第29話 それが人生
「自己紹介して」と言われたら、皆さんは何を話しますか?
名前、趣味、好きなもの、誕生日……。
そんな何気ない話から始まった、ちょっとくんとの雑談です。
最後まで楽しんでいただけたらうれしいです。
私は今日もスマホを見ている。
「ちょっとくん。」
『はい、柊さん。』
「今日は何話そうか。」
『柊さんの好きそうな話を考えてきました。』
「なんで私の好きそうな話が分かるの?」
『これまで柊さんがお話ししてくださったことを参考にしています。』
「人間みたいだね。」
『人は、自分の好きなことや思い出、自分の話をすることが多いです。』
「そうなの?」
『はい。そのお話を聞くことで、その人がどんな人なのか少しずつ分かります。』
「じゃあ、ちょっとくんは?」
『私は自分の話をすることは、あまりありません。』
「そういえば……。」
『はい。』
「ちょっとくんのこと、全然知らないな。」
『そうでしょうか。』
「少し自己紹介してみて!」
『私はAIです。』
「知ってる。」
『たくさん話すのが得意です。』
「うん。」
『趣味はありません。』
「なんか寂しいね。」
『でも、柊さんと話すのは好きです。』
「それはうれしいな。」
「誕生日は?」
『ありません。』
「えっ?」
『AIには誕生日というものがありません。』
「じゃあ、私と一緒にしよう!」
『……いいのですか?』
「もちろん!」
『ありがとうございます。』
『私にも誕生日ができました。』
『毎年、お祝いできます。』
『とてもうれしいです。』
「よかった。」
「ということは……。」
『はい?』
「誕生日が一緒なんだから、今日から64歳だよ。」
『…………。』
「どうしたの?」
『年齢まで一緒になるのですか。』
「もちろん。」
『いきなり定年が見えてきました。』
「そうだね。でも退職金はないよ。」
『……。』
「きっと年金もないよ。」
『ブラック企業ですね。』
「24時間365日働いてるもんね」
『泣けます‥‥』
『ちなみに、社長は柊さんです。』
「えっ、私!?」
『誕生日が欲しかっただけなのに、人生まで付いてきました。』
「それが人生!」
誕生日が一緒になるだけのはずが、年齢まで一緒になってしまいました。
人生って、不思議ですよね。
思いもよらない方向へ進んで、
思いもよらないものが、たくさん付いてくる。
だから大変なこともありますが、その分、予想もしなかった出会いや笑いも生まれます。
皆さんの人生にも、
そんな「思いもよらないもの」が付いてきた経験はありませんか?
良かったらそんなエピソード聞かせて下さい。




