もっと、素直になってください
♢
「ただいまです」
「おぉ! 帰ってきたか、巫琴」
「ちょっと遅かったから、心配したわよ」
「そうですか。ごめんなさい」
「ワタシは大丈夫だと言ったんだが、アーサーのやつが、巫琴がこのまま戻って来ないのではと心配してな」
「そーーなんですかぁーーー。アーサー様ーー」
「なんだ!? その目は!? オレはそんなことは心配してないぞ」
「ふ~ん。そうですかぁーー」
「だから、そのいやらしい目はやめろ!?」
「まぁ、いいです。師匠から伝言を預かりました」
「曾祖父さんからか。なんだ?」
「はい。すべてを無に返せ。そう言ってました」
「すべてを無に返せか……。わかった。伝えてくれて、ありがとう」
なんだか、アーサー様。あの伝言を聞いたら、顔がちょっと曇った。アレには、なにか深い意味があるんだ。
「ところで、アーサー。ここで一度、仕切り直しというか、作戦会議をしてはどうか」
「そうね。そのオルケーノっていう魔女のことも気になるしね」
「そうだな。今後、そのオルケーノと戦うときには、どう戦うのか、なんとなくでも考えておこう。それで、どう思う。巫琴」
「あたしですかぁーー!? どうでしょう? あたしはあんまり考えて、戦ってないんで」
「そう?」
「そんなことはないと思うぞ。なぁ、アーサー」
「そうだな。ここまで来ると、勝敗を決定づけているのは、巫琴の機転だからな」
「それって。あたしなんだか、褒められてます?」
「あぁ。褒めてる。最初に巫琴が、相手のことを見定めてくれるから、こちらも戦いやすい」
「おぉーー」
なんかこんなにストレートに、アーサー様があたしのことを褒めてくれるなんて珍しい。
「巫琴ちゃん。好きな人に、素直に褒められるって、嬉しいでしょ」
「はい! もちろんです!」
「どちらかというと、素直じゃないのは、あいつの方だけどな」
「だから。そうやってみんなで、オレの方を見るな!? 馬も魔獣も、全員でだぞ!?」
「あなたが、罪深い男だからじゃないの?」
「別に、そんなことは……」
「まぁまぁまぁ。みなさん、そんなにアーサー様を、イジメないでください」
「巫琴ちゃん、大人ねぇーー」
「まぁ、日々、成長してますから」
「そうだな。アーサー、巫琴に置いてけぼりにされないように、気をつけるんだぞ」
「そうよ。そうしないと、もっとイイ男に、巫琴の心が奪われるかもよ」
「確かに! 無い話では、ないです」
「わ……わかった。気をつけよう」




