第一話 父の遺したもの
天保二年。
西暦で言えば一八三一年。
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亀の瀬の山々は静かだった。
あまりにも静かだった。
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静かすぎる山は不気味だ。
鳥の声がない。
獣の気配もない。
風さえ遠慮しているようだった。
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その年の春。
村では飢えが始まっていた。
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雨が少ない。
作物が育たない。
米価が上がる。
食べ物が消える。
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人々の顔から笑顔が消えていく。
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そして亀の瀬では。
もう一つの異変が起き始めていた。
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死人が増えていた。
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だが。
それは飢えによる死だけではなかった。
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夜中に姿を消す者。
山で見つかる変死体。
理由もなく狂う者。
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十年前。
西村庄吉が命を落としてからも。
怪異は終わっていなかった。
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むしろ。
少しずつ広がっていた。
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その日の朝。
一人の男が墓前に立っていた。
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西村徳蔵。
二十六歳。
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奈良藩の武士。
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父ほど大柄ではない。
どちらかと言えば小柄だった。
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慎重。
真面目。
心配性。
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そして。
誰よりも家族を大切にする男だった。
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徳蔵は墓石を見つめる。
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「父上」
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返事はない。
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当然だった。
死者は語らない。
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だが。
徳蔵は幼い頃から父の話を聞いて育った。
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正義感が強かった。
無鉄砲だった。
困った人を放っておけなかった。
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そして。
亀の瀬で死んだ。
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正式には事故死。
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そう処理されている。
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だが徳蔵は信じていない。
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何かがあった。
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父は何かを見た。
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何かと戦った。
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その結果死んだ。
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そう確信していた。
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徳蔵は懐から古い包みを取り出した。
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和紙で何重にも包まれている。
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父の遺品だった。
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十年前。
父の遺体と共に発見された物。
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石碑の写し。
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そして日記。
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庄吉の最後の記録。
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徳蔵は何度も読んでいた。
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だが未だに理解できない。
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怨霊。
封印。
供物帳。
神殿。
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あまりにも荒唐無稽だった。
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武士として。
常識ある人間として。
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信じる方がおかしい。
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だが。
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父は嘘を書く人ではない。
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徳蔵は墓石へ手を合わせた。
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「父上」
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「私は行きます」
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「あなたが見たものを確かめに」
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風が吹いた。
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まるで返事のように。
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その日の夕刻。
徳蔵は亀の瀬へ向かった。
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村へ入った瞬間。
違和感を覚える。
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人が少ない。
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いや。
少なすぎる。
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農村にしては異様だった。
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畑にも人影がない。
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道も閑散としている。
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まるで村全体が息を潜めているようだった。
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やがて。
一軒の家から老婆が出てくる。
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痩せていた。
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骨と皮だけ。
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飢饉の影響だろう。
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徳蔵は声をかけた。
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「失礼」
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「少し話を聞きたい」
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老婆は顔を上げる。
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その目には強い怯えがあった。
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「侍様か」
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「何かあったのか」
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老婆は辺りを見回した。
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誰かに聞かれないように。
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そして小声で言う。
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「夜は歩かん方がいい」
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徳蔵は眉をひそめた。
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「何故だ」
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老婆は答えない。
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いや。
答えられないようだった。
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唇が震えている。
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しばらく沈黙。
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やがて。
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「帰ってくるんじゃ」
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徳蔵の表情が変わる。
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「何が」
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老婆の目に涙が浮かぶ。
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「死んだ者達が」
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沈黙。
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徳蔵は言葉を失う。
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「死んだ者?」
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老婆は震えていた。
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「息子じゃ」
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「去年死んだ」
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「確かに埋めた」
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「わしが埋めた」
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涙がこぼれる。
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「なのに帰ってきた」
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徳蔵の背筋が冷たくなる。
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「帰ってきた?」
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「そうじゃ」
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「帰ってきた」
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「笑っておった」
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「生きている時と同じ顔で」
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老婆はここで声を失った。
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そして。
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震える声で続ける。
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「でも」
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「違った」
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徳蔵は息を呑む。
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「何が違った」
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老婆の顔が青ざめる。
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「わしの名前を忘れておった」
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風が吹く。
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夕暮れの空が赤く染まる。
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徳蔵は無意識に父の日記を握りしめた。
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そこにはこう書かれていた。
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> 奴は人の怨みを喰らう
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十年前。
父が地下神殿で見た真実。
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そして今。
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死者が帰ってくる。
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偶然とは思えなかった。
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その時。
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村の外れから鐘の音が鳴る。
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カーン。
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カーン。
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カーン。
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老婆の顔色が変わった。
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「まずい」
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「まずい」
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徳蔵は振り返る。
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何が起きたのか。
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次の瞬間。
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村の男が叫びながら走ってきた。
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「墓だ!」
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「また墓が空になった!」
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「三人いなくなってる!」
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村中が騒然となる。
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徳蔵は走り出した。
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父が追った怪異。
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十年後。
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今度は自分が追う。
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そしてこの時。
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徳蔵はまだ知らなかった。
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墓から消えた三人の死人が。
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その夜。
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自らの足で村へ帰ってくることを。
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第二章 第一話
「父の遺したもの」 終。
第二話「帰らない墓」へ続く。




