最終話「見える者」
ゴーン……
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誰も触れていない鐘の音が。
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夜明け前の村に響いた。
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真之介は蔵の窓から山を見る。
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そこに。
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今まで存在しなかった光があった。
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八つの守り石。
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その配置は源次の記録にも。
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咲の帳面にも書かれていた。
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しかし。
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その中心でも。
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外側でもない場所。
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九つ目。
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未知の印。
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「第九……」
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真之介は呟いた。
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その瞬間。
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背後から声。
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「見つけたか」
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振り返る。
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黒い武者。
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いつからそこにいたのか。
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分からない。
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だが。
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今の真之介には。
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もう驚きはなかった。
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「知っていたのか」
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武者は黙る。
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それが答えだった。
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「なぜ言わなかった」
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真之介の声が強くなる。
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「第九の存在を知っていたなら」
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「なぜ」
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武者は静かに答えた。
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「知れば探す」
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「探せば近づく」
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「近づけば呼ばれる」
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真之介は言葉を失う。
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つまり。
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知らないこと自体が封印だった。
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人間は。
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知りたいと思う。
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理解したいと思う。
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そして。
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触れてはいけないものへ手を伸ばす。
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それが。
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藤富家が過去に犯した過ち。
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「第九は何だ」
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武者はしばらく沈黙した。
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そして。
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初めて。
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恐怖の色を見せた。
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「名前を持たないもの」
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「八つの石が守るもの」
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「記憶の始まり」
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真之介は考える。
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死者。
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記憶。
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魂。
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それらの根源。
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「人間の記憶を作ったものか」
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武者は答えない。
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しかし。
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否定もしない。
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その時。
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村から叫び声が聞こえた。
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「先生!」
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学校の方向。
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真之介と武者は走る。
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校庭。
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子供たちが集まっている。
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その中心。
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一人の少女が立っていた。
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昨日の白い着物の少女。
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しかし。
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今は違う。
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はっきりとした顔。
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そして。
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名前が分かった。
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「……咲」
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真之介は呟く。
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高橋咲。
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かつて守り石を調べ。
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記録を残した女性。
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少女の姿をした記憶。
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咲は真之介を見る。
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「あなたなら見えると思った」
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「なぜここに」
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咲は学校を見る。
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「記憶は集まる場所に来る」
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「ここは子供たちが学ぶ場所」
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「未来の記憶を作る場所」
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真之介は気付いた。
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学校。
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知識。
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記録。
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全て。
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守り石と似ている。
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人間もまた。
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記憶を保存する存在なのだ。
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咲は続ける。
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「真之介さん」
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「第五の石は止まっていません」
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「え?」
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真之介の顔が変わる。
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確かに暴走は収まった。
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しかし。
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咲は首を振る。
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「眠っただけ」
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「なぜ」
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「第九が目覚め始めたから」
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空気が変わる。
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山を見る。
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九つ目の光。
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少しずつ大きくなる。
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「どうすればいい」
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真之介が問う。
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咲は悲しそうに笑った。
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「昔の人たちも」
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「同じ質問をしました」
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「答えは?」
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沈黙。
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そして。
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咲は言った。
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「守ること」
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「ではなく」
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「向き合うこと」
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その言葉。
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真之介の心に残った。
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怪異を消す。
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封じる。
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倒す。
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今までそう考えていた。
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しかし。
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守り石は。
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敵ではない。
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人間の弱さも。
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死者の想いも。
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全部を抱えていた。
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その夜。
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村は少しずつ日常へ戻った。
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記憶を失った人々も。
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完全ではないが。
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生活を取り戻していく。
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そして。
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真之介は変わった。
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以前なら。
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怪異を否定した。
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しかし今。
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見える。
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感じる。
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理解しようとしている。
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学校の帰り道。
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真之介は一人歩く。
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夕暮れ。
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村の外れ。
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そこに。
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子供が立っていた。
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「先生」
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振り返る。
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生徒ではない。
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顔のない子供。
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真之介は驚かない。
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「どうした」
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子供は指を山へ向ける。
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「九番目が」
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「呼んでる」
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真之介は山を見る。
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闇の中。
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無数の目。
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ゆっくり開く。
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しかし。
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今度は逃げなかった。
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「行く」
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真之介は歩き出す。
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教師として。
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藤富家の人間として。
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そして。
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見える者として。
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その先にある真実を知るために。
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第五章 完
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第五章で変化したこと
真之介
→怪異否定者から「理解する者」へ変化
忘却石
→破壊対象ではなく、必要な機構と判明
守り石
→封印装置でもあると判明
藤富家
→守護者ではなく、過去に利用しようとした可能性が浮上
第九の存在
→第六章への最大の謎として登場




