第九話「零の意志」
白い世界に。
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ひびが広がっていく。
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止まっていた時間。
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固定されようとしていた記憶。
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その全てに。
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小さな変化が生まれていた。
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真之介は少女を見る。
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彼女は震えていた。
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「怖い」
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そう言った。
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それは。
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記録された存在には。
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本来必要ない感情だった。
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恐怖。
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迷い。
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不安。
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しかし。
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それこそが。
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生きている証だった。
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「大丈夫だ」
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真之介は言う。
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「怖いと思えるなら」
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「まだ変われる」
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少女は小さく頷く。
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その時。
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白い空間に。
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別の声が響いた。
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『理解できない』
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『なぜ』
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『不完全なものを守る』
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第九。
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その問い。
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真之介は答える。
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「完全なものは」
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「変わらない」
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「変わらないものは」
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「生きていない」
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沈黙。
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そして。
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初めて。
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第九の声に。
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揺らぎが出た。
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『……生きる』
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『定義』
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『不明』
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その瞬間。
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世界が大きく揺れた。
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第九が迷っている。
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今まで。
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全てを保存するだけだった存在が。
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初めて。
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選択しようとしている。
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しかし。
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その時。
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別の声が割り込んだ。
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「迷う必要はない」
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空間の奥。
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黒い扉が現れる。
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そこから。
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一人の男が歩いてくる。
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藤富零。
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真之介は息を止める。
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「藤富……」
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黒い武者が低く呟く。
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「初代より前の者」
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「存在するはずがない」
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零は笑う。
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「存在しない?」
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「人間は簡単にそう決める」
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「記録されていないものは」
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「存在しないのか?」
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その言葉。
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真之介は嫌な予感がした。
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零は第九を見る。
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「お前は間違えている」
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『……』
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「人間は」
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「保存するだけでは満足しない」
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「失うことも」
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「苦しむことも」
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「全部乗り越えて進む」
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一瞬。
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零は景継と同じことを言った。
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しかし。
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続きが違った。
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「だから」
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「人間を管理する必要がある」
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真之介の顔が変わる。
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「管理?」
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零は頷く。
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「自由な人間は」
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「必ず間違える」
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「争う」
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「失う」
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「傷付く」
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「なら」
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「選択肢をなくせばいい」
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真之介は理解した。
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景継は。
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失った悲しみから。
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永遠を求めた。
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零は。
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人間そのものへの不信から。
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支配を求めている。
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同じ藤富家。
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しかし。
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全く違う思想。
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「お前が」
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真之介は言う。
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「本当の黒幕か」
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零は微笑む。
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「黒幕?」
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「違う」
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「私は」
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「正しい未来を作る者だ」
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その瞬間。
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白い世界の中。
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動けなかった村人たちが。
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一斉にこちらを見る。
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しかし。
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表情がない。
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零が手を上げる。
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「第九」
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「命令する」
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『……』
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第九が反応する。
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今まで聞かなかった。
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命令という言葉に。
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「全ての記録を固定しろ」
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「人間の未来を止めろ」
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真之介は叫ぶ。
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「やめろ!」
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零を見る。
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「お前は人間を守っているつもりで」
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「人間を殺している」
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零は静かに答えた。
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「違う」
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「死なない」
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「失わない」
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「変わらない」
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「それが幸福だ」
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その言葉。
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第九が揺れた。
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景継の願い。
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零の思想。
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真之介の答え。
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三つがぶつかる。
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その時。
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少女が叫んだ。
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「違う!」
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全員が見る。
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記録の少女。
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名前すらなかった存在。
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「私は」
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「怖い」
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「消えたくない」
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「でも」
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「明日が来てほしい」
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零が見る。
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「なぜ」
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少女は答える。
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「分からない」
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「でも」
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「それが生きるってことだと思う」
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その瞬間。
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第九の中心で。
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大きな変化が起きた。
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『……理解』
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『開始』
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しかし。
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零は笑った。
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「遅い」
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「なら」
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「別の方法を使う」
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零の手に。
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黒い石。
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八つの守り石とは違う。
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九つ目の外側。
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隠されていた石。
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「第十の石」
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真之介が呟く。
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零は答えた。
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「そう」
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「本当の完成品だ」
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(第九話・続く)




