↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
14/20

第14話 七回目の私。

「私は――あなたが忘れた、七回目のあなたなんだから」


目の前にいる女は。


間違いなく。


セシリアだった。


二十三歳。


長い銀髪。


白い肌。


そして。


首元には。


処刑されたときの傷。


自分が。


一度目の人生だと思っていた。


あの人生の自分。


「七回目……」


十三歳のセシリアは。


呟いた。


過去の自分が。


少し。


笑う。


「そんな顔するのね」


「どんな顔?」


「怯えてる」


「当たり前でしょう」


「そうね」


七回目のセシリアは。


ゆっくり。


自分の首に触れた。


「私も」


「……」


「八回目の自分に会ったら」


「……」


「たぶん同じ顔をする」


レオン。


ルーク。


二人も。


何も言えない。


ノア。


小さな光。


セシリアの肩の近くに浮かんでいる。


《過去世界――第七》


《接続中》


「ここは」


セシリア。


周囲を見る。


王宮。


でも。


今の王宮ではない。


処刑台。


遠く。


広場。


人々。


動かない。


まるで。


時間が止まっている。


「七回目の世界?」


「そう」


過去のセシリア。


「正確には」


「……」


「残った記憶」


「じゃあ」


十三歳のセシリア。


「あなたは」


「本物かって?」


「……うん」


七回目のセシリア。


少し。


考える。


「分からない」


「分からない?」


「私は」


胸。


手。


当てる。


「自分を本物だと思ってる」


「……」


「でも」


「……」


「私はもう死んでいる」


「……」


「だから」


寂しそうに。


笑う。


「記憶が作った私なのかもしれない」


セシリア。


胸。


痛む。


「それでも」


「……」


「あなたは私?」


七回目。


「ええ」


「なら」


セシリア。


一歩。


近づく。


「聞きたいことがある」


「たくさんあるでしょうね」


「全部」


七回目。


「欲張り」


「あなたもでしょう?」


少し。


笑う。


「そうだった」


◇


最初に。


聞きたかった。


「本当に」


セシリア。


「私は七回」


「……」


「レオンを殺したの?」


七回目のセシリア。


表情。


消える。


レオン。


横。


少し。


身体。


固くなる。


七回目。


彼を見る。


「今のレオンは」


「……」


「まだ知らなくていい」


レオン。


「僕は」


「知りたい」


即答。


七回目のセシリア。


少し。


驚く。


「怖くないの?」


レオン。


「怖い」


「なら」


「でも」


「……」


「セシリアが一人で抱える方が嫌だ」


七回目のセシリア。


長く。


彼を見る。


そして。


「やっぱり」


小さく。


「同じね」


「誰と?」


「全部のレオンと」


◇


「七回全部」


七回目のセシリア。


話し始める。


「結末は違った」


一回目。


最初の世界。


セシリアは王妃になった。


レオンは王。


娘。


エリア。


幸せ。


十六年。


でも。


セシリア。


暗殺。


レオン。


星喰い。


暴走。


王国。


滅ぶ。


最後。


ルーク。


レオンを殺す。


