悩めるアーサー様
♢
「ただいまです」
「お帰りー」
「よし。それじゃ、出発するぞ」
「了解です」
「巫琴さん。さっきの男を送ってきたときに何かありましたか?」
「どうしてそんなことを聞くの、フレデリック」
「だって巫琴、なんだか元気ありませんよ。ほら、前を歩く虎も、さっきから心配そうにこちらの方を何度も見てるでしょ」
「そっかぁーー。そういうところ、あなたたち動物にはわかるんだね」
「でも、巫琴さん。悩みがあるんなら、そのままにしてちゃいけませんよ」
「う~ん。ここは思い切って聞いてみるのがいいのかな」
「巫琴。またさっきからオレの背中で何を話してる?」
「あのぉーー。アーサー様」
「なんだ? どうかしたのか?」
「つかぬことを聞くのですが、アーサー様が、あたしに隠してる秘密って、なんですか」
「なんだ。ずいぶんと唐突な質問だな。あの男に何か言われたのか?」
「まぁ、そうなんですがぁーー。そんなのありませんよね?」
「無い。といいたいところだが、実はある。だがそれは、いずれわかることだ」
「それは、いずれなんですか? 今は教えてくれないんですか」
「……」
アーサー様、黙っちゃった……。やっぱり、重大な秘密っていうのがあるんだ……。
「なぁ、巫琴。もし、その秘密を知ったとしても、お前はオレのことを嫌いにならないでくれないか」
アーサー様。ずいぶんと意味深な言葉……。
「そんなことは、もちろんです」
「それなら、そのうち。あらためて話す。それまで待ってくれないか」
アーサー様。真剣な表情……。
「わかりました! それなら、アーサー様から話してくれるまで待ちます」
「そうか。そのうち、ちゃんと話す」
「了解です」
「なぁ、アーサー。お前たちふたりの話しの間に割って悪いが、この先の戦いをどうするつもりだ?」
「そうね。ライムの言う通りね。最高位魔女オルケーノを倒したから、残りの四天王は、ほぼ無尽蔵の魔力をもつというカーネル・リッチと、あと二人。それに最後に魔王ヴァルガンもいるわ」
「あぁ。ただ残りの四天王うちの、名前がわからない一人が誰なのかは、見当がついている」
「それは本当なのか、アーサー!?」
「あぁ。おそらく、間違いなくヤツだ!」
「それで、そのヤツというのは誰なの?」
「魔剣士ヒュルケンベルグ。それがヤツの名だ!」




