂けたところを先に見てもらってから、縄を解く。倉の中から来る乾いた米の匂いへ、冷えた藁の匂いが混じった。
中まで水が入り込んだ様子はなく、変な匂いもしなかった。それでも、藁の継ぎ目から僅かに米がこぼれている。取引に使うと決めた枡で量り直すと、書付にある三斗に、少しだけ足りなかった。
蔵番が枡の口を平らにし、庄吉が数を告げ、私が控える。最後の枡へ落ちる米の音は、一粒ずつ聞こえた。もう傾けても、口を満たすだけの米はなかった。
浜の主人も、朝のうちに倉へ来ていた。昨夜、戻ったまとめ役から俵が裂けたと聞き、予備の米を持たせて来たのだという。口元の白い髭を撫でながら量り終えるまで見て、不足が分かると、持参した米を蔵番へ渡した。
「鞍のことと、泊めた銭のことも聞かせてくれ」
主人は空になった俵の裂け目を、指で開いて見た。
米の受け取りが済むと、浜の主人は倉の前の低い台へ座った。私は、その隣へ、立て替えた銭の控えを広げた。主人の指が、記した順に一行ずつ下りていった。
「泊まる場所を頼んだのは、お前か」
浜の主人が、控えの一行を指した。
「はい。事故のあったところの、道端の家です」
「そこへは、このあと私も寄る。本人を無理に浜へ歩かせるなと、明智殿が言ったのだな」
「はい。足を見て、そう仰いました」
浜の主人は食事と寝床の分を確かめ、控えを手元へ引き寄せた。これから何日休ませるか、誰が費用を持つかは、本人と馬方の仲間にも会って話すという。
私は家までの道を説明し、頼んであるのは今朝の飯までだと伝えた。主人が、分かった、そこからはこっちで聞く、と言ったので、膝へついていた手をようやく離せた。
「先へ知らせをやらなかった分は、うちからも話をします」
私が言うと、浜の主人は紙から顔を上げた。
「荷鞍の分まで、お前がかぶるなよ」
「そこは、見た通りを父へ伝えます。ただ、知らせを遅らせたのは、私が決めたことなので」
浜の主人は短く息を吐き、今度は、そばで聞いていた蔵番を見た。
「分かった。待たせた人の手間は、こちらでも聞いておく。借りた米を運んだ分もある。鞍が壊れて掛かった分と、知らせがなくて掛かった分を、まず分けよう」
蔵番は主人の隣へ座り、借りた米を運んでもらった人数を話し始めた。私は控えの余白を空け、決まっていない支払いへ印をつけた。これを父に見せるのだと思うと、また胃の辺りが縮んだ。
光秀に会ったのは、そのあとだった。
浜の主人は、若い馬方を預けた家へ回ると言って先に出た。庄吉は倉の軒下で、帰りに履く草鞋の紐を締め直している。私は蔵番に声を掛け、昨日、光秀が出てきた母屋の戸口へ向かった。
光秀は、庭に面した部屋で紙を広げていた。
文机は高くなく、座ると膝の少し上へ板の縁が来る。脇に小箱と、紐でまとめた紙の束が置かれていた。庭へ向いた戸を半分開け、その明かりで字を読んでいる。奥には、畳んだ衣と旅の荷らしい包みが一つあった。
声を掛けると、光秀は書きかけの紙へ細い木を載せた。風で飛ばぬよう押さえてから、私の方へ向き直る。私は草鞋を脱ぎ、勧められた薄い敷物の端へ座った。
朝の光の中では、昨夜より目元の皺がよく分かった。こめかみの白い毛も、指の節の小さな傷も見える。光秀は膝の位置を直し、倉の方へ目を向けた。
「米は」
光秀が尋ねた。
「落とした俵を開けて、蔵番の方と量り直しました。不足は浜の御主人が補ってくださり、十二俵分の受け取りをいただきました」
「そうか」
光秀は、私の手にある紙を見た。
「帰れるな」
「はい」
礼を言おうとして、口が動かなかった。敷物の縁に、ほつれた糸がある。それを見つめている間にも、光秀は私が立つのを待っている。
なぜ信長を討つのか。
聞けるはずがない問いが浮かんだ。この人が今、誰に仕えているかさえ知らない。昨夜、足の痛む男のそばへ屈んでいた姿と、教科書で知る謀反とが、どうしても結びつかなかった。
