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亀の瀬異聞録  作者: こうた
第八章「呪われた記録」

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第四話「黒帳事件」

『次はお前を書く』



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窓ガラスに浮かぶ黒い文字。



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桐生真琴は息を呑んだ。



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研究室の出口まで後退する。



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しかし。



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黒帳の使者は動かない。



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ただ立っている。



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人間のようで。



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人間ではない。



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顔には目も鼻も口もある。



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しかし。



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全て墨で描いたように歪んでいる。



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『なぜ逃げる』



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「近付かないで」



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『お前は知ろうとした』



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『だから記録される』



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その瞬間。



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研究室の扉が開いた。



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神谷蓮だった。



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「大丈夫ですか!」



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真琴は叫ぶ。



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「あれ!」



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「あれがいる!」



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神谷は室内を見る。



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誰もいない。



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使者が見えていない。



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だが。



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神谷は気付いた。



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床に広がる黒い文字。



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昨日まで無かった。



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確かに存在している。



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「これは……」



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その一瞬。



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使者は消えた。



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まるで。



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最初から存在しなかったように。



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翌朝。



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帝都。



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異変が広がっていた。



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失踪者。



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七名。



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原因不明。



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共通点。



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全員。



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何かを書いていた。



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日記。



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手紙。



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記録簿。



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原稿。



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そして。



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全員が消えた。



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死体もない。



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記録もない。



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存在そのものが曖昧になっている。



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藤富家の調査班。



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真之介。



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綾乃。



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咲。



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三人は帝都警察へ向かった。



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そこで。



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神谷と初めて正式に顔を合わせる。



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「警察の神谷です」



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「藤富真之介だ」



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神谷は疲れた顔をしていた。



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「正直に言います」



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「怪異なんて信じていませんでした」



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「でも」



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机の上へ資料を置く。



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失踪者一覧。



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全員。



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名前が途中から消えている。



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写真も消えている。



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「説明できない」



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綾乃が資料を見る。



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その中の一枚。



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古い帳簿の写真。



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そこに。



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黒い印。



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見覚えがあった。



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「これ」



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「黒帳の印です」



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神谷の顔色が変わる。



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「知っているんですか」



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「少しだけ」



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その時。



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部屋の扉が開いた。



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女性が入ってくる。



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桐生真琴。



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昨夜の件で警察に呼ばれていた。



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真之介は彼女を見る。



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そして。



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真琴も気付く。



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この人は見えている。



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自分と同じ。



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「あなたも見えるんですね」



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真之介は頷く。



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「黒い文字が」



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真琴の表情が少しだけ和らいだ。



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初めて。



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理解者を見つけた。



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その日の午後。



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帝都南部。



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失踪者の家。



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相馬誠二が最後に取材していた場所。



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古い印刷工場。



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既に廃業している。



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中へ入る。



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暗い。



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静かだ。



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しかし。



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何かいる。



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咲が足を止めた。



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「いる」



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「何が」



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「たくさん」



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真之介も感じる。



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人の気配。



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しかし人はいない。



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工場の奥。



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大量の紙。



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積み上がっている。



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古新聞。



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日記。



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名簿。



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手紙。



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そして。



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全てに黒い文字。



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『記録済』



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『記録済』



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『記録済』



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真琴が震える。



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「ここ……」



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「記録庫だ」



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その瞬間。



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工場全体が揺れた。



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ゴゴゴ……



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大量の紙が崩れる。



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そして。



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紙の山の奥から。



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ゆっくり現れる。



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黒い人影。



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一人。



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二人。



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三人。



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いや。



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十人以上。



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全員。



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黒帳の使者。



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そして。



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中央に立つ一体だけが違った。



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背が高い。



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全身が墨のような黒。



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顔も見えない。



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しかし。



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確かに笑っている。



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『見つけた』



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低い声。



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『新しい記録者を』



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真之介は前へ出る。



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「お前は誰だ」



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影は答える。



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『名前はない』



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『だが人はこう呼ぶ』



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少しの沈黙。



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そして。



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影は名乗った。



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『墨塗りの男』



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第八章 第四話


「黒帳事件」




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次の第五話 **「名前を書く本」**では、


墨塗りの男との初対峙


相馬誠二の痕跡発見


黒帳の恐ろしい能力


「名前を書かれた者はどうなるのか」



が明らかになります。

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