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亀の瀬異聞録  作者: こうた
第六章 九番目の神

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第九話「零の意志」

白い世界に。



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ひびが広がっていく。



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止まっていた時間。



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固定されようとしていた記憶。



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その全てに。



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小さな変化が生まれていた。



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真之介は少女を見る。



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彼女は震えていた。



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「怖い」



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そう言った。



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それは。



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記録された存在には。



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本来必要ない感情だった。



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恐怖。



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迷い。



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不安。



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しかし。



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それこそが。



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生きている証だった。



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「大丈夫だ」



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真之介は言う。



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「怖いと思えるなら」



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「まだ変われる」



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少女は小さく頷く。



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その時。



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白い空間に。



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別の声が響いた。



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『理解できない』



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『なぜ』



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『不完全なものを守る』



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第九。



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その問い。



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真之介は答える。



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「完全なものは」



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「変わらない」



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「変わらないものは」



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「生きていない」



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沈黙。



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そして。



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初めて。



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第九の声に。



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揺らぎが出た。



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『……生きる』



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『定義』



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『不明』



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その瞬間。



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世界が大きく揺れた。



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第九が迷っている。



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今まで。



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全てを保存するだけだった存在が。



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初めて。



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選択しようとしている。



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しかし。



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その時。



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別の声が割り込んだ。



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「迷う必要はない」



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空間の奥。



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黒い扉が現れる。



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そこから。



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一人の男が歩いてくる。



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藤富零。



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真之介は息を止める。



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「藤富……」



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黒い武者が低く呟く。



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「初代より前の者」



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「存在するはずがない」



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零は笑う。



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「存在しない?」



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「人間は簡単にそう決める」



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「記録されていないものは」



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「存在しないのか?」



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その言葉。



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真之介は嫌な予感がした。



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零は第九を見る。



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「お前は間違えている」



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『……』



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「人間は」



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「保存するだけでは満足しない」



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「失うことも」



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「苦しむことも」



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「全部乗り越えて進む」



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一瞬。



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零は景継と同じことを言った。



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しかし。



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続きが違った。



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「だから」



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「人間を管理する必要がある」



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真之介の顔が変わる。



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「管理?」



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零は頷く。



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「自由な人間は」



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「必ず間違える」



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「争う」



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「失う」



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「傷付く」



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「なら」



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「選択肢をなくせばいい」



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真之介は理解した。



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景継は。



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失った悲しみから。



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永遠を求めた。



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零は。



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人間そのものへの不信から。



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支配を求めている。



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同じ藤富家。



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しかし。



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全く違う思想。



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「お前が」



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真之介は言う。



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「本当の黒幕か」



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零は微笑む。



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「黒幕?」



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「違う」



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「私は」



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「正しい未来を作る者だ」



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その瞬間。



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白い世界の中。



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動けなかった村人たちが。



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一斉にこちらを見る。



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しかし。



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表情がない。



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零が手を上げる。



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「第九」



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「命令する」



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『……』



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第九が反応する。



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今まで聞かなかった。



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命令という言葉に。



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「全ての記録を固定しろ」



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「人間の未来を止めろ」



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真之介は叫ぶ。



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「やめろ!」



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零を見る。



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「お前は人間を守っているつもりで」



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「人間を殺している」



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零は静かに答えた。



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「違う」



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「死なない」



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「失わない」



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「変わらない」



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「それが幸福だ」



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その言葉。



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第九が揺れた。



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景継の願い。



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零の思想。



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真之介の答え。



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三つがぶつかる。



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その時。



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少女が叫んだ。



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「違う!」



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全員が見る。



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記録の少女。



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名前すらなかった存在。



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「私は」



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「怖い」



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「消えたくない」



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「でも」



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「明日が来てほしい」



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零が見る。



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「なぜ」



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少女は答える。



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「分からない」



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「でも」



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「それが生きるってことだと思う」



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その瞬間。



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第九の中心で。



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大きな変化が起きた。



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『……理解』



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『開始』



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しかし。



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零は笑った。



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「遅い」



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「なら」



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「別の方法を使う」



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零の手に。



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黒い石。



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八つの守り石とは違う。



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九つ目の外側。



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隠されていた石。



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「第十の石」



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真之介が呟く。



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零は答えた。



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「そう」



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「本当の完成品だ」



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(第九話・続く)

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