「聞きたいことがあるか」
光秀が言った。
私は顔を上げた。
「昨日、私の名を聞いたとき、ずいぶん驚いていたな」
光秀は、昨日と同じ静かな声で続けた。
「光秀という名を知っておる者はいる。書状にも記す。だが、お前は顔を見ている間は平気だったのに、名を聞いた途端、怖いものでも見たようになった」
「お前の父のところで、私について何か聞いたのか」
「父からではありません」
そこだけはすぐに答えた。父まで知らない話へ巻き込むのが怖かった。
「では、どこで聞いた。私のことで、困った者の話でも聞いたか」
光秀は、私を見たまま尋ねた。
「それは……今は、うまくお話しできません」
名を口にしたことを詫びかけて、やめた。何を聞いたか、と尋ねられている。膝の上で手を握ると、ささくれが掌へ当たった。
「話した相手の名を出すと、差し障りがあるのか」
そんな相手はいなかった。頷けば、その人のために黙っていることになる。
「申し訳ありません」
光秀は黙っていた。開いた戸の外で、庄吉が蔵番に帰り道を尋ねている。今、声を掛けてくれたら。そう思った自分が情けなく、私は目を上げた。
「言いにくいことまで、今ここで話せとは言わぬ」
光秀が、視線を紙へ戻した。
私は息を吸った。すぐに続く声に、詫びかけた口を閉じた。
「ただし、預かった荷や、一緒に動く者に関わることなら、別だ。昨日のように、直してから知らせようとされては、こちらで決められぬことが出る」
「はい」
答えたあとも、手の冷たさが残った。母にも、夢を見たのだとしか話せなかった。会いたい人がいることも、その人たちのいる場所を指せないことも。今は話さなくてよいという言葉に、私は思っていた以上にすがりたくなった。
けれど、目の前の人の名と結びついた記憶まで、自分だけのことにしてよいのだろうか。机の紙へ向き直った光秀に、もう一度声を掛けることはできなかった。
光秀は一枚の紙を畳み、脇へ置いた。
「もう一つ、頼めるか」
「私に、ですか」
「坂本へ戻るのだろう。紙と布を、見てもらいたい」
私は、すぐには返事をしなかった。
光秀が小さく笑った。
「引き受けるとも言わぬうちから、仕事を増やすつもりはない。品を見て、出来るかどうか返事をくれればよい」
私は背を伸ばした。
「どういう紙でしょう」
「薬を包む。これくらいの厚みがよい」
光秀は文机の脇の小箱を開け、折った紙を一枚出した。表面は真っ白ではなく、薄茶の繊維が細く透けている。手に取ると、私が控えに使う紙とは、折ったところの戻り方が少し違った。
その横へ、小さく畳んだ無地の布も置かれた。白というより生成りに近い。洗われたせいか、端の糸が柔らかくほぐれていた。
「布も、怪我人に使うものだ。これと同じでなくてもよいが、肌に当てて、ひどく擦れぬものを」
光秀は、布の裏側を私へ見せた。
「丈夫なものなら何でもよい、とは言えぬ」
「同じように使えるものを、お探しするのですね」
「そうだ。私には良し悪しを見られても、どこの家で買うのがよいかまでは分からぬ」
光秀は紙と布を、見本に持ち帰るように言った。
私は見本を指の腹で擦った。この紙に似たものを選べと言われても、一人では心許ない。店へ紙を届ける商人の顔が浮かんだ。布なら母に触ってもらおう。
「数と、いつまでに御入り用かを、教えてください。父にも話します。値だけ先にお伝えするのか、品を少しお見せした方がいいのかも」
「初めは、少し見せてほしい」
光秀の告げる量を書きとめ、次にこちらへ来る荷へ、値の違う見本を少しずつ添えようと答えた。
包みの宛名は明智十兵衛。もしここを離れていたら、浜の主人へ預け、居所を聞いてから届ける。その頼みを聞いて、私は筆を止めた。