世界。


巻き戻る。


「二回目」


七回目。


「私は」


「……」


「最初の世界を覚えてなかった」


セシリア。


「私と同じ?」


「そう」


「でも」


「……」


「理由は分からないのに」


「……」


「レオンを怖がった」


十三歳のセシリア。


胸。


痛む。


今。


最初。


自分も。


そうだった。


処刑された。


記憶。


ある。


だから。


レオンから。


逃げた。


二回目のセシリアは。


記憶すらない。


でも。


心。


覚えていた。


「それでも」


七回目。


微笑む。


「好きになった」


レオン。


少し。


目。


伏せる。


「毎回?」


「毎回」


ルーク。


「本当に?」


七回目。


「あなたも毎回エリアを探してた」


ルーク。


黙る。


◇


二回目。


セシリア。


レオン。


婚約。


しかし。


セシリア。


病死。


レオン。


星喰い。


暴走。


また。


国。


壊れる。


三回目。


セシリア。


レオンから。


逃げる。


隣国。


移住。


それでも。


五年後。


出会う。


「何で?」


今のセシリア。


思わず。


七回目。


「運命って言いたくないでしょう?」


「言いたくない」


「私も」


少し。


笑う。


「でも」


「……」


「会った」


そして。


好きになる。


三回目。


セシリア。


暗殺。


レオン。


暴走。


そのとき。


初めて。


セシリアは。


自分が死ぬと。


レオンが。


怪物になると知った。


「四回目から」


七回目。


「私は」


声。


少し。


震える。


「レオンを先に殺す方法を」


「……」


「選び始めた」


今のセシリア。


息。


止まる。


◇


「四回目」


レオン。


聞く。


「僕は」


「あなたは」


七回目。


彼を見る。


「自分から頼んだ」


「……」


「何て?」


「殺してくれって」


第6話。


レオン。


呪い。


自分を。


殺そうとした。


《俺が俺じゃなくなる前に》


同じ。


「僕が」


レオン。


声。


小さい。


「頼んだの?」


「ええ」


七回目。


「私は嫌がった」


「……」


「でも」


「……」


「あなたは笑って」


涙。


目。


溜まる。


「ありがとうって」


レオン。


何も。


言えない。


今のセシリア。


手。


彼の手。


握る。


レオン。


握り返す。


◇


「五回目」


七回目。


「私は」


「……」


「レオンを愛さないようにした」


ルーク。


「できた?」


「できると思う?」


ルーク。


「……無理そう」


セシリア。


「失礼」


七回目。


少し。


笑う。


「でも正解」


五回目。


セシリア。


わざと。


嫌われる。


冷たく。


する。


別の男。


婚約。


それでも。


レオン。


彼女。


守る。


そして。


セシリア。


襲撃。


レオン。


庇う。


重傷。


呪い。


暴走。


最後。


セシリア。


自分の短剣。


レオン。


刺す。


「この短剣」


今のセシリア。


思い出す。


父から。


もらった。


短剣。


《凶器――セシリア・アルフォードの短剣》


七回。


ずっと。


使われてきた?


