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 目的地の児童公園は、その場所から五百メートルくらい離れた場所にあった。

 公園につくとあたしは入口近くのベンチに腰をおろした。子ども用の三人がけのベンチはとても短く、高校生の女ふたりが座ると窮屈だった。

 児童公園は、まわりが背の低い常緑樹でおおわれている、狭苦しい公園だ。遊具といえば、したがコイルになった動物型の乗りものと、さびたすべり台、それにわずかばかりの砂場があるくらい。頭のうえの緑の葉っぱが、梅雨入りまえのぬるい日ざしを、みごとに遮断してくれていた。紫外線から肌を守ってくれてはいるが、それがよけいにこの公園を狭苦しく感じさせる理由のひとつかもしれない。

 ベンチに腰かけるなり、あたしはシホにことの詳細を伝えた。

 ヒトシとは、前日すでに別れ話をすませてきたこと。

 もうあたしとヒトシは彼氏彼女の関係ではないこと。

 もっとも、あたしたちはこじれて別れたわけではない。

 詳細といっても、話すことなどこの公園の癒し効果と同じくらいにわずかばかりだ。

「それであんたたち、気まずそうにしてたわけだ」

 話をきき終えるとシホがいう。

 あたしはうなずく。

「理由もなく振ったわけか。あんたはそれでいいかもしれないけど、ヒトシの方はまだなにか話したそうだったよ」

 まあ、ヒトシはヒトシなりにいいたいことがあるのだろうということくらい、あたしにだってわかる。

「けど、あたしにはもう話すことはないよ」

「ふう」

 あきれたみたいにシホはため息をつく。

「そんなんでちゃんと別れたっていえるのかね。せっかく中学からずっと一緒にいたんだから、彼氏彼女はべつにしても、気まずくならない方法なんていくらでもあったでしょう」

 シホはいうが、そんなもの、あたしの発想にはいっこもなかった。あいまいにしているとシホが続ける。

「このまま放っておくのは、いくらなんでもヒトシがかわいそうだよ。そんな一方的な振られ方じゃ納得だってできないだろうし、あんたへの未練だっていつまでも残っちゃうよ」

 こう正論ばかりずばずば吐かれると、ぐうの音だって出ない。こんなときこそ、お得意の毒を吐いてののしってくれれば、あたしにしたっていくらかでも気持ちの持っていきようがあるのに。

「ともかく……」

 シホが説得の(げん)をのべようとしたときだ。かぶせるように声が聞こえる。

「それなら……」

 その声はあたしたちのすぐうしろから聞こえてきた。ひどくまじめな男の声だ。

「そんなしつこい男、おれが退治してやるよ」

「はい?」

 あたしはびっくりしてうしろを振り向いた。シホも同じようにうしろを向く。

 あたしたちの目に飛びこんできたのは、先ほど帰らせたはずのヤンキーモンキー。

「ミツオ」

 あたしとシホの声が、はずかしいほどハモってしまう。

 あたしが見つめたままフリーズしちゃったもんだから、ミツオは急にだらしのない顔に変わった。

「ふたばあ」

 かっこつけた台詞と、ふつりあいなまぬけづら。っていうか、そもそもなんで、あんたがここにいる?

 いや。っていうか、いつのまにきた?

 ……じゃなくて、話を全部聞いていたのか、こいつ。

 なにも悪くないヒトシを退治する?

 こいつのことは一から十まで意味がわからない。

 とりあえず、精神衛生上よくないので、心のなかでいっさいがっさいをつっこんだ。

 ナンデソウナルノ?

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