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うっかり死んだら異世界転生しちゃいました! でもここにはイイ男が全然いませーん! そんなところへ、ドSの王子様が現れました!  作者: 志村けんじ


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まだ知らない隠しごと

♢


「オルケーノが消滅したと同時に、まわりにいたゾンビたちも消えてしまったな」


「アレは、オルケーノが作り出した幻影だったのかしら」


「ところで、この可愛らしいリスはなんだ?」


「あぁ。それはオルケーノさんに残っていた良心が具現化した姿ですね」


「それなら、オルケーノは、完全に消滅はしなかったのか?」


「いや。良心だけが残ったという方が正しいですね。それにもう、この姿と心ではなにも悪いことはできませんからね」


「それよりも、さっきから木の陰に恥ずかしそうに隠れている、あの男はなんとかならないわけ?」


「そうだな。今はそっちの方が重要だな。ここに連れてこよう」


「よし。それならワタシが引っ張って連れてくる」


「頼んだ、ライム」 


「お前。さっきから居るみたいだが、一体何者だ?」


「へへへへ。いやぁーー。みなさんお強いんですね」


「怪しい男だな。ちょっと来い!」


「ちょっとちょっとぉーー。そんなに引っ張らなくても大人しくついていきますてぇーー」


「ほら、連れてきたぞ。それでどうする。拷問でもするか?」


「ちょっとぉーー。勘弁してくださいよぉーー。私はこれでも善人なんですよ」


「どうも胡散臭いやつだな。巫琴《ミコト》、この男の正体を魔法で見てくれないか」


「はい。わかりました、アーサー様。では、正体を見破る魔法!」


 これは……。これって、どう説明すれば。


「どうだ、巫琴《ミコト》。この男の正体はわかったのか」


「はい……。このオジサンの正体は……。オルケーノのファンです」


「ファン? ファンとはどういう意味だ?」


「ですから、個人的にオルケーノを応援していた人です」


「待って、巫琴《ミコト》ちゃん。それだと意味がわからないわ」


「そうですよねぇーー。あたしにも意味がわかりません」


「ところで、巫琴《ミコト》。お前の正体を見破る魔法は、そんなところまで読めるのか。ワタシたちにも、そのことを隠していたのか」


「ですよねぇーー。ライムさんがそう疑うのも無理はないです。でも本来は、正体を見破る魔法は、その正体や隠していることを見破るだけの魔法です」


「それならなんで、この男のことはわかった」


「それは……。だってこのオジサン、心の声がだだ洩《も》れなんです。だから、全部丸わかりで」


「それなら、さっきワタシが引っ張って連れてきたときも、なんで恥ずかしそうにしていたんだ?」


「それは……」


「それは?」


「実はこのオジサン。オルケーノからライムさんに推し変したようで!」


「推し変? なんなんだ、それは?」


「だから、個人的に応援している人を、オルケーノからライムさんに変えたんです!」


「そんなものますます、意味がわからんぞ」


「そう言われても、そうなんです!」


「どうですか、ライム様。これからはあなたを応援させてもらってもいいですか?」


「やめろ!? 気色が悪い!? 虫唾《むしず》が走る!?」


「そう言わずに、応援するだけですから。それに、この可愛いお嬢さんが見抜けなかったこともあるんですよ」


「なんなんだ、そのイヤらしい言い方は!? そんなこと、知らなくても」


「ちょっと待て、ライム。おい男! お前、何を知っている?」


「へへ。みなさんのことについてですよ。みなさん、それぞれこのお嬢さんには隠していることがありますよね」


「なんのことだ?」


「惚《とぼ》けても無駄です。オルケーノ様は、あの地獄耳《デビルイヤー》で、あなた達のことをいろいろと調べてました。特にアーサーさん。あなたは一番重要なことを、このお嬢さんに隠してますよねぇ」


 えっ!? なに!? どーいうこと!? アーサー様、困った顔をしている。


「クッ!? いずれこの巫琴《ミコト》にも話す」


「へぇーー。本当に話せるんですかねぇ」


「うるさい! 黙れ!」


「へぇへぇ。そんなときが来ればいいですね。ところでお嬢さん。私も前の村まで魔法で送り届けてくれませんか。ライム様にこう嫌われたんじゃ、このまま一緒に居ても、意味がありません」


「どうしますか、アーサー様?」


「わかった。巫琴《ミコト》、済まないがこの男を前の村まで送り届けてくれないか」


 アーサー様、なんだか悲しそうな顔……。


「わかりました。それじゃあ、このオジサンを送り届けてきますね」


「よろしくお願いします。ほら、リスになったオルケーノ様も一緒に行きますよ」


「では、瞬間移動の魔法!」


「では、みなさん、さようなら」


「はい。着きました。前の村です」


「こりゃ凄い。本当にあっという間だ」


「それじゃあ、あたしは帰ります」


「ありがとうございやした。それとお嬢さん。あのアーサーという男には気をつけた方がいい。重大な秘密を隠している」


「そんなこと……。あたしはアーサー様を信じてます!」


「いやはや。そんな強がりがいつまで続きますかね」


「失礼します! 瞬間移動の魔法!」


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