「そう」


七回目。


「だから」


「……」


「八回目の私へ」


「……」


「手紙を入れた」


セシリア。


「あれ」


「私」


「ルークには気をつけろ」


「……」


「彼は味方じゃない」


ルーク。


「まだ根に持ってる?」


七回目。


彼を見る。


「七回目のあなた」


「……」


「私を裏切ったでしょう?」


今のルーク。


顔。


固まる。


「僕が?」


「正確には」


「……」


「裏切ったふりをした」


セシリア。


「どういうこと?」


「それは」


七回目。


「あとで」


◇


「六回目」


空気。


変わる。


七回目のセシリア。


一番。


苦しそう。


「私は」


「……」


「レオンを殺さなかった」


今のセシリア。


目。


見開く。


「じゃあ」


「自分が死んだ」


「……」


「わざと?」


「ええ」


レオン。


「何で」


「確かめたかった」


七回目。


「本当に」


「……」


「私が死ねば」


「……」


「レオンは怪物になるのか」


セシリア。


「それで」


七回目。


目。


閉じる。


「なった」


六回目。


レオン。


星喰い。


最速。


完成。


わずか。


三日。


王都。


半分。


消失。


十万人。


死。


セシリア。


喉。


詰まる。


「私」


「……」


「そんな」


七回目。


「あなたのせいじゃない」


「でも」


「私が選んだ」


「私でしょう!」


「違う」


七回目。


強く。


「あなたじゃない」


今のセシリア。


止まる。


「何が」


「あなたは」


七回目。


「私の続きではある」


「……」


「でも」


「……」


「私そのものじゃない」


「……」


「私の罪まで」


手。


伸ばす。


頬。


触れる。


温かい。


「背負わなくていい」


セシリア。


涙。


出る。


自分。


なのに。


別人。


過去。


なのに。


今ではない。


「でも」


「……」


「忘れたくない」


七回目。


優しく。


笑う。


「それでいい」


◇


「そして」


七回目。


「七回目」


今のセシリア。


自分が。


覚えている人生。


王太子暗殺未遂。


処刑。


レオン。


冷たい目。


「私が」


声。


震える。


「処刑された世界」


「そう」


「バルディスが」


「仕組んだ」


「レオンは」


今のセシリア。


一番。


聞きたかった。


「本当に」


「……」


「私を信じてなかった?」


七回目。


長い。


沈黙。


そして。


「いいえ」


セシリア。


息。


止まる。


レオン。


顔。


上げる。


「最後まで」


七回目。


「信じてた」


「じゃあ」


「……」


「何で」


「処刑したの?」


七回目。


涙。


流す。


「私が」


「……」


「頼んだから」


世界。


止まる。


「……私が?」


「そう」


「嘘」


「本当」


「覚えてない」


「記憶を」


七回目。


「消したから」


セシリア。


「誰が」


七回目。


「私自身が」


◇


処刑の。


三日前。


七回目。


セシリア。


すべて。


知っていた。


六回目の記憶。


戻っていた。


自分が。


死ねば。


レオン。


怪物。


レオン。


殺せば。


世界。


巻き戻る。


でも。


もう。


殺したくなかった。


「だから」


七回目。


「別の方法を考えた」


王太子。


暗殺未遂。


罪。


作る。


セシリア。


処刑。


でも。


その前。


星喰い。


レオンから。


一時的に。


切り離す。


バルディス。


協力。


「処刑されたのに」


今のセシリア。


「私が死んでも」


「……」


「レオンは暴走しなかった?」


「その予定だった」


「予定?」


七回目。


苦笑。


「失敗した」


レオン。


「また?」


「ええ」


処刑。


直前。


星喰い。


切断。


不完全。


セシリア。


死。


レオン。


暴走。


ただ。


前より。


遅い。


バルディス。


ルーク。


止める。


世界。


巻き戻る。


「じゃあ」


今のセシリア。


「あの日」


「……」


「レオンが」


《刑を執行する》


「……」


「冷たかったのは」


七回目。


「演技」


今のレオン。


胸。


押さえる。


「僕が」


「……」


「それできる?」


七回目。


笑う。


「できてなかった」


「え?」


「ずっと」


「……」


「泣きそうだった」


セシリア。


処刑台。


思い出す。


一瞬。


苦しそうな。


レオン。


《すまない》


最後。


聞こえた。


声。


「やっぱり」


涙。


落ちる。


「あの」


