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ほとんど眠れないうちに夜はあっさりと明け、ふたりの試合当日。
泣いても笑っても、これで決着がつく。
ミツオとヒトシの試合は圧倒的なもりあがりのなか開始され、まばたきするまに第一ラウンドが終了した。
一分間のインターバル。
セコンド代わりの顧問がそれぞれの選手に声をかけ、マネージャーやほかの部員はリングのまわりをこぜわしく動き雑務をこなしていた。
それぞれのコーナーにはミツオとヒトシ。
二分間を全力で動いたミツオは全身から激しく汗を流し、肩で息をしている。
対してヒトシは第一ラウンドをようす見ですごした。キャリアの差もあるのだろうが、まだまだすずしい表情だ。
体育館に集まったうちの学校の生徒たちは「殺せ」だ「かっこいい」だと、両選手に好き勝手な野次を飛ばしている。
あたしはそんな観客たちの一番うしろでスマートフォンのディスプレイを見つめながら、心のなかで数をかぞえていた。
五十秒……五十五秒……もうすぐ一分。
レフェリーの合図で両者が各コーナーから立ちあがる。
リング中央に向かいながらマウスピースを口に押しこむミツオ。
深呼吸と肩のストレッチをしながら、ゆっくりと中央に向かっていくヒトシ。
ふたたび中央でふたりが向かいあいファイティングポーズをとる。
第二ラウンドのゴングが鳴った。




