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亀の瀬異聞録  作者: こうた
第四章:黒船の年、亡霊の山(1853)

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第七話「黒い武者の正体」

「遅すぎた」



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石室の闇の中。


黒い武者は確かにそう言った。



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源次と宗景は動けなかった。



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今まで何度も目撃されてきた存在。


だが言葉を発したという話は一度もない。



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まして人間の言葉で。



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武者はゆっくりと祭壇へ近づく。



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留魂石の表面では無数の顔が流れ続けていた。



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老人。


女。


子供。


武士。


農民。



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数え切れない。



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それら全てを見ながら武者は静かに言った。



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「増えた」



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その声には怒りも悲しみもなかった。



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ただ事実を述べている。



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源次は勇気を振り絞った。



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「お前は何者だ」



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武者は答えない。



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代わりに留魂石へ手を置いた。



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その瞬間。



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石室全体が震えた。



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ゴォォォ……



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まるで地下深くから風が吹き上がったようだった。



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源次の視界が歪む。



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景色が消える。



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石室が消える。



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闇だけが残る。



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そして。



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気づけば別の場所に立っていた。



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源次だけではない。


宗景もいた。



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二人の周囲には人々がいる。



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だが誰もこちらを見ていない。



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着ている服が違う。



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古い。



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非常に古い。



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平安時代。



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源次は本能で理解した。



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これは現実ではない。



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記録だ。



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留魂石が保存していた過去。



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目の前には村があった。



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しかし今の仏生堂ではない。



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もっと小さい。



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もっと荒れている。



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そして恐怖に支配されている。



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村人たちは何かを囲んでいた。



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若い娘。



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十五歳ほどだろうか。



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縄で縛られている。



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泣いていた。



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助けを求めていた。



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だが誰も近づかない。



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そして人々の前には。



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藤富家の先祖と思われる男が立っていた。



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彼は苦しそうな顔をしていた。



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しかし決断していた。



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「山が怒っている」



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そう言った。



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「捧げねばならぬ」



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村人たちは俯く。



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誰も反論しない。



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その時だった。



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群衆の中から一人の武士が飛び出した。



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若い。



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まだ二十代。



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「馬鹿なことをするな!」



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彼は娘を守ろうとした。



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刀を抜く。



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村人たちは後退する。



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しかし。



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遅かった。



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地面が揺れた。



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山が鳴った。



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ドン……



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ドン……



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ドン……



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源次は凍りつく。



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今と同じ音。



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地下の鼓動。



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次の瞬間。



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山が崩れた。



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土砂が村へ流れ込む。



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悲鳴。



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絶叫。



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そして。



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娘も武士も飲み込まれた。



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視界が白く染まる。



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全てが消える。



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そして再び石室。



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源次は膝をついた。



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息が苦しい。



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宗景も顔面蒼白だった。



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武者は祭壇の前に立っている。



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動かない。



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しばらく沈黙が続く。



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やがて宗景が震える声で言った。



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「最初の……犠牲」



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武者は否定しなかった。



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源次は理解する。



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この武者は。



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娘を救おうとした男だ。



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そして失敗した。



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死んだ。



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だが終われなかった。



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留魂石によって。



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記録として固定された。



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死者としてではなく。



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失敗そのものとして。



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武者は源次を見る。



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初めて感情が見えた。



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後悔。



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何百年も続く後悔。



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「救えなかった」



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小さな声だった。



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「だから始まった」



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源次は息を呑む。



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「何がだ」



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武者は答える。



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「契約だ」



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石室の空気が変わる。



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宗景の顔色がさらに悪くなる。



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契約。



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それは藤富家の記録にも何度も出てくる言葉。



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しかし詳細は残されていない。



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武者は続けた。



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「封印ではない」



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「供物でもない」



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「取引だ」



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その瞬間。



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留魂石が激しく脈動した。



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ドン!



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石室が揺れる。



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壁の亀裂が広がる。



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天井から土が落ちる。



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宗景が叫ぶ。



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「まずい!」



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源次も異変に気付く。



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留魂石の表面。



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顔の数が増えている。



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急激に。



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何十。



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何百。



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何千。



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石に収まりきらない。



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押し出される。



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溢れる。



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そして。



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顔たちが一斉にこちらを見た。



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源次の背筋が凍る。



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全ての顔が同じ表情だった。



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恐怖。



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絶望。



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そして。



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警告。



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その時。



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武者が振り返る。



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初めて強い声を出した。



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「見上げるな!」



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源次は反射的に天井を見る。



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そして後悔した。



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天井の裂け目。



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その向こう。



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はるか地下。



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暗闇の奥。



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そこに無数の目があった。



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数え切れない。



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巨大なものの一部。



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それがゆっくりと開いていた。



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目覚めるように。



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(第七話・続く)

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