「……」


「すまないって」


「レオン」


七回目。


頷く。


「あなたに」


「……」


「言ってた」


今のセシリア。


泣く。


レオン。


何も。


言わず。


肩。


抱く。


十三歳同士。


少し。


ぎこちない。


でも。


それで。


十分。


◇


しばらく。


誰も。


話さなかった。


七回目。


二人。


見て。


笑う。


「よかった」


セシリア。


「何が?」


「今回は」


「……」


「ちゃんと話せてる」


「前は?」


「話さなかった」


「何で?」


七回目。


「怖かったから」


「……」


「真実を言ったら」


「……」


「もっと失うと思ってた」


今のセシリア。


胸。


痛む。


今回。


最初は。


自分も。


そうだった。


誰にも。


言わない。


信じない。


でも。


父。


レオン。


ルーク。


少しずつ。


話した。


それで。


未来。


変わった。


「だから」


七回目。


「八回目は」


「……」


「違う」


セシリア。


「うん」


◇


「ルーク」


七回目。


彼を見る。


「さっき」


「……」


「裏切ったふりって」


「聞きたい?」


ルーク。


「もちろん」


七回目。


「七回目のあなたは」


「……」


「カイル側についた」


今のルーク。


「父さんに?」


「そう」


「なんで」


「エリア」


その名前。


ルーク。


動けない。


七回目。


「カイルが」


「……」


「エリアを戻せるって言った」


今。


第10話。


同じ。


カイル。


エリア。


魂。


見せた。


「七回目でも」


ルーク。


「同じ誘惑」


「ええ」


「僕は」


七回目。


「乗った」


ルーク。


顔。


青くなる。


「僕」


「……」


「セシリアを」


「あなたは」


七回目。


「私をカイルへ渡した」


沈黙。


ルーク。


拳。


震える。


「ごめん」


「今のあなたに謝られても」


「でも」


「……」


「いいの」


七回目。


少し。


笑う。


「最後は」


「……」


「助けてくれたから」


「どうやって」


「エリアが」


七回目。


「拒否した」


今と。


同じ。


エリア。


《戻らなくていい》


七回目。


エリア。


ルーク。


止めた。


カイル。


計画。


崩れる。


そのとき。


ルーク。


セシリア。


逃がした。


「だから」


七回目。


「手紙に」


「……」


「ルークを信用するなって」


今のルーク。


「でも」


「……」


「敵だと思うなとも」


「青い本には」


「そう書いた」


「どっちなんだよ」


七回目。


笑う。


「あなたは」


「……」


「信用すると危険で」


「……」


「信用しないともっと危険」


セシリア。


「面倒」


ルーク。


「僕のせい?」


二人のセシリア。


同時。


「そう」


ルーク。


「二人で言わないでよ」


レオン。


笑う。


◇


七回目。


表情。


再び。


真剣。


「でも」


「……」


「これから」


今のセシリア。


「何?」


「七つの世界と」


「……」


「話をするつもりでしょう?」


「うん」


「気をつけて」


「何に?」


「全員が」


七回目。


「消えることを」


「……」


「受け入れているわけじゃない」


今のセシリア。


ノア。


言葉。


思い出す。


《七つの世界》


《消えたくない》


「あなたは?」


「私は」


七回目。


静か。


「終わっていい」


「……」


「本当に?」


「ええ」


「怖くない?」


「怖い」


即答。


「消えたくない」


今のセシリア。


胸。


痛む。


「でも」


「……」


「私は」


七回目。


広場。


処刑台。


見る。


「もう」


「……」


「終わった人間だから」


「そんな言い方」


「事実」


「でも!」


七回目。


手。


伸ばす。


今のセシリア。


胸。


触れる。


「ここに」


「……」


「私が残ればいい」


涙。


出る。


「覚えていて」


「……」


「私が」


「……」


「レオンを愛してたこと」


「うん」


「怖かったこと」


「うん」


「間違えたこと」


「うん」


「それでも」


微笑む。


「生きたかったこと」


セシリア。


泣きながら。


頷く。


「全部」


「……」


「覚えてる」


七回目。


「ありがとう」


◇


レオン。


一歩。


前へ。


「僕からも」


七回目。


見る。


「何?」


「七回目の僕は」


「……」


「まだいる?」


七回目。


表情。


変わる。


「いる」


レオン。


息。


止まる。


「どこ?」


