まだ知らない隠しごと
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「オルケーノが消滅したと同時に、まわりにいたゾンビたちも消えてしまったな」
「アレは、オルケーノが作り出した幻影だったのかしら」
「ところで、この可愛らしいリスはなんだ?」
「あぁ。それはオルケーノさんに残っていた良心が具現化した姿ですね」
「それなら、オルケーノは、完全に消滅はしなかったのか?」
「いや。良心だけが残ったという方が正しいですね。それにもう、この姿と心ではなにも悪いことはできませんからね」
「それよりも、さっきから木の陰に恥ずかしそうに隠れている、あの男はなんとかならないわけ?」
「そうだな。今はそっちの方が重要だな。ここに連れてこよう」
「よし。それならワタシが引っ張って連れてくる」
「頼んだ、ライム」
「お前。さっきから居るみたいだが、一体何者だ?」
「へへへへ。いやぁーー。みなさんお強いんですね」
「怪しい男だな。ちょっと来い!」
「ちょっとちょっとぉーー。そんなに引っ張らなくても大人しくついていきますてぇーー」
「ほら、連れてきたぞ。それでどうする。拷問でもするか?」
「ちょっとぉーー。勘弁してくださいよぉーー。私はこれでも善人なんですよ」
「どうも胡散臭いやつだな。巫琴、この男の正体を魔法で見てくれないか」
「はい。わかりました、アーサー様。では、正体を見破る魔法!」
これは……。これって、どう説明すれば。
「どうだ、巫琴。この男の正体はわかったのか」
「はい……。このオジサンの正体は……。オルケーノのファンです」
「ファン? ファンとはどういう意味だ?」
「ですから、個人的にオルケーノを応援していた人です」
「待って、巫琴ちゃん。それだと意味がわからないわ」
「そうですよねぇーー。あたしにも意味がわかりません」
「ところで、巫琴。お前の正体を見破る魔法は、そんなところまで読めるのか。ワタシたちにも、そのことを隠していたのか」
「ですよねぇーー。ライムさんがそう疑うのも無理はないです。でも本来は、正体を見破る魔法は、その正体や隠していることを見破るだけの魔法です」
「それならなんで、この男のことはわかった」
「それは……。だってこのオジサン、心の声がだだ洩れなんです。だから、全部丸わかりで」
「それなら、さっきワタシが引っ張って連れてきたときも、なんで恥ずかしそうにしていたんだ?」
「それは……」
「それは?」
「実はこのオジサン。オルケーノからライムさんに推し変したようで!」
「推し変? なんなんだ、それは?」
「だから、個人的に応援している人を、オルケーノからライムさんに変えたんです!」
「そんなものますます、意味がわからんぞ」
「そう言われても、そうなんです!」
「どうですか、ライム様。これからはあなたを応援させてもらってもいいですか?」
「やめろ!? 気色が悪い!? 虫唾が走る!?」
「そう言わずに、応援するだけですから。それに、この可愛いお嬢さんが見抜けなかったこともあるんですよ」
「なんなんだ、そのイヤらしい言い方は!? そんなこと、知らなくても」
「ちょっと待て、ライム。おい男! お前、何を知っている?」
「へへ。みなさんのことについてですよ。みなさん、それぞれこのお嬢さんには隠していることがありますよね」
「なんのことだ?」
「惚けても無駄です。オルケーノ様は、あの地獄耳で、あなた達のことをいろいろと調べてました。特にアーサーさん。あなたは一番重要なことを、このお嬢さんに隠してますよねぇ」
えっ!? なに!? どーいうこと!? アーサー様、困った顔をしている。
「クッ!? いずれこの巫琴にも話す」
「へぇーー。本当に話せるんですかねぇ」
「うるさい! 黙れ!」
「へぇへぇ。そんなときが来ればいいですね。ところでお嬢さん。私も前の村まで魔法で送り届けてくれませんか。ライム様にこう嫌われたんじゃ、このまま一緒に居ても、意味がありません」
「どうしますか、アーサー様?」
「わかった。巫琴、済まないがこの男を前の村まで送り届けてくれないか」
アーサー様、なんだか悲しそうな顔……。
「わかりました。それじゃあ、このオジサンを送り届けてきますね」
「よろしくお願いします。ほら、リスになったオルケーノ様も一緒に行きますよ」
「では、瞬間移動の魔法!」
「では、みなさん、さようなら」
「はい。着きました。前の村です」
「こりゃ凄い。本当にあっという間だ」
「それじゃあ、あたしは帰ります」
「ありがとうございやした。それとお嬢さん。あのアーサーという男には気をつけた方がいい。重大な秘密を隠している」
「そんなこと……。あたしはアーサー様を信じてます!」
「いやはや。そんな強がりがいつまで続きますかね」
「失礼します! 瞬間移動の魔法!」




