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うっかり死んだら異世界転生しちゃいました! でもここにはイイ男が全然いませーん! そんなところへ、ドSの王子様が現れました!  作者: 志村けんじ


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巫琴の不安

♢


「驚いたぁーー!? 本当に、一瞬であの場所からこの村に移動した!?」


「それじゃーー、みなさん。あとは各自、気をつけて帰ってくださいねー。それじゃ、行こうかロトくん」


「はい。よろしくお願いします、巫琴《ミコト》さん」


「では、あたしのいた村へ。瞬間移動の魔法!」


♢


「もう自分の村に着いたから安心だね、ロトくん。もう、危ないことをしたらダメだからね」


「はい。わかりました。それよりも巫琴《ミコト》さんは、本当にもう勇者パーティーの一員なんですね。この村にいたときとは、全然違いました」


「そぉ? そんなこともないと思うけど」


「なんていうか。もう仲間の人たちに、完全に頼られる存在なんですね」


「まぁ、そう言われるのは嬉しいけど。それじゃ、ロトくん、あたしは師匠に挨拶《あいさつ》して帰るから、これでね」


「はい。ありがとうございます、巫琴《ミコト》さん」


♢


「師匠ーー! ちょっと用事ついでに、師匠に挨拶《あいさつ》に来ました!」


「ほぉーー。それはよい心がけじゃな。それで、今の悩みごとはなんじゃ」


「わかるんですか、師匠!?」


「当り前じゃ。お前に、その魔法の使い方を教えたのはワシじゃぞ。それにお前、ここに来てすぐに、ワシに魔法をかけたじゃろ」


「はい……。師匠に相談に乗ってもらいたくって、頭の中がはっきりする魔法をかけました」


「それで、その悩みごとはなんじゃ」


「あのですね、師匠……。剣と斧に魔法をかけたんですけど……」


「なるほどな。その剣と斧にかけた魔法は、お前の魔法力が、常に途切れないことが条件なんじゃな」


「そうなんです。だから、あたしがもし死んじゃったり、魔法力が切れたりしたら、普通の剣と斧に戻っちゃうんです」


「なるほどな。でも、心配いらぬ。お前は絶対に死なんし、魔法力が切れるなんていうこともない」


「どうして、そんなことがわかるんですか」


「どうしてって、お前の魔法は、この異世界《せかい》の魔法ではないからじゃ」


「どういうことですか、師匠!?」


「どうって、お前元々、呪文をほとんど唱《とな》えずに魔法を使ってたじゃろ」


「はい。それは師匠が、魔法はイメージだって教えてくれたので」


「そう。それはお前だからすぐにできたことじゃ。お前、もう頭の中でイメージできた魔法はほとんどできるじゃろ」


「まぁ、全部というわけじゃありませんが、大体は」


「魔法の強さはともかく、そんなことは、この異世界《せかい》では、あり得ん」


「でも、師匠。あたしが元居た世界には、魔法っていうイメージだけの世界はありましたけど、魔法そのものはありませんでしたよ」


「だから、お前はこの異世界《せかい》では、特別なんじゃ。もっと自分を信じるのじゃ」


「なんかぁー、そこまで、師匠に言いきられると、安心しました」


「それなら、よかったの」


「はい。それならみんなのところに戻りますね」


「巫琴《ミコト》よ、頼んだぞ。それと、ひ孫に伝えてくれんか」


「アーサー様にですか?」


「そうじゃ。アーサーに、すべてを無に返せと伝えてくれ」


「すべてを無に返せ……。よくわかりませんが、そう伝えますね。ありがとうございました、師匠!」


「では、気をつけてな」


「はい。では、アーサー様たちの元へ。瞬間移動の魔法!」


「頼んだぞ、巫琴《ミコト》よ」


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