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亀の瀬異聞録  作者: こうた
第十一章 呪われた時代

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最終話 記録は未来へ

ゴォォォン……



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鐘の音が。



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第二記録庫全体へ響き渡る。



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棚に並ぶ黒帳が震える。



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黒い涙が。



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次々と床へ落ちていく。



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ポタ……



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ポタ……



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ポタ……



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蒼士は立ち尽くしていた。



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腕の中には。



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一冊の黒帳。



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表紙には。



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『藤富 蒼士』



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真っ白だった。



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まだ。



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何一つ記録されていない。



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老人の姿は。



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もうどこにもなかった。



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残されたのは。



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黒い灰だけ。



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蒼士は静かに頭を下げる。



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「必ず。」



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「あなたの名前を忘れない。」



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その瞬間。



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灰が風もない地下で舞い上がる。



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そして。



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どこからともなく。



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老人の声だけが聞こえた。



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「……ありがとう。」



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声は消えた。



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二度と聞こえなかった。



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蒼士は歩き出す。



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第二記録庫。



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出口を探す。



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だが。



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来た道がない。



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通路が変わっている。



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まるで。



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記録庫そのものが生きているようだった。



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突然。



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壁一面に文字が浮かぶ。



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『記録とは何か』



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『忘却とは何か』



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『名前とは何か』



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蒼士は目を閉じる。



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父の顔。



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まだ思い出せない。



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けれど。



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父が自分を守ろうとしていたことだけは。



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不思議と胸に残っていた。



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「記憶がなくても……。」



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「想いは残る。」



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その言葉を口にした瞬間。



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木札が強く光る。



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白い光。



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第二記録庫を包む。



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闇が割れた。



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眩しい朝日。



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蒼士は地上へ投げ出される。



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亀の瀬。



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昨日と同じ山道。



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黒い雪は。



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もう降っていなかった。



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空は青い。



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鳥が鳴いている。



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まるで。



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何事もなかったようだった。



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「帰ってきた……。」



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蒼士は胸をなで下ろす。



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その時。



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遠くから誰かが走ってくる。



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「藤富さん!」



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若い男。



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肩から革鞄。



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帽子を被り。



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息を切らしている。



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蒼士は驚く。



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「朝倉さん?」



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朝倉誠司だった。



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彼は一枚の新聞を差し出す。



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「これを見てくれ!」



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新聞の見出し。



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『全国で同時多発する記憶喪失事件』



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奈良。



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大阪。



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京都。



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名古屋。



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東京。



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日本各地に印が付いている。



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蒼士の顔から血の気が引く。



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「そんな……。」



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「亀の瀬だけじゃないのか。」



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朝倉は頷く。



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「もう止まらない。」



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「黒い雪は広がっている。」



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「しかも……。」



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朝倉は震える手で。



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もう一枚の写真を取り出した。



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古い白黒写真。



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山奥。



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大きな鳥居。



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その奥に。



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巨大な石造りの扉。



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蒼士は目を見開く。



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写真の裏。



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手書きで書かれていた。



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『第三記録庫』



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蒼士は息を呑む。



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「第二だけじゃ……。」



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朝倉は苦笑する。



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「どうやら。」



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「俺たちは。」



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「入口に立っただけらしい。」



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沈黙。



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山風が吹く。



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その風に乗って。



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どこからか。



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少女の歌声が聞こえた。



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蒼士は振り返る。



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誰もいない。



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だが。



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黒い雪が一枚だけ。



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空から舞い落ちる。



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蒼士はそれを見つめる。



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もう触れなかった。



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朝倉が静かに言う。



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「書こう。」



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「誰かが真実を残さないと。」



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蒼士は頷く。



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「俺は守る。」



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「あなたは記録する。」



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二人は固く握手を交わす。



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この日。



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藤富家の守り人と。



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真実を追う新聞記者。



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二人の長い戦いが始まった。



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そして。



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第二記録庫の最深部。



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誰もいないはずの玉座。



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そこに。



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黒い外套の"記録庫の主"が静かに座っていた。



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その足元には。



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一冊の古い黒帳。



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表紙には。



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何も書かれていない。



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主はページを開く。



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そこへ。



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黒い文字が。



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誰の手も触れていないのに。



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ひとりでに浮かび上がる。



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『第十二章 記録者』



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主は静かに微笑んだ。



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「物語は。」



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「まだ終わらない。」



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第十一章 完

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