「この世界の奥」


「会える?」


七回目。


少し。


迷う。


「おすすめしない」


「どうして?」


「七回目のレオンは」


声。


低くなる。


「怒ってる」


「誰に?」


「あなた」


今のレオン。


目。


丸くなる。


「僕に?」


「違う」


七回目。


「八回目の私に」


今のセシリア。


「私?」


「そう」


「何で」


「あなたが」


七回目。


悲しそう。


「自分より幸せだから」


全員。


止まる。


「そんな」


今のセシリア。


「レオンが?」


七回目。


「過去の私たちは」


「……」


「みんな」


「……」


「綺麗な感情だけ残してるわけじゃない」


嫉妬。


憎しみ。


怒り。


後悔。


同じ。


自分。


でも。


消えたくない。


「七回目のレオンは」


七回目のセシリア。


続ける。


「私を救えなかった」


「……」


「あなたたちを見たら」


「……」


「どう思うか」


レオン。


「それでも」


前。


出る。


「会う」


七回目。


「レオン」


「僕が」


「……」


「話す」


「何を?」


今のレオン。


少し。


考える。


「分からない」


ルーク。


「安定のノープラン」


レオン。


「うるさい」


でも。


目。


真剣。


「それでも」


「……」


「僕自身なんでしょう?」


七回目。


頷く。


「なら」


「……」


「逃げたくない」


七回目。


長く。


見つめる。


そして。


笑う。


「行って」


◇


世界。


変わる。


処刑台。


消える。


暗い。


廊下。


王宮。


夜。


雨。


「ここ」


今のセシリア。


見覚え。


ある。


七回目。


処刑前夜。


王宮地下。


牢。


扉。


前。


一人。


青年。


立っている。


二十三歳。


金髪。


青い瞳。


レオン。


七回目の。


レオン。


背中。


こちらへ。


向いている。


「レオン」


今のレオン。


呼ぶ。


青年。


ゆっくり。


振り返る。


その顔。


涙。


跡。


目。


赤い。


そして。


今のセシリアを。


見た瞬間。


表情。


凍る。


「……セシリア?」


声。


震える。


今のセシリア。


胸。


痛む。


七回目のレオン。


一歩。


近づく。


しかし。


彼女の横。


十三歳のレオン。


見る。


その瞬間。


顔。


変わる。


怒り。


憎しみ。


そして。


羨望。


「お前」


今のレオン。


「僕?」


七回目。


拳。


握る。


「なんで」


「……」


「お前だけ」


声。


震える。


「セシリアを」


一歩。


「救えてるんだ」


今のレオン。


何も。


言えない。


「俺は!」


七回目。


叫ぶ。


「全部やった!」


牢。


壁。


震える。


「信じた!」


「……」


「守ろうとした!」


「……」


「何度も!」


「……」


「何度も!」


涙。


「それでも!」


今のセシリア。


「レオン」


七回目。


彼女を見る。


「俺のセシリアじゃない」


言葉。


鋭い。


今のセシリア。


止まる。


「……」


七回目のレオン。


涙。


流しながら。


「俺のセシリアは」


「……」


「明日」


声。


壊れる。


「俺が殺す」


今のレオン。


一歩。


前。


「違う」


七回目。


「何が違う!」


「セシリアが」


「……」


「自分で決めた」


七回目。


顔。


歪む。


「知ってる!」


「なら」


「知ってるから!」


叫ぶ。


「余計に許せないんだ!」


「誰を?」


「俺を!」


静寂。


七回目のレオン。


自分の胸。


叩く。


「俺は」


「……」


「愛してる女に」


「……」


「自分を殺させないために」


「……」


「その女を」


涙。


「処刑する男だぞ!」


今のレオン。


何も。


言えない。


七回目。


「そんな俺が」


「……」


「何で」


十三歳のレオン。


睨む。


「お前だけ」


「……」


「未来を選べる」


「……」


「ずるいだろ」


今のレオン。


静か。


「うん」


七回目。


「……何?」


「ずるいと思う」


今のセシリア。


レオンを見る。


「僕は」


十三歳のレオン。


「あなたより」


「……」


「ずっと恵まれてる」


「……」


「セシリアが」


手。


握る。


「全部話してくれたから」


七回目。


目。


揺れる。


「ルークも」


「……」


「公爵も」


「……」


「みんなが」


「……」


「一人で抱えなかったから」


七回目。


唇。


震える。


「だから」


今のレオン。


「僕がすごいわけじゃない」


「……」