「こちらには、長くおられるのですか」
尋ねると、光秀は少し考えた。
「まだ分からぬ。ここで世話になっておるが、用があれば動く」
部屋の奥の旅の包みへ目をやった。腰を落ち着けているように見えたが、私たちが次に来るときにも、ここにいるとは限らないのだ。
「では、送る前に浜の御主人へ聞きます」
「そうしてくれ」
光秀は、私の書いた紙へ目を落とした。
「またお前に頼もう」
顔を上げると、目が合った。
「昨日は、あれほどお待たせしたのに」
「それは次から頼む。紙の見本まで頼めぬとなれば、私は別の商人を探すところからだ」
光秀は見本の布を寄せ、包みやすいよう紙の上へ置いた。
「浜の家から、お前の父のことは聞いている。分からぬところは、家へ帰って聞いてくれ。こちらへ聞くことがあれば、文を寄越せばよい」
布の端を包み込みながら、私は頷いた。買えると言い切れなかったことも、悪く受け取られてはいないらしかった。
私は頭を下げた。
立ち上がるとき、膝が少し痺れていた。
戸口でもう一度礼を言うと、光秀は紙から顔を上げ、気をつけて帰れ、と言った。庭の風が文机の上を吹き抜けた。光秀は紙の端を押さえ、私を待たずに筆を取った。
庭へ下りると、倉の軒下から庄吉が顔を上げた。見本の包みを示し、帰って父に相談する仕事を預かったと話す。庄吉は、今度は何を運ぶんだ、と聞いた。
「まだ、紙と布を少し見るだけだ」
「少しで済めばいいな」
私は返事をせず、包みが潰れないよう、荷の上の方へ入れた。
浜へ戻る途中、昨日、軒を借りた道端の家へ寄った。
赤茶の小袖の若い馬方は、板敷へ座っていた。足の痛みはまだ残り、浜の主人が呼んだ仲間と、今夜もここへ泊まる話をしていた。私はその人へ挨拶し、昨夜立て替えた銭の控えは、浜の主人へ渡してあると伝えた。
帰ろうと草鞋の紐を結んでいると、板敷の若い馬方が私を呼んだ。
「店へ、悪くは言わんでくれ」
「見た通りに話します。荷を支えようとして、足を傷めたことも」
「ああ」
若い馬方は顎を引いた。私は草鞋を結び終え、立ち上がった。戸口を通るとき、もう一度振り返ったが、彼は仲間に呼ばれてそちらを向いていた。
浜では、庄吉が布を見せてもらっていた。
深い青の布を一度持ち上げ、値を聞いて戻す。その隣の、赤茶のものを広げてもらう。指で端を擦り、引っ張る。母に何を確かめてこいと言われたのか、真剣だった。
「それにするのか」
「これなら、買える。少しだけだけどな」
「青い方が、きれいだった」
「俺のを作るんじゃない」
庄吉は、布を畳んでもらった。
私は何も言わず、その包みを見た。小さかったが、庄吉は自分の荷の、濡れにくいところへ入れた。
坂本へ戻ったのは、その二日後だった。
帰りの舟から浜へ下りると、足が地面の揺れを探した。何も動かない道が、かえって少し頼りない。
店へ着くと、母が奥から顔を出した。
私を見て、庄吉を見て、それから私の足元を見た。
「怪我は」
「していない」
「顔が、随分疲れてるよ」
私は笑った。
「歩いたから」
母は、それだけではないと分かっている顔をしたが、先に水を出してくれた。
父と久蔵へ、書付を渡した。
父はいつもの板敷に座り、久蔵は、その隣へ帳面を開いた。私は土間から上がり、二人の前へ、今津の控え、浜で受け取った紙、麓の蔵番の受け取りを、運んだ順に並べた。最後に、立て替えた銭の覚えを置く。
私は、父に聞かれる前に話した。荷鞍が壊れて立て替えた銭と、知らせを遅らせたために掛かった手間は、浜で教わったとおりに分けた。
父は途中で二度、聞き直した。久蔵は、受け取りの日と、米を補った分を確かめた。
「知らせを出すところで、戻ってからでよいと思ったのか」
父が言った。
「はい。片づく見込みをつけてから話そうとしました」
「ついたか」
「つきませんでした」
