第八話「藤富家の罪」
ドクン。
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大地が脈打つ。
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ドクン。
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再び。
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咲は立っていることさえ苦しくなっていた。
足元の地面が生きているように感じる。
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いや。
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生きているのかもしれない。
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この土地そのものが。
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広場にいた村人たちも異変に気付き始めていた。
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「何だ……?」
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「地震か……?」
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「違う……」
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老人が震える声で呟く。
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「昔も聞いた」
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全員が振り返る。
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老人は顔面蒼白だった。
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「子供の頃……一度だけ……」
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老人の目には明らかな恐怖があった。
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「山が鳴った夜だ」
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宗景が老人を見る。
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老人は続ける。
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「次の日……三十人消えた」
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沈黙。
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風だけが吹く。
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黒い柱が空でうごめいている。
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咲は僧へ視線を戻した。
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最初の管理者。
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そう名乗った男。
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男は相変わらず静かだった。
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まるで全てを知っているように。
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「藤富家は嘘をついてきた」
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その言葉に宗景が睨みつける。
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「黙れ」
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「事実だ」
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男は笑う。
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「お前たちは『土地を守るため』と言ってきた」
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鐘が鳴る。
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ゴーン……
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「『村を守るため』と言ってきた」
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黒い霧が広がる。
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「『山を鎮めるため』と言ってきた」
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咲は宗景を見る。
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宗景は何も言わない。
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否定しない。
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男は続けた。
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「半分は真実だ」
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その言葉に咲は反応した。
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半分。
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つまり。
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半分は嘘。
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男は空を見上げる。
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「だが本当の目的は違う」
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宗景が叫ぶ。
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「やめろ!」
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しかし男は止まらない。
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「集めるためだ」
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風が強くなる。
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「死を」
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「怨みを」
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「絶望を」
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「魂を」
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男の声が重なる。
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いつの間にか。
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石の顔たちも同じ言葉を呟いていた。
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「集める」
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「集める」
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「集める」
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咲の背筋が凍る。
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まるで祈り。
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いや。
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命令だ。
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男は神殿の方向を指差した。
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「二百年以上」
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「……」
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「藤富家は集め続けた」
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宗景の拳が震えている。
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咲は初めて気付く。
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怒っているのではない。
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苦しんでいる。
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男は続ける。
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「そして忘れた」
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「何をだ」
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宗景が低く問う。
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男は答える。
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「なぜ始めたかを」
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沈黙。
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ドクン。
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地面が脈打つ。
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男はゆっくりと宗景を見る。
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「お前は知っているか?」
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宗景は答えない。
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「お前の父は知らなかった」
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ドクン。
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「祖父も知らなかった」
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ドクン。
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「曾祖父も知らなかった」
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咲は気付く。
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藤富家も。
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全てを知っているわけではない。
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秘密を守っている。
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だが。
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秘密の中身を失っている。
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男は笑った。
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「管理者だけが残った」
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「……」
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「目的を忘れてな」
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その瞬間だった。
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広場の端で悲鳴が上がる。
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全員が振り向く。
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一人の村人。
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若い男。
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突然立ち上がった。
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目が虚ろだった。
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そして。
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笑っている。
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異様な笑み。
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男は空を見上げた。
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黒い柱を。
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そして言った。
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「呼んでる」
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宗景が顔色を変える。
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「下がれ!」
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だが遅い。
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若い男は歩き出した。
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神殿の方向へ。
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一歩。
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また一歩。
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村人たちが止めようとする。
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だが。
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触れた瞬間。
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男の身体が崩れた。
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咲は悲鳴を上げる。
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肉体ではない。
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影だった。
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男の身体から。
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大量の影が溢れ出す。
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黒い人影。
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何十人。
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何百人。
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宗景が歯を食いしばる。
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「第三の石が暴走している」
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咲は振り返る。
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「第三の石……」
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「人格の循環だ」
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宗景の顔は青ざめていた。
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「死者の記憶が混ざり始めている」
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その時。
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若い男の口が開く。
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何十人もの声が重なった。
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「思い出した」
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全員が凍り付く。
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「我らは忘れていた」
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石の顔たちも喋る。
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「我らは封じられていた」
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黒い柱がうごめく。
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「我らは集められていた」
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そして。
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一斉に笑った。
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「餌として」
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その言葉を聞いた瞬間。
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宗景の顔色が変わった。
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咲も理解する。
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怨霊を封じていたのではない。
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怨霊を育てていた。
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そして。
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その怨霊すら。
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何かの餌だった。
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ドクン。
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今までで最大の鼓動。
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地面が大きく揺れる。
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神殿の方向から。
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巨大な亀裂が走った。
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山肌が裂ける。
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土砂が崩れる。
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木々が倒れる。
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そして。
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その裂け目の奥に。
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何か巨大なものが見えた。
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暗闇の中。
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無数の目。
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数え切れないほどの目が。
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ゆっくりと開いていく。
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咲は理解した。
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八つの守り石。
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藤富家。
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怨霊。
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生贄。
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全ては。
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あれのためだった。
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そして。
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その巨大な存在は。
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咲の方を見た。
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(第八話・続く)




