第二話「死者の授業」
翌朝。
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藤富真之介は、いつも通り学校へ向かった。
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昨日の蔵で起きたこと。
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二冊の帳面。
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誰もいない場所から聞こえた足音。
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全て。
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考えれば考えるほど不可解だった。
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しかし真之介は、それを怪異とは考えなかった。
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「古い建物だ」
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そう結論づけた。
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木材が軋んだ。
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風が隙間から入った。
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帳面は誰かが置き忘れた。
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それだけ。
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教師として必要なのは。
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恐怖ではなく。
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確認すること。
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そう思っていた。
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学校へ着く。
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明治になり新しく建てられた校舎。
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畳ではなく板張り。
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黒板。
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洋式の机。
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以前とは違う時代の象徴。
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真之介は教壇に立つ。
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今日の授業は算術。
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「数字というものは、感情に左右されない」
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黒板に式を書く。
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「人が忘れても、数字は残る」
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その言葉を書いた瞬間。
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手が止まった。
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昨夜の帳面。
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「記録」
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という言葉が頭をよぎった。
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死者を残すもの。
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記憶を残すもの。
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真之介は首を振る。
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授業に戻る。
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その時。
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後ろの席の少年が手を挙げた。
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「先生」
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「どうした」
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少年は不思議そうな顔をしていた。
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「昨日、母さんが帰ってきました」
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教室が静まる。
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他の子供たちは少年を見る。
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真之介は優しく尋ねた。
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「お母さんは?」
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少年は答えた。
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「去年亡くなりました」
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一瞬。
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言葉が出なかった。
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だが真之介は冷静に続ける。
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「夢を見たのかもしれないな」
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少年は首を振る。
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「違います」
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「家の前にいました」
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「昔と同じ服で」
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教室の空気が重くなる。
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真之介は話を変えた。
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しかし。
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その日の授業後。
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同じ話を何人もの子供から聞いた。
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祖父がいた。
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姉がいた。
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亡くなった友人がいた。
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最初は子供の想像だと思った。
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だが。
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大人たちも同じことを言い始めた。
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村の診療所。
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店。
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農家。
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至るところで。
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「死んだ人間を見た」
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という話。
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真之介は調査を始めた。
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教師として。
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迷信を否定するために。
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紙を広げる。
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目撃場所。
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時間。
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人物。
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全て記録する。
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すると。
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奇妙な規則性が見えた。
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死者が現れる場所。
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全て。
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仏生堂の山を中心にしている。
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真之介は地図を見る。
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円。
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また円。
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第4章で見つかった構造図。
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源次の記録。
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そして現在の目撃地点。
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重なる。
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完全に。
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真之介は黙った。
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「偶然……じゃない」
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その夜。
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もう一度蔵へ向かった。
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源次の帳面を調べる。
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今度は最初から読む。
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すると。
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途中のページに新しい記述を見つけた。
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昨日は気付かなかった。
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『第四の石が弱った時』
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『死者は帰る』
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真之介の表情が変わる。
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『しかし』
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『帰ってくるものは本人ではない』
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その下。
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文字が滲んでいる。
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続きを読む。
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『記憶の形をした残りである』
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真之介は息を止めた。
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理屈で説明しようとする。
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幻覚。
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集団心理。
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噂。
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しかし。
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全てを否定するには。
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記録が正確すぎる。
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その時。
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蔵の外から声がした。
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「先生」
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子供の声。
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真之介は振り返る。
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扉の向こう。
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小さな影。
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「誰だ」
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返事はない。
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ただ。
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もう一度。
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「先生」
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声がした。
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真之介は扉を開ける。
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そこにいたのは。
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昨日学校にいた少年。
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しかし。
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様子がおかしい。
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顔色が白い。
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そして。
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その後ろ。
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暗闇の中に。
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誰かが立っている。
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真之介は目を細める。
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大人の女性。
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少年の母親だろうか。
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そう思った。
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しかし。
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少年が震えながら言った。
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「先生」
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「あれ」
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「僕のお母さんじゃありません」
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真之介の背中に冷たい感覚が走る。
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女性の影は。
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ゆっくり顔を上げた。
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そして。
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笑った。
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しかし。
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その顔には。
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目がなかった。
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(第二話・続く)




