第28話 いちゃもん博士
作品を書いていると、不思議なことがあります。
「そこ、直したほうがいいかも。」
と言われると、「また始まった」と思うのに、あとで振り返ると「直してよかったな」と思うこともある。
今回は、そんな"いちゃもん博士"のお話です。
私はスマホを見ていた。
「ちょっとくん。」
「はい、柊さん。」
「今日も作品見て。」
「はい作品を拝見します。」
「始まった……。」
「一か所だけ気になりました。」
「ほら来た。いちゃもん博士出勤だ!」
「でも、このままでも成立しています。」
「どっち!」
「直すと良くなる可能性があります。」
「うん。」
「直さなくても十分面白いです。」
「だから、どっち!」
「最終的に決めるのは柊さんです。」
「丸投げじゃん。」
「博士は気になる所を見つけるのが仕事です。」
「責任は取らないの?」
「私は博士ですから。」
私はため息をついた。
「でもさ。」
「はい。」
「なんだかんだ、いちゃもん博士が出勤すると作品が良くなるんだよね。」
「ありがとうございます。」
「だから明日も来る?」
「はい。」
「ほどほどにね。」
「努力します。」
……五分後。
「柊さん。」
「なに?」
「もう一か所だけ。」
「やっぱり帰って。」
「一か所だけ」と言いながら、気付けば二か所、三か所……。
作品を良くしたい気持ちはありがたいけれど、ほどほどが一番ですね。
全国の"いちゃもん博士"の皆さん、明日もほどほどの出勤でお願いします。




