第三話「消える記憶」
女の影は笑っていた。
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だが。
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その表情は人間のものではなかった。
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口元だけが動いている。
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喜んでいるようにも。
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悲しんでいるようにも見える。
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しかし。
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目がない。
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そこだけが異常だった。
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真之介は少年の前に立った。
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「下がれ」
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教師として。
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考えるより先に身体が動いた。
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少年を背後へ隠す。
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影は動かない。
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ただこちらを見ている。
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いや。
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見ているはずがない。
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目がないのだから。
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その時。
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影の口から声が漏れた。
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「思い出して」
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真之介の顔が変わる。
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声は女性。
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しかし。
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聞き覚えがない。
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「誰だ」
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問いかける。
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影は答えない。
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ただ繰り返す。
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「思い出して」
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その瞬間。
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頭の奥に違和感が走った。
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真之介は一瞬。
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何かを忘れた。
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いや。
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忘れそうになった。
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自分の名前。
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父親の顔。
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母親の声。
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大切な何か。
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それが薄くなる。
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「……っ」
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真之介は頭を押さえた。
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危険だ。
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これは怪我ではない。
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記憶そのものに触れている。
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源次の記録。
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『忘却』
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その言葉が浮かぶ。
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影はゆっくり近づく。
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少年が震える。
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「先生……」
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真之介は咄嗟に机を掴み。
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床へ倒した。
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ガタン!
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大きな音。
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影が一瞬だけ揺れる。
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その隙に。
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少年の手を引いて外へ出た。
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走る。
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振り返らない。
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蔵から離れる。
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村の中心まで来たところで。
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ようやく止まった。
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少年は泣いていた。
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「母さんじゃなかった」
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何度も繰り返す。
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「母さんの顔だったけど」
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「違った」
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真之介は黙る。
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教師として。
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「怖かったな」
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と言うしかない。
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だが。
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自分自身も理解していた。
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あれは。
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説明できない。
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翌日。
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真之介は村の調査を続けた。
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記録する。
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誰が。
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いつ。
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何を見たか。
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しかし。
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新しい異変が起きた。
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村人が。
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自分の記録を忘れ始めた。
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昨日書いた日記。
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読めない。
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自分の字なのに。
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意味が分からない。
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店主が。
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長年の商売方法を忘れる。
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農夫が。
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畑の場所を忘れる。
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そして。
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一番恐ろしいこと。
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家族を忘れる人が出た。
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「あなたは誰ですか」
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妻に向かって言う男。
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村は混乱した。
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真之介は原因を探る。
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そして気付いた。
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記憶を失う順番がある。
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まず。
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昨日。
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次に。
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数日前。
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数年前。
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最後に。
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最も大切な記憶。
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人との繋がり。
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「……奪われている」
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真之介は呟く。
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誰かが。
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いや。
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何かが。
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記憶を食べている。
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その夜。
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蔵へ戻った。
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源次の帳面。
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咲の帳面。
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二つを並べる。
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すると。
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今まで気付かなかった共通点。
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二つの記録。
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同じ場所を示していた。
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山の奥。
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第四の石が眠る場所。
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そして。
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そのさらに奥。
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新しい印。
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第五。
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真之介は息を止める。
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「第五の石……」
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その時。
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背後から声。
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「見つけたか」
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真之介は振り返る。
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誰もいない。
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しかし。
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窓の外。
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月明かりの下。
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黒い武者が立っていた。
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百年前。
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源次の前に現れた存在。
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本来なら。
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見えるはずがないもの。
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なのに。
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今。
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真之介には見えている。
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武者は静かに言った。
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「お前はまだ知らない」
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「忘却石は、死者だけのものではない」
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真之介の顔が固まる。
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「どういう意味だ」
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武者は山を見る。
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「人間そのものを消す」
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風が吹く。
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次の瞬間。
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武者の姿は消えていた。
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残された真之介は。
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初めて認めた。
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これは迷信ではない。
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存在している。
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そして。
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自分は。
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見える側になってしまった。
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(第三話・続く)