「あなたたちが」


一歩。


近づく。


「七回失敗してくれたから」


七回目。


「失敗?」


「うん」


「俺たちは」


「……」


「無駄だったってことか」


「違う」


強く。


「失敗したから」


「……」


「僕たちは」


「……」


「ここまで来れた」


七回目。


動かない。


今のレオン。


手。


差し出す。


「ありがとう」


七回目。


目。


見開く。


「何を」


「セシリアを」


「……」


「七回」


「……」


「好きでいてくれて」


「……」


「諦めないでくれて」


七回目。


涙。


落ちる。


「俺は」


「……」


「救えなかった」


「でも」


「……」


「僕は」


十三歳のレオン。


笑う。


「救えるかもしれない」


七回目。


崩れるように。


膝。


つく。


泣く。


「……ずるい」


「うん」


「本当に」


「うん」


「俺も」


「……」


「そっちに」


顔。


覆う。


「行きたかった」


今のセシリア。


耐えられず。


近づく。


「レオン」


七回目。


「来るな」


「嫌」


「俺の」


「……」


「セシリアじゃない」


「それでも」


しゃがむ。


「あなたが」


「……」


「私のレオンじゃなくても」


手。


伸ばす。


「ありがとう」


七回目。


顔。


上げる。


今のセシリア。


泣きながら。


笑う。


「最後まで」


「……」


「私を信じてくれて」


七回目。


唇。


震える。


そして。


長い。


長い。


沈黙。


最後。


少し。


笑った。


「……幸せになれ」


今のセシリア。


涙。


止まらない。


「うん」


「絶対」


「うん」


「俺たちの分まで」


今のレオン。


「一緒に」


二人。


答える。


「幸せになる」


七回目。


目。


閉じる。


身体。


光。


ほどけ始める。


「セシリア」


「何?」


「最後に」


「うん」


「一回だけ」


声。


優しい。


「愛してる」


今のセシリア。


泣きながら。


「ありがとう」


七回目のレオン。


笑う。


そして。


消える。


◇


ノア。


光。


強くなる。


《第七世界》


《消去同意――成立》


《保存対象》


《記憶》


《感情》


《選択》


セシリア。


「消去」


胸。


痛い。


でも。


分かる。


これは。


無かったことにする。


のではない。


終わらせる。


こと。


七回目のセシリア。


まだ。


いる。


今のセシリア。


見る。


「私も」


「……」


「行くね」


「待って」


「何?」


今のセシリア。


近づく。


「抱きしめてもいい?」


七回目。


少し。


驚く。


そして。


笑う。


「もちろん」


二人。


抱きしめる。


自分。


自分じゃない。


でも。


同じ。


七回目。


耳元。


「八回目」


「うん」


「生きて」


「うん」


「誰かのためじゃなく」


「……」


「自分のためにも」


今のセシリア。


涙。


「約束する」


七回目。


離れる。


「じゃあ」


「……」


「さようなら」


今のセシリア。


首。


振る。


「またね」


七回目。


目。


丸くなる。


エリア。


同じ。


言葉。


そして。


優しく。


笑う。


「……またね」


光。


消える。


◇


世界。


白く。


変わる。


《第七世界》


《解放完了》


七つ。


光。


一つ。


消える。


残り。


六つ。


ノア。


《次》


セシリア。


涙。


拭う。


「うん」


レオン。


手。


握る。


ルーク。


反対。


歩く。


でも。


その瞬間。


残り六つの光。


一つ。


突然。


赤く。


変わる。


《警告》


ノア。


震える。


《拒絶》


「どの世界?」


赤い光。


強く。


《第四世界》


ルーク。


「四回目」


セシリア。


思い出す。


初めて。


自分の手で。


レオンを殺した世界。


赤い光。


中。


人影。


現れる。


でも。


セシリアではない。


レオンでもない。


黒髪。


男。


剣。


持つ。


ルーク。


息。


止まる。


「……僕?」


第四世界のルーク。


顔。


上げる。


今のルーク。


見る。


そして。


冷たく。


笑う。


「やっと来たか」


剣。


向ける。


「八回目の俺」


今のルーク。


「……」


第四世界のルーク。


一歩。


「悪いけど」


「何?」


「俺は」


目。


赤い。


「消えるつもりはない」


――第14話・完――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。