第八話「忘却の海」
地下の闇。
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その奥に見えたもの。
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真之介は目を疑った。
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巨大。
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あまりにも巨大だった。
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山の地下に存在するはずのないもの。
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岩でもない。
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生物でもない。
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ただ。
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「存在している」
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それだけだった。
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「何だ……あれは」
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真之介の声が震える。
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黒い武者は答えない。
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ただ刀を握り直した。
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その姿を見て。
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真之介は初めて理解した。
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この武者は。
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恐れている。
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何百年。
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何も恐れなかった存在が。
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初めて。
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あれを恐れている。
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「知っているのか」
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真之介が聞く。
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長い沈黙。
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やがて武者は言った。
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「知っている」
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「だが」
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「理解してはいない」
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その言葉の重さ。
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真之介は感じた。
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守り石を作った者たちですら。
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完全には理解できなかった存在。
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そのために。
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八つの石が必要だった。
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「なら」
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真之介は白い石を見る。
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「なぜ忘却石が必要なんだ」
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武者は答える。
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「人間は忘れられないからだ」
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真之介は黙る。
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「過去」
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「死」
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「後悔」
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「失ったもの」
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武者の声は静かだった。
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「人間は全て抱える」
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「だから記憶は溜まる」
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「溜まりすぎれば」
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「形を持つ」
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真之介は理解した。
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怪異とは。
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外から来たものだけではない。
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人間自身が作り出すものもある。
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その時。
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白い石が小さく震えた。
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表面に文字が浮かぶ。
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一つ。
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また一つ。
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消えた名前が戻る。
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しかし。
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その中に。
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見覚えのある名前があった。
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「藤富宗景」
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真之介は息を止めた。
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つい数日前。
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葬儀をした人物。
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祖父。
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いや。
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宗景だけではない。
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さらに。
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「木村源次」
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「高橋咲」
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過去の人間たち。
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この石は。
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死者を呼び戻しているわけではない。
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記録している。
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存在した証を。
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真之介は気付く。
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だからこそ。
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源次の帳面が残った。
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だからこそ。
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咲の記録も消えなかった。
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記憶は消える。
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しかし。
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残す場所が必要だった。
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「記録」
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真之介は呟く。
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そして。
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ある違和感に気付いた。
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「待て」
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石の表面を見る。
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宗景。
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源次。
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咲。
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その下。
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まだ新しい文字。
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今まさに刻まれている。
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『藤富真之介』
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「……」
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背筋が冷える。
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これは予言ではない。
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記録。
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今の自分が。
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書き込まれている。
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つまり。
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この石は。
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未来まで記録している。
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「俺が死ぬのか」
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武者は否定しない。
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「記録は死を意味しない」
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「だが」
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そこで止まる。
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「何だ」
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武者は暗闇を見る。
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「記録されたものは」
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「見られる」
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その瞬間。
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真之介の頭に声が響いた。
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――見つけた。
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一瞬。
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地下全体が暗くなる。
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白い石の光が消える。
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忘れられた記憶たちがざわめく。
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「来る」
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武者が刀を抜く。
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真之介は構える。
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しかし。
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現れたものは。
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敵ではなかった。
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一人の女性。
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古い着物。
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顔はぼやけている。
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「……あなたは」
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真之介は呟く。
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なぜか。
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知っている気がする。
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女性は悲しそうに笑った。
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「やっと見えるのね」
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声。
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どこか懐かしい。
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「誰だ」
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女性は答える。
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「あなたのお母さんよ」
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時間が止まった。
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真之介の母。
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死んだ母。
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しかし。
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第四章で理解した。
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これは本人ではない可能性。
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記録。
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残滓。
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真之介は警戒する。
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「違う」
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女性は悲しそうに目を伏せた。
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「そうね」
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「私は本物じゃない」
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その答えに。
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逆に驚いた。
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怪異は嘘をつくと思っていた。
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しかし。
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彼女は自分を偽らない。
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「あなたに伝えるために残った」
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「何を」
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女性は暗闇を見る。
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「藤富家が隠したこと」
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真之介の表情が変わる。
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「隠した?」
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女性は頷く。
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「守り石は」
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「守るためだけに作られたんじゃない」
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沈黙。
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そして。
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最後の言葉。
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「封じるためでもある」
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地下深く。
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巨大な存在が。
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ゆっくり動いた。
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(第八話・続く)




