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 ミツオと駅まえのマクドナルドに入った。いつかのゲームセンターのすぐそばである。いくらズルに近いといっても、いちおうミツオは宣言どおり試合に勝ったのだ。なんとなくあたしがおごったほうがいいのかと思い、そのむねをミツオにつげた。

「それなら……」

 そういって、ミツオはうれしそうにコーヒーだけを注文した。あたしはなかばやけっぱちになっていった。

「べつに遠慮しなくていいんだよ。っていうか、ずうずうしいあんたにしてはめずらしい」

 あたしも自分のアイスティーの注文を電子パネルのレジにとおす。

「ハッピーセットでも、ハンバーガーとポテトとドリンクとおもちゃのセットでも、なんでも好きなものたのみなよ」

「それ同じ」

 ミツオがつっこむ。

 注文の品がトレイに乗ってレジカウンターからさし出される。ミツオはそれを店員さんからうけとると、さっさと席に運んでいく。

 学生たちでごった返す店内を歩きながらミツオがいう。

「よけいなカロリーはとりたくないんだ。体重が変わって、階級が変わるのもいやだしね」

 あたしたちは向かいあって席につく。

「なに、あんた。いっぱしのボクサーみたいな口きいちゃって」

 あたしがいうと、ミツオが答える。

「だっておれボクサーだもん。アマチュアボクシングのフェザー級のボクサー」

 ぼく、ボクサー?

 そんなつまらんだじゃれをいうな。

「いや。いってない」

 心を読むなっ。

 あたしはいった。

「あんたはヤンキーでしょ。もっとヤンキーに誇りを持ちなさい」

 いっていて、自分でもわけがわからなくなってきた。

「じゃあ、おれヤンキーボクサー。ヤンキーなのにボクサーなの」

 こいつはさらにわけがわからない。

「っていうか、なんであんたは、へんなとこだけそんなに意識が高いの? もっとだらだらしなさいよ。練習なんてまじめにしないで、さぼりなさい。あんたは、早起きしたなんていって、三時間目に平気で登校してくる男でしょ」

「うん。そう」

 ミツオはなんともあっさり肯定する。

「けど、ふたばは一生懸命なにかに打ちこんでるやつが好きなんだろ。おれはふたばが好きだから、ふたばが好きなボクシングに一生懸命になるの。それに階級を変えたくないのにだって、ちゃんとした理由がある。どこもおかしいところはないだろ、べつに」

 こいつはなんともストレートなものいいをする。前日の試合での大振りの右といい、それ以外にはできないのか。つっこみどころが満載すぎて、あたしはもうつっこむことを放棄した。こいつの行動は、ここまでくるとまっすぐすぎて、逆にまぶしいとすら感じてしまう。

「それで、おれ、ふたばにちゃんと認めてもらうために……」

 ミツオがさらにまじめなようすで言葉を続ける。

 そのとき。

「ふたばー」

 ミツオのうしろから女の声が聞こえた。

 あたしが顔をあげると、シホがトレーを持って立っている。

 しかもシホの横には男がいる。

 その男は。

「ヒトシ」

 あたしは思わず大声で名前を呼んでしまった。

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