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うっかり死んだら異世界転生しちゃいました! でもここにはイイ男が全然いませーん! そんなところへ、ドSの王子様が現れました!  作者: 志村けんじ


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魔法の鏡

♢


「おっ、おぉ。任せておけ」


「アーサー。どうして、そんなにカタコトみたいな言い方なの?」


「フフ。どうやら、アタシの美しさで、まともに動けぬようだな」


「うわぁーー。凄い自惚《うぬぼ》れ」


「でも、歳《トシ》の割りには、きれいな方じゃない。おいくつですか?」


「四十二……」


「えっ? 良く聞こえませんでしたけど、何歳ですか?」


「四十二……」


「えっ?」


「五十一だよ! 文句あるか!?」


「あら。本当に、魔女としては、意外と若かったわね」


「でも、歳《トシ》を、九歳サバを読んだぞ」


「微妙なサバの数ですね」


「目元のシワが気になる年齢かしら」


「うっ、うるさい!? お前たちは、本当に戦うつもりがあるのか!?」


「もちろんですよぉーー。ねぇ、アーサー様」


「もちろんだ。まずはオレが相手をしてやる!」


「フン! お前みたいな、美女たちに囲まれたイイ男、この最高位魔女のオルケーノ様が、石に変えてやるわ!」


 うわぁーー。でも、メデューサみたいに目を見たら、石にされるっていうわけでもなさそう。でも、一応……。


「みんな! 目をつぶってください! 鏡《かがみ》で反射させます! 魔法の鏡《かがみ》!」


「あら、イヤだ。この目の前にいる、きれいな女性は誰かしら。そんなのわかり切ってるわ。このオルケーノよ。鏡《かがみ》よ、鏡《かがみ》。世界一、きれいなのは、誰《だあれ》?」


「それは……」


「それは?」


「それは……」


「それは?」


「それは……」


「もぉーー。そんなに勿体《もったい》ぶってないで、早く言いなさいよぉーー」


「なんか、オレが戦う前に、完全に魔女が、魔法使いの魔法にかかってるな」


「さすがねぇーー、巫琴《ミコト》ちゃん。魔女に魔法をかけちゃうなんて」


「やはり、巫琴《ミコト》の魔法は侮《あなど》れんな」


「いや……。これはあたしの魔法なんでしょうか……。なんか勝手に強い自己暗示にかかっているようなぁーー」


「それなら、なにか女としての強いストレスでもあるのかしらぁーー。可哀想……」


「可哀想は失礼だぞ。可哀想なんて言われたら、もっと惨《みじ》めになる」


「そうですよぉーー。ライムさんの言うとおり、可哀想は禁句ですよ、エミリさん」


「ごめんなさい」


「お前たち、これでオレが戦う必要があるのか」


「大丈夫です。もうすぐ魔法が解《と》けますから」


「もぉーー。勿体《もったい》ぶってないで、早く教えなさいよぁーー。もう決まってるんでしょぉーー。世界一きれいな女はーーー。ア・タ・シ。そうよね」


「違います。天地がひっくり返ったって、あなたではありません」


「ちょっとぉーーー!? 鏡《かかみ》のくせに、このオルケーノ様に口答えするっていうの!?」


「そうです。そして時間切れです。割れます。夢の時間はこれで終わりです」


「なんなのよ!? アタシを騙《だま》したのねぇーー!?」


「それじゃあ、アーサー様。あとはよろしくお願いします」


「それじゃ、魔法が解《と》けたところで、オレが相手をしよう」


「はぁーーーっ!? そのイケメン面《つら》を、涙と鼻水で、ぐちゃぐちゃにしてくれるわ!」


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