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マックでのいい争いからの日々は、あきれるほどに早かった。
とんとん拍子に試合の日どりが決まったのだ。
どうやらミツオとヒトシの両者が、それぞれの学校にかけあったらしい。
どちらの学校でも近々大きな試合がないということで、各学校のボクシング部顧問はふたつ返事で生徒発の練習試合にオーケーを出した。そのうえミツオなんて「まじめに部のことを考えてる」なんていわれて、先生がたからべたべたにほめられたらしい。
高校の部活はいいかげんなもので、生徒側のやる気にすべてをまかせてくれているようだ(たとえそれがどんな方向のものだとしても)。
ふたりの試合は二週間後の土曜日。夏休みにはいる直前の日どりに決まった。
ちなみに会場は前回の練習試合と同じ。あたしたちの通う学校の体育館である。
「しゃあああっ」
ヒトシとの試合が決まって、ミツオは気合いじゅうぶんだ。日に何度も、わけもなく吠えている。たまに授業中も寝ぼけて吠えるもんだから、あぶなっかしくてしょうがない。そのうち暑さでとうとう頭がいかれちゃったんじゃないかなんてうわさが、学校中で流れ出すしまつ。
七月も第一週をすぎて、日に日に暑くなってくる。
天気予報ではいつのまにか梅雨明けが宣言され、季節はすっかりもう夏だ。
あれほど長くしつこかった雨が一転して、連日ピーカン。今度は政府が本気で水不足を心配しだしてる。
ミツオは連日三十度ごえの真夏日のなか、ジャージのうえにサウナスーツを着こんで練習にはげんでいる。
ヒトシもきっと同じような練習を自分の学校でしているんだろう。
「ヒトシと戦えるっていうだけあって、さすがにすごいね。あいつの念願だったからね。めちゃ気合い入ってる」
帰り道の体育館をのぞきながらシホがいう。
「ほんとだね。今までもかなり本気でトレーニングしてたけど、試合が決まってからはさらに数段まじめになった」
「へえ……」
なにげないあたしの台詞に、シホはひどく感心している。熱心に練習をする体育館のミツオと、横に立ってそんな風景を眺めているあたしを交互に見ては、まじめにいう。




