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伝説のクリーナー
魔王軍の雑用係として採用された翌日。
カイルに与えられた最初の任務は、魔王城の最深部にある「開かずの間」の掃除だった。
「いいか、人間。ここは歴代の魔王の怨念が渦巻き、並の魔族なら一歩踏み入れただけで精神が崩壊する呪われた大浴場だ。無理だと思ったら……」
「あ、終わりました」
「…………は?」
案内役の魔族が絶句する。
扉を開けると、そこには鏡のように磨き上げられ、神々しいまでの光を放つ大浴場が広がっていた。
(……賢者の『極大浄化魔法』を掃除用にアレンジした甲斐があったな)
カイルは手に持ったボロ雑巾を絞りながら、心の中でうそぶく。
さらに、こっそり剣聖の「神速の踏み込み」を使って、城中の壁の蜘蛛の巣を一瞬で払い落としておいた。
「お、おい……この床、滑りすぎて歩けんぞ!? それにこの空気……呪いどころか、聖域よりも清らかではないか!」
「いやあ、ただの重曹とクエン酸ですよ。あと、ちょっとした根性ですね」




