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試合はその週の日曜日だった。
会場はあたしたちの学校の体育館。
半強制的にシホにつれられ、あたしはミツオの初試合を見にいった。
ミツオは体重が五十六キロ。階級はフェザー級である。
そういえばヒトシもおなじ階級なんだとふっと思う。
過密スケジュールの高校ボクシングの練習試合。ミツオの試合は二戦目だった。相手は違う高校の一年生。明らかに初心者といったようすの男の子。まだ中学生くささが残るちょっと天パの、おとなしそうな黒髪の子だった。
開始時刻ぎりぎりに到着したあたしとシホは、学校につくとまっすぐ体育館に向かう。十時からの試合に対し、スマートフォンのディスプレイは九時五十八分を表示している。
「けっこう人が集まってるね。みんなヤンキーの初試合を見にきたのかな」
シホがいうように体育館には部活関係者以外の見物客が、すでに三十人くらい集まっていた。
アマチュアボクシングはプロとは違いショー的なニュアンスはほとんどない。オリンピック競技のオカタイ雰囲気といえばわかりやすいだろうか。見ていて興奮するといったたぐいのものではないので、こんなふうに人が集まることじたいがめずらしい。
試合は二分間三ラウンド制をとっていて、観客側からは時間だってひじょうに短く感じられる。
ダウンよりもオープンスコアによるジャッジペーパーのポイントで勝敗がわかれる完全なるスポーツなので、派手さだってほとんどない。かえるとびアッパーやデンプシーロールを期待していたら、がっかりすることうけあいである。
午前十時きっかり。開始時刻になり両者がリングのうえにあがる。
十オンスのグローブと黒いヘッドギアを着用したミツオと、おなじ装備の対戦相手。
リング中央には黒いポロシャツ姿のレフェリー役の大人。
ボクシングを始める以前からケンカで鍛えていたからだろうか。ミツオの身体はすでにできあがっていた。ヒトシに負けずおとらず、身体中がばきばきに割れている。
対して相手の一年生は、まだ発展途上といった感じ。腹筋こそむっつに割れているが、腕や胸にはまだまだよけいな肉が残っているって感じ。
ヘッドギアをした金髪ヤンキーとあどけない黒髪少年。中央で礼をして、両者が各コーナーにさがる。
ゴングが鳴った。
試合が始まる。