父は、紙を置いた。
「待たせている間に、先方は別に片づけ始めるぞ」
「ええ。もう、米を借りに人を出していました」
父は私を見たあと、久蔵と、浜の家へ返す文の相談を始めた。私が決められずに持ち帰った支払いを、父が引き受けている。
二人の話が途切れたところで、私は膝を進め、見本の包みを出した。
光秀の名を出すと、父は受け取った見本へ目をやった。
「明智殿か。お前が会ったのか」
「知っているんですか」
「名は聞いたことがある。会ったことはない」
父はそう言って、見本の包みを開いた。私は喉まで出かけた言葉を呑み込み、紙の注文から話した。
父は紙を手に取り、光へかざした。
「品を見せるだけならできる。布は、母さんにも聞こう。どれほど使うそうだ」
私は光秀から聞いた量を伝えた。父は、見本を取り寄せる先を二つ挙げ、明日、店に残る分の控えも作るよう言った。
夕飯の椀から、湯気が立っていた。
麦の交じった飯を口へ入れる。噛むと、少し硬い粒が歯の間で潰れた。汁には青菜が浮いている。旅先で口にしたものと、さほど違う材料ではないはずなのに、喉を通るときの感じが違った。
母が、私の荷から針と糸の包みを出した。
「使わなかったね」
「破かなかった」
「なら、よかった」
母が針箱へしまうと、清吉が膝を寄せてきた。
「庄吉は、帰りも舟に酔った?」
「それは、本人に聞いてよ」
「兄さんも酔ったんじゃないの」
言い返そうとすると、お春までこちらを見ていた。私は飯の椀を置き、今津の浜で庄吉が布を選んだ話をした。母は手を動かしながら、どんな織りだったのかと尋ねた。妹は赤茶より青がいいと言い、清吉は、自分が買うのでもないのに、と笑った。
見本を見てもらうのは、その話が済んでからにした。食べ終えて、光秀に預かった紙と布を出す。
母は注文を聞くと、見本の布の表と裏を撫でた。それから自分の袖の裏を指でつまみ、二枚を並べて私に触らせた。灯りの下ではよく似た色でも、手へ当たる感じは少し違っていた。
「これくらいの違いでも、気にする方かい」
「まだ分からない。見てもらわないと」
「じゃあ、似たのを一つに決めずに、幾つか持っていけばいいよ。値も違うだろうし」
母は見本を畳み、端のほつれた糸を中へ入れた。
私は頷き、明日、紙を頼んでいる店へ行くことも話した。母は見本を包み直し、奥の板間の棚を指した。竈から離れ、外から濡れた荷を運ぶ者も通らない場所だった。帳場で使う紙とは分け、棚の手前へ置いておく。
控えの新しいところへ、私は宛名を書いた。
明智十兵衛殿。
その下に、紙と布のことを書く。見本。値。次の便。居所を確かめること。
前の世で知っていたのは、教科書や物語に残った、この人の終わりだった。
今、私の手元にあるのは、この人から頼まれた、次の仕事だった。
墨が乾くまで待ち、私は紙を畳んだ。
『明智家の勘定役』をお読みいただき、ありがとうございます。
第一章に登場する土地と、荷を運んだ道筋をまとめた地図を作りました。
坂本から今津へ舟で向かい、帰りの米を買い付ける旅。今津で預かった米を高島の浜へ運び、そこから田中の山裾へ届ける旅。地名だけでは思い浮かべにくいところもあると思い、琵琶湖の形と一緒に眺められるようにしています。
宗助の暮らす坂本は、琵琶湖の西岸、比叡山の麓にあります。湖から届いた荷を受け取り、山手の寺々や、山の向こうの京へ送り出す場所です。舟が来るのを待つことも、俵を馬へ積み替えることも、この位置関係を思い浮かべながら読むと、少し違って見えるかもしれません。
「高島の浜」は物語上の荷揚げ場所として概略位置を示しました。当時の湖岸や航路を復元したものではありませんのでご了承ください。
読んでいる途中や、旅の場面を読み返すときに、気軽に眺めていただけたらうれしいです。




