表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亀の瀬異聞録  作者: こうた
第七章「失われた三つの石」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
65/174

第三話「石が見た未来」

「未来……?」



---


咲の言葉が地下室に落ちた。



---


真之介はすぐには理解できなかった。



---


今まで見てきたもの。



---


怪異。


呪い。


記録。



---


それらはすべて、


過去に残されたものだった。



---


人間の感情。


後悔。


悲しみ。



---


過ぎ去った時間の残骸。



---


しかし。



---


咲が見たものは。



---


まだ起きていないもの。



---



---


「本当に未来なのか?」



---


真之介が聞く。



---


咲は震えながら頷いた。



---


「分からない……」



---


「でも」



---


「私が見た村には……」



---


咲は目を閉じる。



---


思い出すだけで苦しそうだった。



---


「誰もいなかった」



---


「建物も壊れていて」



---


「でも」



---


「石だけが残っていた」



---



---


真之介は壁を見る。



---


そこには、


三つの名前。



---


しかし。



---


その名前だけは読めない。



---


削られている。



---



---


「未来に起きることを記録する石」



---


真之介は呟く。



---


「そんなものが存在するなら……」



---


「なぜ隠した」



---



---


答えは。



---


すぐには出なかった。



---



---


翌日。



---


藤富家の会議室。



---


一族の者たちが集められていた。



---


榊原清十郎。


藤富宗一郎。


綾乃。


そして真之介。



---



---


「三つの石について」



---


綾乃が資料を広げる。



---


「過去の記録を調べました」



---


「しかし」



---


「不自然なほど情報がありません」



---



---


「消されている?」



---


真之介。



---


綾乃は頷く。



---


「はい」



---


「まるで」



---


「最初から存在しなかったことにされている」



---



---


宗一郎が口を開いた。



---


「藤富家には昔から禁則があります」



---



---


「何だ」



---



---


「三つの石を探すな」



---



---


部屋が静まる。



---



---


「理由は?」



---


真之介が聞く。



---



---


宗一郎は答えた。



---


「見つけた者は」



---


「必ず石を求めるからです」



---



---


「力を?」



---



---


「違う」



---



---


宗一郎は苦い顔をした。



---



---


「答えを求める」



---



---



---


その言葉。



---


真之介は理解した。



---


人間は力だけを欲しがるわけではない。



---


なぜ苦しんだのか。



---


なぜ失ったのか。



---


なぜ自分なのか。



---



---


答えを知りたい。



---


その欲望もまた。



---


呪いになる。



---



---


その夜。



---


屋敷の外。



---


一人の男が立っていた。



---


黒い外套。



---


古い杖。



---



---


「やはり動いたか」



---


男は屋敷を見る。



---



---


その名は。



---


御影蓮司。



---


まだ若い。



---


しかし。



---


目には長い年月を生きたような冷たさがあった。



---



---


「藤富はいつも同じだ」



---


「恐れるだけで」



---


「理解しようとしない」



---



---


手には。



---


黒い石。



---


守り石ではない。



---



---


呪いを集めるための石。



---



---


「三つの石」



---


蓮司は笑う。



---


「それがあれば」



---


「人間は変われる」



---



---



---


同じ頃。



---


真之介は地下室へ向かっていた。



---


理由はない。



---


ただ。



---


呼ばれている気がした。



---



---


扉の前。



---


昨日と違う。



---


扉には文字が浮かんでいる。



---



---


『選ぶ者へ』



---



---


真之介は触れる。



---



---


瞬間。



---


地下全体が揺れた。



---



---


そして。



---


壁の奥から。



---


小さな音。



---



---


カチッ。



---



---


何かの鍵が外れる音。



---



---


その先に。



---


暗い空間。



---



---


しかし。



---


まだトンネルではない。



---


ただの空洞。



---



---


真之介は灯りを向ける。



---


そこには。



---


三つの石を置く台座。



---



---


しかし。



---


台座は空だった。



---



---


そして。



---


最後に残された文字。



---



---


『石は失われたのではない』



---



---


『誰かが持ち去った』



---



---


真之介は息を止める。



---



---


つまり。



---


三つの石は今も。



---


どこかに存在する。



---



---


第七章 第三話

「石が見た未来」

終。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